29話 びっくり性能
「穂乃果、色んな意味で大丈夫〜?」
「恵美…それはどういう意味で言ってるの?まあ、大丈夫だけど。」
「ああ、まだ武器の性能説明書見てないよねって聞きたかったんだ。」
「それのこと?まだ見てないよ。たくさんあるからどれにしようか悩んでたんだ。恵美はどれにすればいいと思う?」
穂乃果は、まだ用意されていた武器の性能を見ていなかったみたいで、ホッと息を吐く。穂乃果はびっくりしたり驚いたりすると、固まっちゃったり、ふら〜ってなったりするから。武器がたくさんありすぎてよかったよ。
選びきれなくて、どれにすればいいか聞かれたけどどれにすればいいかな。性能重視かそれとも見た目の好みか。だけどここにある時点で性能はびっくりするくらい良いから、見た目で選べば良いと思うんだ。
「えっ、う〜ん。ここにあるのの性能はどれもすごく良いから、穂乃果の好きな色で選べば良いんじゃないかな。穂乃果の好きな色って緑だよね。緑色の杖を選べばいいんじゃない?」
「緑色!うんすごく好きな色だよ。特に青緑とまではいかなくても青っぽい緑で、翡翠みたいな感じが特に好きかな。
相談してよかったよ。ちょうどすごく好きな色があったし、名前は空の樹?まあ、説明を見ないとどんな杖なのかわからないからちょっと見てみるよ。」
そう言って、穂乃果は説明書に目を通し始めた。
名前・空の樹 杖 属性・風、水
これは、空に存在する大陸、天空の園という場所に生えている大樹の枝を使って作った杖だ。空を飛べない限り取りに行くことはできないので昔でもかなり貴重なものである。ただし、それは人族にとってはということだ。天人族は、当たり前のように空が飛べるため、割と有名で使いやすい素材だったりする。人族にとって
さて、性能についてだが、これは風属性と水属性を強化してくれる。しかも、これの元になった素材がちょっと特殊なため魔法の発動速度が大幅に上がる。これだけじゃ物足りないと思ったので、見栄えの良さも考えて、緑水晶に付与をして杖につけてある。付与の内容は、恵美の武器と同じように魔力を貯めておくことができる効果をつけている。
「きゅう。」
「穂乃果、大丈夫!」
「あれ?恵美もこっちにきてたんだって穂乃果倒れてる!大丈夫!?」
やっぱり穂乃果は倒れた。まあ、こんなにびっくりの性能だと当然驚くよね。しかも、かなり昔に作られたものだし、歴史的価値もある。素材もやっぱり貴重なものだからいくら払ってもいいからと言って欲しがる人も多そう。穂乃果を起こそうとしている時に、アリーシスもこっちにきた。そういえばアリーシスはどこに行っていたのかな。近くにいなかったからあまり気にしてなかったけど。
「アリーシスはどこに行ってたの?ここにも武器類はたくさんあるけど。」
「ああ私はね、武器類をしまってから、そのほかのを取りに行ってたんだよ。ポーションとか、防具とか、魔道具とかをね。昔使ったやつの残りなんだけどさ、あるなら持っていかないと勿体無いでしょ!」
昔の残りのポーションとかか。腐ってないといいな。飲み物って意外と腐るし。でもきっとルイくんのことだから、なんか見てもよくわからない技術でなんとかしてるんだとは思うけどさ。
「アリーシス。どうにかして、穂乃果を運べないかな。できなかったら寄り道してる誠司に任せるけど。」
私がアリーシスに聞くと、彼女は少し考えた後に一本の棒と一つのアームを取り出した。アームはUFOキャッチャーによくあるような形をしている。そしてアームの方を穂乃果の胴体につける。一本の棒をそれに近づけると、丸いものと棒が引き寄せられて穂乃果が浮いた。
「すごい!浮いてるよ。これってどうやって作ったの?」
私は驚いて、アリーシスにどうやっているのかを聞く。
「えっとね、ルイが作ったやつだから詳しくは知らないけど、アームと一本の棒の間は磁石?の仕組みを使って、棒の方に浮遊の付与をして浮かせてるんだって。魔力を流した人が、これを操作できるみたい。」
「へぇ〜。女性でもこれなら楽に運べるね。」
「見た目はすっごく悪いんだけどね。」
「確かに。」
この道具はすごく便利だ。運びやすくて、運べるものも多い。だけど、人を運ぶときの見た目は確かにすごく悪い。だって胴体に取り付けたアームを棒が引っ張り上げると手が重力で下にだらんと下がる。それでくの字のように体がカクッて曲がるからなんか苦しそうに見える。
「よし、このまま聖也も拾って地上に出よう。」
私とアリーシス、倒れて運ばれている穂乃果は、途中で誠司を拾った後聖也の方に向かう。聖也は前の勇者が使っていた聖剣を取りに行ってるから、私たちは1番奥までいかないといけなくて大変だった。
奥に行くと、聖也が聖剣を触ろうとしてはまた離れてという奇行をしていた。
「聖也…お前は何をしているんだ。さっさと剣を取れよ。」
「それをいうのは説明を見てからにしてくれ。」
誠司がそう言ったら、聖也がそう言い返した。まあ説明は見るけど、今までずっとびっくりな性能を見てきた私はもうどんな性能を見ても滅多に驚かないよ!
蓮ヶ浦 凛斗が使っていた剣
長い間聖の魔力を蓄えた結果、聖剣となった剣。魔族や魔王に非常によくきく剣。魔物にもよくきく。
この剣は基本的に光属性だが、纏わせる属性を変えることで、属性を変えることができる。他にも、剣には意志があり、仲良くなることでさらに力を引き出すことができる。ガードには魔力を貯めておくことができる。あとは、びっくりするくらい切れ味が良くて、引いてしまうほど頑丈。
他にも隠された効果があるかもしれない。
「わぁ。これは確かに驚くね。」
「まだ隠された効果があるのかよ。でもさっさととれ。」
「やめてくれ。自分で取るから。」
そう言って、聖也は置かれていた剣を取った。
「これを使って蓮ヶ浦 凛斗さんは魔神を倒したんだね。僕たちがこれから倒そうとしているのは魔王だけど、魔神はもっと強かったのか。」
「わからないよ。だけど、頑張るしかないよね。」
「よしっ、これで最下層攻略完了だな。あとは外に出るだけだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます