第7話

 家妖精魔法の【湧き水】で生み出された水が勢いよく飛んで行き、ウサギのモンスターの顔面に命中した。


 命中した水ではダメージを与えられることはなかった様だが、それでも水が目に入ったのだろう。ウサギのモンスターは「ギュウーッ!?」と鳴き声を上げてその場で止まろうとする。


 シルクはその隙を狙って一気にウサギのモンスターとの距離を詰めると、手に持った短剣を振るってすぐにその場から離脱した。


 ウサギのモンスターの首を切り裂く一撃により、ウサギのモンスターは切られた場所から血液を勢いよく流しながらピクピクと痙攣を始めた。


 「ご主人様、もうこちらに来ても大丈夫ですよ。」


 手招きするシルクの言う通り、あのウサギのモンスターがこれから何かしらの抵抗をすることはないだろう。


 俺は手招きするシルクの元へと向かうその道中で、ウサギのモンスターは力尽きたのか身体や流した血液を青い光の粒子に変えながら何処かへと消えていった。


 すると、ウサギのモンスターが消えてすぐに目の前に画面が表示される。

 

ラビット 経験値1 ドロップ×1


 画面を見れば、そこに表示されているのは先ほどのウサギのモンスターの名前であるだろうラビットの文字にラビットを倒した経験値とドロップアイテムの数が書いてあった。


 画面から視線を戻して立ち止まっていた俺はシルクの元へと再度向かうと、シルクは先ほどまでラビットがいた場所で何かを拾っていた。


 「シルク、それは?」


 「これは先ほどのモンスターのドロップアイテムですよ。」


 シルクの元へとたどり着いた俺は、先ほどシルクが拾ったと思わしきカードが何なのかを聞いた。


 シルクが拾ったカードは、ラビットのドロップアイテムのようだ。


 俺はシルクから受け取ったドロップアイテムのカードを確認すると、カードにはラビットの毛皮という文字とラビットの毛皮の絵がカードに描かれていた。


 「カードからアイテムを取り出したいと思えば、カードからラビットの毛皮を取り出すことが出来ますよ、ご主人様。」


 「そうなんだ。シルク、取り出したアイテムをカードに戻すことは出来るの?」


 「可能です。試して見てください。」


 「分かった。」


 実際こう言うのは試してみた方が良い。それにカードに戻せなくても【インベントリ】のスキルがあるから問題はないのだから。


 俺はカードの中からラビットの毛皮を取り出したいと思うと、本当にカードの中からラビットの毛皮が現れた。


 「本当に出た。」


 手元に現れたラビットの毛皮は既にある程度加工されているようで、毛と皮のみになっているようだ。


 そして俺は何も描かれていないカードとラビットの毛皮を持って、シルクにどうすれば良いのかを質問する。


 「ここからどうすれば良いんだ?シルク。」


 「その何も入っていないブランクカードの中に収納すると意識すれば、ラビットの毛皮を収納することが出来ますよ。」


 この手に持っている何も描かれていないカードのことをブランクカードと言うのかと思いながら、俺はシルクの言う通りにラビットの毛皮を収納したいと思うことでブランクカードの中に収納した。


 そしてブランクカードを確認すれば、そこにはラビットの毛皮が描かれていた。


 それから俺はシルクにこのブランクカードのことを聞くことになる。どうやらブランクカードがないと無限ダンジョンや他のダンジョンで手に入る素材を手に入れるのが難しいそうだ。


 だからこそ、収納系スキルのある俺やシルクの場合はカードを入手した時にブランクカードとアイテムを分けて置いた方が良いのだという。


 召喚時に知識を与えられたシルクが言うのだから、それに従っておいた方が良いのだろう。


 俺は手元のカードから再びラビットの毛皮を取り出して、ブランクカードとラビットの毛皮を【インベントリ】の中に収納する。

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