17話 黄色の扉 ー数の暴力の恐怖ー
◆◆◆◆
うん。私、なんとなくわかってたよ。赤い扉が最初にあって、次に橙の扉ときたからね。絶対まだまだ扉があると思ったよ。今度は黄色だね。黄色に金色の飾りって、目がチカチカするな〜。
実際、黄色の扉は金属質ではないだけでほとんど金色の扉なため、それに金の飾りがつくと、ギンギラギンで目が潰れそうになるほど眩しく輝いていた。
存在感がものすごくあるが、ずっと見続けたくない、なのに見てしまいそうになる扉である。
「ギンギラギンだ。目がチカチカする。」
「眩しいね。あんまり好みじゃないな。」
男子2人はそう言ってるけど、ずっと見ている。そんな独特な雰囲気がある。
「行こうか…。」
「ああ。」
私たちは、持ってきていた荷物を背負うと、そっと扉を開けた。
ー中に入ってみたけど、何もなかった。もちろん入った途端扉はしまった。
最初から、大きいボスがいるわけでもなく、光ってその場所からボスが現れるわけでもなかった。本当に何もなかった。ただ、やたらと広い、中身は空っぽの部屋がそこにはあった。
「今回の部屋はすごく広いな。」
「なんでだろうねぇ…。」
部屋は、すごく広くて、さっきの部屋の何倍あるかな。2倍、3倍、それ以上あると思う。
私たちは、警戒しながらも、隅々まで探索した。四隅までもかなり距離があったので、離れたところを誠司と聖也が、扉に近いところを私と穂乃果が調べることになった。
四隅の一つまでに行く途中、壁を触りながら歩いてみた。壁は、土みたいにゴツゴツしているのに、粉のように崩れる気配もなくて、すごく丈夫そうだった。途中、2センチくらいの穴を見つけたけれど、何の穴かはわからなかった。気になったから、周りを調べてみた。
「う゛っっっ!!」
私は初めて、自分が集合体恐怖症だと知った。穴の周りには、ミリ単位の大きさの穴が大量に空いていたのだ。その数は何千、何万と。
たくさんの穴が密集していて、ものすごく気持ち悪い。ゾワゾワと鳥肌がたった。
ふらりとよろめいて、バランスを崩す。うっかりしゃがみ込んで、立ちあがろうとした時に足元を見た。みてしまった。
「!!!!!!!!!!」
足元にも、無数の穴が空いていた。なのに、崩れる気配がない。そう、何かが地面を固めて崩れないよう固めているように…。
ーズドドドドドドドドドドドドドッッッ
突然、足元が揺れ始めた。壁からも音がし始める。
(なんで、もっと早く気づけなかったんだろう…。)
「誠司!聖也!ボスは最初から足元にいたんだよ!気をつけて!」
私は、慌てて2人に気づいたことを伝える。私も、この部屋が揺れる中で、バランスをとりながらも戦闘体制をとる。
揺れはどんどん強くなっていく。
部屋の中心辺りの地面がポコリと盛り上がった。私たち4人の視線が一気にそこに集中する。
盛り上がったところから、ドパァッと虫が飛び出してきた。長さが20cmくらいの虫が大量に。止まることなく穴から出てき続ける虫は、どんどんどんどん増えていって、部屋の中を埋め始めた。
私たちは、分断された状態で魔物を倒し始めた。幸い、1匹1匹は弱かったから、次々と倒して数を減らそうとした。
そうやって、少しずつ減らしていっても減ることはなくて、辺り一面が虫だらけになってしまった。
ー蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲
蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫虫蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲蟲虫蟲
私たちは、勢いが止まることがない蟲たちに飲み込まれた。どこまでもたくさんいる虫。数に押しつぶされるまで、そう時間はかからなかった。
私たちは、大量の虫に殺された。
◆◆◆◆
「虫は絶対もう嫌!!」
「いやぁぁぁぁああああ!!!!」
私たちは生き返った。ルイくんが言ってた死んでも生き返るよ!はこういうことなんだと理解した。いくら生き返ると言っても怖いものは怖い。
「鳥肌がたった。」
「こんな死に方するやつ、ほとんどいないんじゃないか?」
全員無事?に生き返ったみたい。
ここは、黄色の扉の外のようだ。数の暴力を思い知った。
「で、どう対策しようか…。」
私たちは、この大量の虫を乗り越えなければいけないと知って、絶望した。また、潰されるのか…と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます