41話 気まずくなった後




 白鳥 涙…いや、ルイは自分は転生したと言った後どこかに行ってしまった。

 騎士の人にどこに行ったのかを聞いても、王女様に聞いてみても、王女様が国王に聞いてみても、その行き先は誰も知らないという。

 彼はいつも気がつくといなくなっていて、気づくと戻ってきている。


 気まぐれに隠していることを話して、こちらは少しずつ本当のことを知っていく。

 だけど全てを教えてくれることはほとんどない。いつも何か大事なことを隠していて、きっと1番知った方がいいことは隠したままなのだろう。


 久しぶりに再開した時、ルイは前と全然雰囲気が違った。

 異世界にくる前の白鳥 涙はいつも人を避けているように見えた。

 いや、こちらが避けたり睨んだりしているから、向こうもそれが嫌で避けるようになったんだと思っている。


 こっちで会わないようにしていたのも、向こうですごく仲が良かったのが恵美と誠司と穂乃果、聖也くらいしかいなかったからかもしれない。

 あの4人だけが別行動をしてたから、助けを求めてたから助けただけで、クラスメイトのことなんてどうでもいいのかもしれない。

 わざわざルイが持っている情報をこっちに教えろというのが図々しいのかもしれない。


 きっとクラスメイトだから仲良くしようと言っても、もう意味がないだろう。

 その言葉は異世界に召喚される前に言うべきだったものだ。

 

 今更仲良くしようとしても、何か裏で利用しようとしていると思われしまうだろう。



 ◆◆◆◆



「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・」

「・・・・・・・・・・・・」




「・・・…この空気気まずいよぉ!誰がこんなに気まずくしたの!」


「全員じゃない?」

「めぐるじゃね?」


「…僕じゃないよぉ!」



「・・・・・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」


 再びひんやりした空気になってしまった。

 全員が黙ったままだと周りがどんどん冷え込んでいってしまう。


「これからどうする?」


 みなみが話を出してくれた。

 ずっと全員が黙っていたためか1人が話し始めただけで空気が温かくなり始める。


「ルイのこと?」


「呼び捨てでいいのか?」


「苗字知らないから本名で呼べなくて自動的に呼び捨てになるでしょ。」


「それはそうだな。」




「今までルイと全然仲良く話したことなんてないから、どうやって話せばいいかとか距離感が全くわからない。」


「わかる。どこまでふざけていいのかとか、どんなノリで話せばいいのかが全くわからん。」


 



「次からどんなふうに話せばいいのかな?」


 クラスメイトたちは、ルイとどう話せばいいのか悩んでいるみたいだ。

 次に会うときにどんな話し方になるのかはわからない。


「見た目が中二病っぽかったな…異世界だからかなと思ってたけど………。」

 


 ◆◆◆◆



『あーあ。ついにバレちゃったねぇ。あんなに隠そうとしてきたのに。あなたが隠そうとしてきたから、私もクラスメイトたちからあなたの名前と思い出を消したのよ。』


「やっぱりあんたがやってたんだ。相変わらずのクソババアだな。」


『クソババアじゃないわ。ちゃんとお母さんと呼んでちょうだい。これは命令よ。』


「なんて無駄なことに使ってるんだよ。これさ、効力切れるまでお母さんはしばらくこれを使えないんだぞ。

 は゛ぁ…変なところでこだわるなk…ぉ母さん…。」


 このまま殴り込みに行って、潰して帰ってきたい。

 本当に強引に従わせようとしてくるから嫌になる。

 そんな母親が×3人…。全員がそんな性格だからどうすればいいんだか。


 倒せるなら倒しに行きたいな。クラスメイト…勇者のレベル上げしている暇なんて本当はないんだから。


「で、魔神側はどうなんだ?最近はあんまり動きがないんだろ?」


『そうねぇ。何か仕込みをやっているみたいよ。あの争いのせいでも合わせて3人倒されちゃったもの。

 私たちとのなかは完全に悪くなったわ。』


「昔は仲間同士だったのに今は敵同士だもんな…。」


『そうだわ!今度こっちに会いにきなさいよ!最近久しぶりでしょ?』


「はぁあ!嫌だからな!絶対に行かないからな!」


『じゃあこっちから会いに行くわ!もちろん3人でね!』


「あのさちょっとまっt___『じゃあ早速準備するわ!』_おい!」


 それから返事は返ってこなかった。

 話しているだけで本当に疲れる。

 1人だけでもこれなのに3人となるとその疲れは3倍に…いや、3乗に…。


「どうにかしてあのクソb…たちを止めに行かないとな…。」





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