5話 最強の天人族が仲間になった

 






 昨日はぐっすり眠ることができた。初めて外で寝たけど意外と気持ちがいいんだな〜。


 初めてする外での睡眠はキャンプじゃなくて、モンスターを討伐した後の野営だとは昔は思わなかっただろうな〜。




 寝床から出るとルイさんはもう起きていた。彼はもう出発する準備をしていて、すごいなと思った。




「おはよー。睡眠時間が短かったからまだ眠いぜ。」


「おはようございます。」


「恵美ちゃんおはよ〜。」




 誠司たちも起きてきたみたい。眠れなかったりしたようなことはなさそう。私は少し安心したわ。




 私たちも、ルイさんの片付けを手伝い、王都に戻る準備をする。そして朝食をとる。ルイさんに渡されたのは、黒パンと干し肉だった。ルイさんは「めんどくさいからこれでよしとしてくれ。」と言っていた。


 黒パンと干し肉というのは私は小説で読んでいただけで知識しかない。初めて食べた干し肉は塩辛くて、ビーフジャーキーのさらにしょっぱい版みたいな味がした。すごく硬いけどかなり美味しかった。黒パンと挟んで食べると塩辛い味が落ち着いて、程よい塩気があった。




 朝食を済ませてから、私たちは王都に戻っていく。私たちがレベル上げに使った森は王都から徒歩5時間


くらいの距離がある。私たちは今まで生きていてここまで長い距離を歩くことがほとんどなかったから、予定よりだいぶ遅れてしまった。




 城壁が見えてきた時、ルイさんは一旦道の隅っこに寄ってどこからともなくマントを取り出した。背中から翼が生えている種族は天人族と魔人族のみで大変目立つため羽織って翼が見えないようにするそうだ。特に翼が黒いと、昔勇者の仲間だったことがほぼ確実にバレるみたい。ルイさんはいろんなことを経験して失敗してきていると知る。その経験が役に立っているんだと思う。




 本物の天人族を見るまでは、私は翼が出し入れできるから人の世界で暮らしているのかなと思っていた。でも、それは魔人族の翼のことなんだって。天人族の翼は出し入れできないみたい。出し入れできないからすぐ天人族だと分かってしまう。だから上からマントを羽織って大きな荷物を背負っている人。みたいない外見に見えるようにしているんだって。




 私たちの初めての魔物討伐は、ハプニングがあったものの、一応終了することができた。護衛の騎士の人も亡くなってしまったから無事に帰ってくることができたとは言えないな。






 ◆






 王都に帰ってくることができた時、私たちはすごく安心した。穂乃果なんて泣き出しちゃってたよ。




 お城に帰る時にルイさんは言っていた。


「この国の王に会っておきたいから城までついて行かせてもらってもいいか?まあ、どんな返事でも行くがな。」




 正直今のは質問をする意味がないと思う。どっちにしろついてくるのは決定事項じゃない。でも、城の衛兵の人に必ず止められてしまうと思う。絶対無理だと思う。




 いざとなったら私の知り合いだと言って通してもらおう。一応助けてくれた恩人だし。




「部外者が城の中に入るのは許可されていない。」




 ルイさんはやっぱり止められた。なぜいけると思ったんだろう。彼はこうなったら仕方ないというように羽織っていたマントを脱いだ。




「国王に、いちおう挨拶をしておきたい。だから中に入れて欲しい。」




「黒翼の天人族...。少し待っていてほしい。上のものを呼んでくる。」




 そう言って衛兵の人は走って行った。






 ◆






 その後、なんとルイさんは私たちと無事に城の中に入ることができた。


 城の中に入ると、クラスメイトのみんなが飛び出してきて私は、無事に帰ってこられてよかったと思った。




「恵美が帰ってきたよー。よがったー。心配したんだからね!」


「金竜…。お前はなんかの小説の主人公みたいにいろんなことに巻き込まれてるな。まあ、がんばれ。」




「穂乃果、おかえり。疲れたでしょ?お風呂にする?それともご飯にする?全て私が付いてくるわ。」


「うん。疲れたから一回お風呂に…はっ。危なかった。引っかかっちゃうところだった。」




 みんなが一旦落ち着いてから、私たちは昨日何があったのかを話し始めた。








「なるほど。大変だったんだな。無事でよかったよ。」


「私たちは助かったけど、ついてきてくれた騎士の人が死んじゃって…。」




「今は暗くならないで!で恵美たちを助けてくれたのはどんな人なの?」


 私はすっかりルイさんのことを伝えるのをわすれていた。




「ルイさん!ちょっと今隅っこにいないでこっちにきてください。」


「引っ張るな。自分で歩ける。」




 私は隅っこにずっといたルイさんを引っ張ってみんなのところに連れてきた。ふふ、みんな驚いているみたい。やっぱり地球にはなかったものを目の前で見ると驚くよね。私も驚いたもの。




「紹介するね。この人はルイさん。私たちを助けてくれて、いろんなことを教えてくれた人だよ。」


「紹介してもらったルイだ。よろしく。今の勇者方。」




「「ええええええええ」」




 今、ルイさんが姿を見せて私が紹介した時に気づく人は気づいたみたい。ルイさんがあの名前がわからない黒翼の天人族だってことに。




「すご〜い。私たちの中でも結構話題に上がる人が目の前にいるなんて!」


「えっ、なんの話をしてるの?」


「日菜わからないの!1番その話をしているのは日菜なのに?」


「えっと。目の前の人、多分あの人は天人族ああっ。名前がわからない勇者と戦った人だ!」




 みんなが徐々に気づくようになってきたね。そろそろ言っちゃいたいな。ネタバラシしたくなっちゃうな。誠司も、金竜も、穂乃果も、早く言い出しだくてソワソワしているみたい。


 よし、もう言っちゃおう。3人に合図を送る。




「みんな、少し補足するとこの人は昔勇者と戦った天人族です!なんとそんなすごい人が、魔王を倒すために私たちについてきてくれることになりました。」




「うおおおおおおお」




ー最強の天人族が仲間になった!




 みんなが集まっていた部屋が一瞬で賑やかになったよ。サプライズ大成功だね。




<ピコン>(この音は聞こえないようになっています)






 ◆






 サプライズを成功させた後、私たちのパーティーは自分たちのステータスを確認した。


すごく上がっていて、すっごくびっくりしたんだ。










名前 青花 恵美  年齢 14歳 性別 女 


種族 異世界人


称号 異世界の勇者、黒翼の天人族の友人


ジョブ 聖女


レベル14  +13↑


体力 54  +39↑


魔力 775 +325↑


筋力 36  +26↑


俊敏 30  +15↑


防御 28  +13↑


魔防 700 +300↑




魔法 水レベル1、光レベル2、聖レベル2


スキル 鑑定レベル3、杖術レベル1






名前 赤坂 誠司 年齢 15 性別 男


種族 異世界人


称号 異世界の勇者、黒翼の天人族の友人


ジョブ 聖騎士


レベル14   +13↑


体力 350  +200↑


魔力 165  +65↑ 


筋力 330  +180↑


俊敏 145  +65↑


防御 230  +80↑


魔防 200  +100↑ 




魔法 無レベル4、火レベル3


スキル 鑑定レベル2、剣術レベル3






名前 金竜 聖也 年齢 15 性別 男


種族 異世界人


称号 異世界の勇者


ジョブ 勇者


レベル14   +13↑


体力 280  +130↑


魔力 280  +130↑ 


筋力 280  +130↑


俊敏 280  +130↑


防御 280  +130↑


魔防 280  +130↑ 




魔法 無レベル3、雷レベル2、氷レベル2、樹レベル2、光レベル3、聖レベル2


スキル 鑑定レベル2、剣術レベル3






名前 空島 穂乃果 年齢 14 性別 女


種族 異世界人


称号 異世界の勇者


ジョブ 魔法師


レベル14   +13↑


体力 46   +26↑


魔力 780  +380↑ 


筋力 21   +13↑


俊敏 23   +15↑


防御 36   +18↑


魔防 600  +250↑ 




魔法 火レベル1、水レベル2、風レベル4、土レベル4


スキル 鑑定レベル2、杖術レベル2




「みんなたくさん上がったね。」


「恵美と空島の魔力が上がり過ぎじゃあないか?」


「赤坂くんだって体力と筋力がすごく上がっているじゃない。」




「なあ、誠司、青花。この黒翼の天人族の友人というのはなんだい?」




 金竜くんにそう言われて見てみると、確かに<黒翼の天人族の友人>という称号が増えていた。いつ増えたのかわからなかった。




「ちょっと詳細を確認してみるね。」


 


 私は鑑定を使って、その称号の詳細を見てみる。






<黒翼の天人族の友人>


 黒翼の天人族の友人である証。彼とあなたはとても仲が良い。例え違う姿になったとしても、再び出会い仲良くなることができるだろう。






「そのまんまだね。なんで金竜と穂乃果にはついてないのかな?」


「どういう意味なんだろうな?これ。」




 称号<黒翼の天人族の友人>。この称号はなんでついたのか。それはなんで私と誠司にしか称号がついていないのかが分かれば、知ることができると思う。私はそう思った。






ーコンコン、ガチャ




「なあ、少しいいか?」




 ルイさんが部屋に入って私たちに声をかけた。ルイさんから話に来るなんて結構珍しいなと思う。


 あと、扉を開けるのはノックをしてすぐじゃなくて中にいる人が返事をしてからのほうがいいと思う。




「恵美と誠司に話がある。あとで話したいから夕食を食べた後に俺の部屋に2人だけで来てくれないか。」


「別に構わないけど。」


「あとで向かおうぜ。」




 私と誠司とルイさんは、夕食を食べた後3人で話す約束をしてから、集まりを解散した。


 


 ルイさんは私と誠司に何を話そうとしているのかな?




  






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