14話 記憶のまとめ
<恵美 視点>
「よし。それじゃあ今からさっき見た記憶をそれぞれ共有して整理しようか。」
私たちはパズルをクリアして記憶を見た後、休みながら情報の共有を始めた。みんながどんな記憶を見たのかすごくにになるし、全員何かを伝えたいみたいだから。あとこれは帰ってからクラスメイト全員に共有するよりも、自分たち4人と+ルイくんで共有した方がいい気がするから。
「じゃあまず私から。
私は、ルイくんとリントさんが日本の話をしようとしてるところを見たんだ。だけど伝える前に、魔神が死の呪いをかけたから全てを伝えることができなかったみたいだけど。
そのあと死の呪いでルイくんたち天人族が全員倒れたんだ。ルイくんを起こそうとするリントさんを最後に見て記憶は終わったよ。
私が見たのはこんな感じ。」
私が見たものを他の3人に共有する。誠司にはうっかり先に話しちゃったけど、きっと誠司は忘れてるから大丈夫なはず。
「次は誠司よろしく。」
「俺が見た記憶はかなり短かったぞ。ただすごく辛そうだった。
ルイは仲間が大勢死んだ中で自分が生き残ってしまったことで泣いていた。自分の意識がない時にそんなことが起きたんだ。大量の墓の前で叫んでたよ。」
「「「・・・・・・・・・・・・・」」」
私たちは何も言えなかった。だって自分たちはそんな経験をしたことがないからどう思うのかわからないし、どう声をかければいいかもわからないから。
自分以外の同じ種族の知り合いがいなくなる。私たちで言うと、自分以外の人類が絶滅したみたいな感じだ。実際にそうなったことがないからどんな感じかわからないけど、すごく辛いことだけはわかる。もしかしたら辛いだけじゃ説明しきれないのかもしれない。
「…次、僕が言ってもいいかな?」
微妙に重くなった空気をかき分けるように、金竜が話題の続きを始めてくれた。まあ黙ってるよりは空気が軽くなるから。
「僕が見たのは、多分黒翼の天人族って呼ばれるようになった後の記憶だと思う。そのとき見たルイは別人みたいだったよ。
いつも不機嫌そうな顔で、声も平坦。冷たくて、感情も全然表に出していなかった。
でも1人の時、体調を崩してたり、リントと2人だけの時、泣いていたりした。あのあとかなり無理をしていたんだと思う。」
「そう。ありがとう。最後に穂乃果よろしく。」
「うん。えっと私が見た記憶は、光っている花畑にルイとリントが来たところから始まったんだ。
花畑に向かって手を合わせてたから、多分そこが仲間のお墓なんだと思う。ルイはずっと花畑に向かって謝ってた。死にたいとも言ってた。雰囲気もすごく怖かった。」
やっぱ暗い記憶が多いな。みんなの話を聞いてるうちに多分そうかなと思い始めてたけど、辛い記憶ばかりだよ。自分を責めるくらい追い詰められてて、それだけ困っているのに私はルイくんのところにいてあげられなかった。
できることなら昔のルイくんのそばに行きたい。
「あともう一つあるんだ。ルイはね、リントに先に帰ってもらったあと私に話しかけてきたの。リントは私のこと見えてないみたいだけど。なんで、未来から記憶を見ている私と、昔のルイがが話すことができた理由はルイは心当たりがあったみたい。
それに、ルイと少し話したよ。私たちが今何をしてるかとか。ルイはすごく恵美と誠司のことを心配してた。嫉妬しそうになるくらい。
元の迷宮の中に戻ってくる時に、絶対諦めないで待っててって言ってたよ。」
いいな。穂乃果はルイくんと会話ができたんだ。私もその記憶が良かったな。
「穂乃果、ありがとう。ルイを元気づけてくれて。」
私は、昔のルイに言いたかったことを言ってくれた穂乃果に感謝した。
「…!えへへ、こちらこそ。」
穂乃果が少し照れちゃったよ。体をくねくねさせて、顔も赤くなってる。
「よし、まとまったよ。時系列に言えば多分順番はこんな感じになると思う。」
私はそう言ってから、書き終えたばかりの表を取り出した。
<時系列 整理>
最初 私
死の呪いが天人族全体にかかる直前の出来事。ルイはリントに転生したことを話そうとしていた。
↓
次 誠司
誠司が見たのは、死の呪いが発動してしばらく経ってからの出来事。呪いで倒れたルイが目覚めた時には、全てが終わっていて、天人族はルイ以外全員死んだ。
↓
次 聖也
聖也が見たのはまるで別人になったようなルイ。普段はすごく冷たくて、1人やリントだけがそばにいる時は、弱音を吐いたり泣いたりしていた。。
↓
最後 穂乃果
花畑で起きた出来事。昔のルイと話をした。何かを知っているようだったけど、それは教えてもらえなかった。記憶から元の場所に戻る時まで、ルイと話をした。
「こんな感じかな?まあ、予想だけど。」
とりあえず、時系列は多分これであってると思うんだけど。
「そろそろ先に行こうか。」
「そうだね。」
私たちは、ある程度休憩をしてから立ち上がる。
「ねえ、誠司。昔のルイくんが言ってた言葉覚えてるか今度試してみようね。」
「確かに楽しそうだな。」
最下層まで、まだ長いけど。少しずつ進んでいこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます