42話 ?????
「ネクロシア様はまだ戻ってきていないのか?」
暗い部屋の中で誰かが話している。部屋はとても広く、天井には大きなシャンデリアがぶら下がっている。だが、そのシャンデリアにあかりはついていない。
その部屋にはとても長い黒いテーブルが置いてあり、豪華な椅子がいくつも設置されている。
その椅子には、何人もの人が座っている。
どんな人物が座っているかは顔が見えないためわからないが、共通点と言えるところがある。
それは角があることだ。形が一緒なものがいなくても、必ず頭に角が生えている。
「ああ、ずっと部屋の中で何かをやっているのだが何をするつもりなのかは教えてもらえなかったのだ。」
「普通部屋でやることは教えてくれるわけがないわよ。あなたバカじゃないのかしら。」
「あぁ?いや、そうなのか?」
「ほんっとあなたは気づかないのね。ネクロシア様も隠したいことや私たちに言いたくないことぐらいあると思うのよ。私たちは彼の方の全てを知っているわけではないわ。」
「いいこと言うじゃないナムト。」
「ネクロシア様、戻ってきていたのですね。」
「ええ部屋でやることもなくなったもの。」
いつの間にか自分の部屋から戻ってきていたネクロシアは、金色の髪に灰色の4本の角が頭から生えている。
顔は部屋が暗いせいでよく見えない。
そのため、ナムトなどが敬っているネクロシアが何者なのかもわからない。
「久しぶりにあの子に会いにいくことになったわ。」
「あの子というと…まだ元気にしていたのですか?今は亡きロマリファルム様が命をかけたのにも関わらず?」
「ええ、ピンピンとは言えなくても元気にしているわ。ラフェラリアに久しぶりに生き残っているみんなで会いに行かないかって誘われたの。私たちの仲は最悪だけれどもあの子のことは愛しているもの。全てを支配してあの子がやろうとすることは全て私がやってあげたくなってしまうの。」
ネクロシアは口角をグッと上に釣り上げさせて笑った。
笑っているのにも関わらず、その表情は歪んでいて、とても笑っているようには見えない。
「では、私たちもついていってよろしいのですか?あの子とは一度あったことがあるのですがそれっきりなので私も久しぶりに会いたいのです。」
「そうねぇ。どちらにしろ人の国には攻め込むつもりだったもの。そのついでという感じならついてきても構わないわ。」
「俺も言っていいのか…ですか?」
「ええ、もちろんいいわ。今ここにいない他の子達もみんな連れて行きましょう。だけど、ついていっても壊しすぎは絶対にダメよ。壊しすぎるとあの子はすごく怒っちゃうから。今回はラフェラリアと一緒に会いにいく前の様子見のつもりなのよ。」
「ありがとうございます。早速他の方々にも伝えてきますね。それで、いつ頃会いにいく予定なのでしょうか。私たちもいろいろと準備が必要ですので。」
「じゃあ魔物を持って行きたいだけ用意して、なるべく早く行きたいわね。そうだわ、1週間後にしましょう。本当は3日にしたいけれどもそれじゃあ短すぎるでしょ?その時になったらあなたたちの家に迎えにいくわ。」
「わかりました。早速準備を始めます。」
「おい、待てよナムト。俺にも準備の仕方を教えろ。」
ナムトともう一人の男は部屋から出ていった。扉を開けることなく。
部屋の中にはネクロシア1人しか今はいない。
1人になった部屋のなかで彼女はあるものを取り出した。
「ふふふ。最後に会ったのは3000年も前だものね。やっぱり大きくなってるのかしら。でも、あの子は全然身長が伸びない子だったわね。今も私より小さいままかもしれないわ。
どちらかというと私はそっちの方がいいわ。自分の膝の上で世話をすることができるじゃない。
いつかあの子は私のものになるのだから。あの子を殺さないためのアイデアをず〜っと考え続けて、その結果のロマリファルムの犠牲だもの。今まで少しずつ弱らせて弱らせて弱らせ続けて…やっと隙を見せてくれそうなんだから。
うふふふふふ。本当に時間がかかったわ。」
ネクロシアは突然笑い出す。
「あははははは。もうすぐよ。もうすぐずっと仲良くしていた母親が行きますからね。私、あなたが絶対に傷つかない場所でずっと世話をし続けるわ。
ラフェラリアにあの子は渡さないわ。あの子は強すぎるからもう少し誓約を強めないとダメだったのよ。今のままじゃ解除されかねない勢いだったもの。それを止めていたのが私よ。だからあの子は私のものにならないといけないの。私たちの子供なのだから。誰かのものになるのは最初から決まっていたのよ。」
そう笑いながらネクロシアは取り出したものを見つめる。
それはこの世界には存在していないはずのもの。たった1枚の写真。
写真の中には6人の女性と1人の子供が笑顔で写っている。
中心に子供。その周りを女性が囲っている。
女性のは真っ白な翼をを生やしている。そのうち3人は頭に光の輪を、もう3人は頭に角を生やしていた。
そして中心にいる子供は、白い髪に金色の目。背中には白い翼が生えている。
この写真にはメッセージが書かれていた。
『ルイと私たちの初めての写真 ずっと一緒に暮らそうね』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます