7話 友人が伝えたいこと




<恵美 視点>




ーこれは、恵美と誠司がルイが使っている部屋から出てきた後ー




 




 るいくんと再会して、部屋で話をした。私は、久しぶりにるいくんに会えて、すごく嬉しかった。だけどなんだかいつものるいくんと違うような感じがしたんだ。


 


 最初は地球にいた時の雰囲気だったけど、私はあんなるいくんは見たことがないよ。とても冷たくで辛そうな目をしてた。




「なあ恵美。涙のやつと再会することができたけどさ、今もまだ驚いてるよ。まさかこんな近くにいるなんて思わなかったな。」




「そうだね。顔はよく見れば一緒だなってわかるけど、雰囲気が全然違って気づけなかったな。会った時に気づけなかったことが悔しい!」




 いつ気づくか試してたって言ってたけど、るいくんは何も目的がない状態でそんなことはしない。詳しくは聞けなかったけど、また3人で話せる機会があったらそのことについても聞きたいな。




「誠司、私たちの敵が魔王だけじゃないってるいくん言ってたけど、どういうことなんだろうね?」


「俺もわからねえよ。とりあえず、絶対伝えろって言われたからな。とりあえず金竜に伝えようぜ。」




「そうだね。もう夜中だけど、金竜はまだ起きてるかな?」


「恵美、明日にしたほうがいいと思うぞ?」


「うん。でも大事な話だと思うから部屋に乗り込んで叩き起こそう?」


「お‥おう。」






 ◆






<誠司 視点>




 俺は今さっき涙のやつと再会した。ずっと近くにいたのに、久々に会った気しかしない。雰囲気も全然違ったからそれを言い訳にしよう。




 今日のあいつはなんだかおかしかった気がする。突然学校の時みたいに緩んだと思ったら、突然表情が引き攣って、突然無表情に戻るんだ。


 そして、その後突然真剣な表情になって大事なことを言うんだ。


 恵美は涙と再会できてすごく嬉しいと思っているとは思うけど実際どうなんだろうな。よし、聞いてみよう。




「なあ恵美、涙のやつと再会することができたけどさ、今もまだ驚いてるよ。まさかこんな近くにいるなんて思わなかったな。」




 恵美にそう言って話を振った。恵美はどういうふうに思っているのかが知りたい。




「そうだね。顔はよく見れば一緒だなってわかるけど、雰囲気が全然違って気づけなかったな。会った時に気づけなかったことが悔しい!」




 ちょっと質問を間違えちまったな。俺はそういうことを聞きたいんじゃあないんだが。まあ知ってて損はしないけどさ。


 悔しがっている恵美も可愛いと思う。恵美の知り合いじゃない男らは興奮して倒れてしまうのではないか。




 とりあえず、ちょっと質問の仕方を変えて、再び聞こうとした。




「誠司、私たちの敵が魔王だけじゃないってるいくん言ってたけど、どういうことなんだろうね?」




 その前に、恵美が先に聞いてきた。確かにそうだよな。ルイは詳しくは全く説明しなかったからな。




 魔王だけじゃないってこれ、ゲームで言ったら裏ボスのフラグみたいだな…。またどっかでルイに詳しく話してもらわねえとな。




「俺もわからねえよ。とりあえず、絶対伝えろって言われたからな。とりあえず金竜に伝えようぜ。」




「そうだね。もう夜中だけど、金竜はまだ起きてるかな?」




 おい、恵美もう夜遅い時間だ。流石にこの時間に起こすのは迷惑だと思う。それに俺ももう眠い。




「恵美、もう寝てるだろうし明日にしたほうがいいと思うぞ?」


「うん。でも大事な話だと思うから部屋に乗り込んで叩き起こそう?」




 恵美は引かなかった。恵美からの圧がすごい。まあ恵美の考えもわからなくはないが。




「お‥おう。」




 とりあえず金竜と穂乃果を起こして、誰もいないところに集まり、4人で話すこととなった。






 ◆






<恵美 視点>


 るいくんの話を聞いた後、私と誠司は金竜と穂乃果を起こしに来た。金竜は誠司と同じ部屋、穂乃果は私と同じ部屋だから、別の人を起こしてしまうこともない。




 だから遠慮なく叩き起こしに行けるね!






 まずは誠司と金竜の部屋に入る。気になる部屋の中は…。




 私は2人が使っている部屋を見る。




「うわぁ。誠司、これはちょっとやめたほうがいいと思うわ。」




 私の視線の先には左右真っ二つに分かれた部屋があった。




 右は金竜がすごしているところだと思う。まあ、金竜が寝てるから、そうなんだと思うんだけど。すごくきっちり整理されていて、埃ひとつないように見える。本当に人がここで暮らしてるの?って思うぐらいの綺麗さだ。




 反対に左の方は絶対に誠司だ。もし誰も寝ていなかったとしても、金竜と誠司にどっちがどっちで寝てるでしょう?とクイズを出されても確実に当てる自信がある。


 ものが散乱していて、金竜と同じ部屋だとは思えないくらい。


 これでも毎日このお城で働いている人たちが綺麗にしてくれているなんて信じられない。




「わ、悪い。」


「今度綺麗にしてくれている人にあったら、しっかりお礼を言ってね。」






 よし。金竜を起こそう!






「金竜うううぅぅぅぅぅぅ。起きてええぇぇ。」


 


 私は彼の耳元で大声で話す。ステータスが上がって素の身体機能が上がっているから耳元で大声で叫んでもちょっとうるさいだけで、何も問題ない。




「ん?んあ、なっ!?」


「ルイくんからあ、大事な話を聞いたからぁぁ、金竜とほのかに聞いてもらいたいと思ってえええぇぇ。」




「おっ、起きたか「今起こして回ってるののぉぉ!」もうやめてくれ!」




 金竜がしっかり起きたみたいなので、私は叫ぶのをやめる。




「早く起きて軽く身支度して。るいくんからの伝言があるから。」


「えっ、るいくん?ルイさんじゃなくて?」


「それも後で説明するから!ほ〜ら、ほ〜ら。」


 


 私は、金竜を押して急かす。金竜も慌てて支度を始めた。






 ◆






 金竜が支度をし終えた後、私と穂乃果の部屋に来た。




「よし!穂乃果を起こすよ!」


「さっきみたいに大声で起こすのはやめてやってくれ。」


「大丈夫。その必要はないから。」




 私は自信満々にそう言う。 






 私たちはなるべく静かに穂乃果のベットに近寄る。そして、




「穂乃果、起きて。るいくんから穂乃果に伝言を預かってる。起きて。起きないとベットから落とすよ。」


「ええっ!私おきりゅう。」




 穂乃果は飛び起きた。穂乃果は昔からこうなんだよね。一緒にお泊まりすることもあったから一緒に寝ることもあったけど、毎回私が穂乃果をベットから落としちゃってたから。ずっとそうだったから、ベットから落とすと自然と目が覚めるようになっちゃったみたい。




「穂乃果。少し髪と服を整えて。少し話しときたいことがあるから。」


「ん、うん。」






 ◆






 「で、話ってなんだ?」




 人が絶対に集まらないところ。私と穂乃果の部屋で集まって話し始める。


 なんで金竜と誠司の部屋でやらないかというと、誠司の使ってるところが汚いから。いくら毎日掃除してもらっちゃってたとしても、色々散らばってるところで話すのはなんか嫌だから。




「るいくんに伝言を頼まれたの。」


「るいくん?えっ涙?彼がこの世界に来ているのか。」


「おう。来ているどころかずっと一緒に行動しているぞ。」




「やっぱりルイさんが涙だったんだ。」




 穂乃果がポツリという。




「「「えっ?」」」




 3人の声が重なる。




「えっ穂乃果知ってたの?」




「ううん。確信は持ってなかったけどそうだろうなって。雰囲気は違うけど、顔立ちは似てるでしょ?声だって同じに聞こえたから。逆に聞くけど気づいてなかったの?幼馴染なのに?」




「うっ。それは…。気づかなかった。」


「俺も気づいてなかったぞ。」




ーー普段から涙と一緒に過ごしていた恵美と誠司は精神的なダメージを受けた。




 私は、穂乃果に聞かれて、気にしたこともなかったことを思い出す。指摘されてみると確かに声が似てたり、顔立ちが似てたりしたのかもしれない。なんで名前が一緒なのに、探ろうとしなかったんだろうって思う。




ーずうぅぅん




 私と誠司はひどく落ち込んだ。部屋の空気がものすごく重くなった。




「まあ、それは後にしよう。で、何を聞いたんだ?」


「うん、今からそれを伝えるね。」




 金竜は、この空気を読んでか、かなり無理矢理だが話題を変えてくれた。正直すごく助かったよ。






 ◆






「う〜ん…。敵が魔王だけじゃないってどういうことなんだろうな。誠司と青花もそれ以上は聞いてないのか?」


「うん、私も誠司もそれ以上は聞いてないよ。」


「また明日か空いてる時にさらに聞こうと思ってるけどな。」




「魔王以外の裏ボスって感じなのかな?」




 穂乃果もやっぱりその考えになったみたい。まあそう考える方がいいよね。




「じゃあ敵が魔王だけじゃないなら、どうすればいいかな?」




 私的にはレベルを上げ続けて、スキルも極めていければいいと思うけど、他のみんなの意見も聞いてみよう。




「やっぱり強くなればいいんじゃねえか?」


「同感だよ。レベルを上げて、強い人に戦いを教えて貰えば完璧なんじゃないかな?」


「私も、そう思うよ?だけど身近にいろんな武器が使えて魔法も使える強い人はいなかっ「「「いる。」」」えっ?あっルイがいた!」




 「もっと強くなるためにはレベルを上げて、尚且つ戦い方を覚えないといけないと思う。だから、ルイに頼んでみないか?」




「俺は賛成だぞ!」




 穂乃果も頷いた。私ももちろん賛成。




「じゃあ今日寝たら、明日にでも指導してくれないか頼んでみましょう!」






 私たちはもっと強くなるために、レベル以外に戦いのスキルを上げると決めた。るいくんが指導をしてくれるかはわからないけど、OKしてくれると嬉しいな。




「それじゃあおやすみ。」


「おやすみだな!」




 私は自分のベットに、誠司は自分が使っている部屋に戻ってあっという間に寝た。




「ねえ、僕たちあの2人に起こされたせいで眠れないんだけど…。」


「私も今同じことを思ってるよ。」




「「明日絶対怒ろう!」」




 金竜 聖也と空島 穂乃果は眠れなくなり空いてしまった時間をベッドの上で過ごした。







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次から新章に入ります。評価してくれると嬉しいです。



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