47話 遊びは終わらせない




「ちょっとは手加減してくれてもいいじゃん。ルイが手加減してるから私が思いっきり遊べたのに。」


 ナムトが悔しそうに言った。

 だけどさ、俺は手加減しているつもりなんてないよ。

 

「手加減なんてしてない。相手と同じくらいの力を出して、やっているだけだ。そうしないとこっちも楽しめなくなるから。

 だけど相手が予想外に強くなってたりすると力加減がブレるから、ナムトがそれだけ強かったとも言う。」


 まさか王都を無差別で攻撃してくるとはこちらも思っていなかったし。


「ねえ、わざと言ってる?自分の力を抑えるってところが手加減なんだよ?それ、わかってる?」


「だから手加減はしてない。相手に合わせてるだけだ。手加減っていうのは自分がわざと出す力を加減することであって、自分から相手と合わせに行くことじゃないから。」


「言ってること一緒だと思うけど…そんなふうに真顔で圧をかけてこないで…もういい。確かに手加減してないねー。」


 そうナムトはケラケラ笑い続けていたが、しばらく笑ったあと突然黙り込んだ。


 肉体的に限界が来てしまったのだろうか。

 傷つけたのは精神だけだからすぐにそうなってしまうことはないと思うのだが。

 うっかり致命傷を与えてしまったのだろうか。

 絶対にないと思いたいが今ここで寿命が来てしまったのか。


「あーあ、終わっちゃったな。遊びってね、やってる時はものすごく楽しいんだけど、終わる時は寂しいんだよ。」


 また口を開いたと思ったらそんなことを言った。


「突然なんでそんなことを言った?」


「えーだって楽しかったことがもう終わっちゃうなって。」


「たしかにナムトが死ぬことでこの遊びは終わるな。これから俺が終わらせるから。」


 そう。ナムトを倒せば遊びは終わる。


 遊びが終わったら後始末をしないといけないな。

 ナムトが王都をたくさん壊したし、俺も王都を守ることをやめて守るどころか壊していたから。

 

「ルイが終わらせるから遊びが終わるわけじゃないよ。」


 おい、それは何を言って…


 ふわりとナムトの体が宙に浮いた。

 彼女はまだ動けないはずだ。誰か、ナムトの仲間が助けに来たのか…


「私を捕まえに来た人が追いついちゃったからね。」


「ナムト。あなたはなんで先にこっちに来ているのかしら。

 私、3日後に出発するって言ったわよね。」


「ネクロシア様、最初1週間って言ってませんでしたか?あと、3日後に出発すると言っているのにどうして今ここにいるんですか?まだ1日しか経っていないんですが。」


「待ちきれなくなって、飛び出してきちゃったのよ。だけど、あなたも楽しみにしていると思ったから行く時間を遅らせてでも迎えにいったのに、まさか、先に言ってしまっているなんて。」


 ネクロシアはにっこりと笑いながら、自分のところに引き寄せたナムトに圧をかけながらそういった。


 ナムトがネクロシアをネクロシア様と言っている。しかも敬語を使っている。彼女があんなふうになっているところを俺は初めて見た。

 俺の前ではいつもふざけてたり、メチャクチャなことを言っていたり、悪口の大行列だったりするのにこの差はなんなんだろうか。


「ナムトって、ネクロシアの前だとそんな感じなんだな。」


 猫かぶってるんだな。

 本当はそんな性格じゃないのに。


「だってルイ。猫かぶってないとやっていけないもの。」


 認めた。

 なんで猫をかぶるようになったのかがものすごく気になる。

 昔はネクロシアに対してもタメ口だったし、誰に対しても突っかかっていってたし。

 本当、何でそうなったのか。







すみません。しばらく更新やめます。ちょっと書き溜めさせてください。

そのうち更新するのでその時は報告します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺は勇者召喚で転生した <リメイク前> こおと @waonn_towa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ