28話 宝物庫ってワクワクしない?
今、私は宝物庫の中(ほとんど武器庫)を見て回っている。穂乃果と聖也はそれぞれ別々に行動をしている。アリーシスに、私のと誠司のはルイくんが用意してるって言われたけど、受け取る前にこの部屋の中とかしっかり見ておきたかったから今は別行動。誠司と一緒にいるのは、向かっている場所が同じだから。
あとは、ちょっとこういうのってテンションあがっちゃったりするでしょ?普段は絶対に見られないものだし、地球でこういう部屋を持ってる人もほとんどいないから。いたとしても入れないでしょ。
「やっぱりすごいね。誠司。」
「確かにすごいな。おんなじデザインのものがほとんどない。」
「気にするのそこなんだ。」
誠司はやっぱり見るところが人とはちょっと違う。私は、数とか豪華さとかを見てたけど、誠司はデザインに注目してたりするから、指摘されると確かになって思うこともある。デザインも確かに全部違うね。同じ剣でも、形や大きさ、装飾に色まで全部が違っている。こんなにたくさんの種類があると、見ているだけで楽しいし、全部見てみたくなる。
「なんか俺、昔さ、こういう宝の部屋!みたいなところに入るのずっと憧れてたんだ。」
「わかる!なんかこういう部屋って入ってみたいとか思うよね!」
誠司。そのなんかこういう雰囲気の部屋に入ってみたかったり、そういう部屋を探してみたかったりする気持ち、よくわかるよ。本でそういう場所があるって知ってから、宝探しとかにハマったみたいに。そういう子供の時に憧れたことが今叶うなんてすごく嬉しくなるよね。
「アリーシスが言ってたルイからの預かり物ってこれじゃないか?」
突然そう言って誠司が指さしたのは、ガラスケースの中に一つずつ飾られている杖と剣だった。
剣の方は、銀色がベースでほんのり赤みがかっている。そして、ガードの部分は真っ赤で、持ち手は滑りづらいよう加工されている。
杖の方は、焦茶色の木を使っていて、青と金の装飾に銀糸の刺繍が施されている。
「誠司?これじゃないと思うよ?だって、どうみても他のより高そうじゃない。絶対ヤバいものだよ。」
「いや、絶対これだぞ。だってここに誠司用、恵美用って書いてあって使い方説明書まであるじゃんか。」
そう指摘されて、私は初めてその存在を認識する。とりあえず説明書とやらを読んでみようと思う。
誠司用 魔剣ヴァイスベリル
これは誠司用のやつだ。きっと誠司は火属性を確実に持っていることだろう。というわけで、火属性の魔剣を用意してみた。もし、他の属性だったとしたら、まぁ頑張ってくれ。
これ、元は龍の巣で見つかったもので、壊れかけてたから気合いで直したやつなんだ。全ての属性を強化すると強化率が大幅に下がるから、火属性特化にさせてもらった。だから、剣に魔力を流すだけで火属性を付与することができる。わざわざ魔法でやる必要がないってことだ。無属性で剣ごと身体強化すればいいと思う。
ここまでが基本的な機能。ここからはちょっと特殊な機能の方に入っていく。これは〜まぁ使ってみてからのお楽しみだ!とか言ってみたかったが、何もしらない状態で使うと大惨事になると思ったから、しっかり説明しておく。読まずに使ったら本当に大変なことになるからな。念を押しとくぞ。絶対説明を読め。
さて、この剣には意志がある。きっとそうだろうなと予想してたんじゃないか?まずは剣としっかり会話をして、仲良くなっておけ。仲良くなればなるほど、自分がやりたいことをはっきり伝えられて便利になる。
よし、お前の武器についてはこれで終了。頑張って使いこなしてくれ。
「誠司の剣。ルイくん…。ちょっとやりすぎじゃないかな。」
「しかもなんでたくさんあるうちの属性からピンポイントで俺の属性を当てられるんだよ。マジで外してたらどうするつもりだったんだ。」
「しかも作ったって書いてあるけど、ルイくんならやりかねないよね。いまだに本気を出したこと見たことないから、やろうと思えばなんでもできちゃうのかもしれない。」
「きっと恵美のやつもヤバいぞ。驚きが冷めてまた驚くより驚いてるときに見た方がいいと思うぞ。」
「じゃあ、もう見ちゃうよ。」
私は自分の杖の方の説明に目を通し始めた。きっと最初からとんでもないことが書かれてるんだろうなって予想はしてたけど、それ以上のことが書かれてるなんて思わなかった。
恵美用 水晶杖ティアクリスタル
こっちは恵美用。お前は絶対聖女とかやってそうだとか思ったから、光属性を突っ込んだ。
大変だったんだぞ。光輝龍と交渉して、背中にくっついてる水晶を手に入れるのは。
まあ、それはともかく、この杖は光輝龍の背中にくっついてる水晶がメインでできている。きっと恵美はあれっ?と思ったことだろう。この杖は焦茶色なのにってな。もちろん偽装だ。流石に光輝龍の水晶で作られた杖なんて、世界中探しても数本しか見つからないからな。気づく人は気づくから一応見た目を変えている。ただ、偽装したせいで本来の性能よりは少し劣る。だから、どうしてもさらに力が欲しい場合は、偽装を解除してくれ。そうすれば、透き通った本来の姿に戻るから。本来の姿に戻った時の機能はお楽しみということで。
で、この杖にたくさんついている装飾は、余った魔力を貯めておける魔道具だな。今は失われている付与を使ってるから、一点ものだぞ。めちゃくちゃ魔力を貯めておけるのが利点だ。俺も非常時用に持っているくらいの魔道具だからな。そこらにある魔力を貯める魔道具とは容量が全然違う!
誠司の剣よりは扱いやすいと思うから、大事に使ってくれ。
「ルイくん…本当にやりすぎ。こんな恐ろしいものを持たせようとするなんて。」
「この感じだと、クラスメイト用もヤバいやつばっかだぞ。穂乃果の方も見に行こうぜ。」
「そうだね!穂乃果を拾ってから聖也の方にも向かおう!」
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