〜24話 エルフのヒミツ〜



「ーーーここです」


そうシアに案内されてきたところは繁華街の一角にある居酒屋の前へと着いた



「一応聞くけど‥‥もしかしてだけどエルフに関係ある?」


「ーーーはい」


やっぱりそうだったか

心なしかシアの手が震えているように見えた


「ーーシア」


「...はい」


「俺は人間だ...もちろん人間に思い入れはあるーーーが今はシアが1番大切だ、だからシアを第一に考えるしシアが1番好きだ」


「ーー?!え、そ、その‥‥嬉しいですが外で言わないでください!!」


そう顔を赤くして怒られてしまった

照れてるシアもかわいい


「ごめん、ごめん」


「ーーーその今から同族‥‥に会うんですけど、エルアが人間だからと攻撃されないか心配で」


「あー、なるほど」


同族というのはもちろんエルフのことなのだろう

ーーーえ?ここにエルフがいるの?


「わかった‥‥一応シアが怪我をしない事を第一優先で俺自身も気をつける」


「も、もう!エルアも怪我しないでください!!」


し、心配してくれるのは嬉しいですけど‥‥

と小声でつぶやいたのが聞こえた、やはり俺は難聴ではない

よかった

安堵あんどし、シアの続いて地下へと続く店へと入った


「‥‥‥‥」


中へ入ると中々賑わっていた

ーーー誰かが入って来たことに気がついたのか、店で働いているであろう人が最初にシアを見て次に俺を見た際に視線を鋭くしたのを感じた


「‥‥ここにいるのは、みんなエルフってことか」


「はい、皆さんがつけている装飾品で耳を隠蔽して人間として帝国で暮らしている人たちです」


見ると確かに魔道具であろう、ピアス、ネックレスや腕輪をほとんどの人が付けているのに気がついた

おそらくかなりの付与魔法がかけられた魔道具なのだろうが、シアに着せているマントを改めて見るとその魔法の高度さに驚く

もしかして森で渡してくれた人はエルフの要人だったのだろうか?


「ーーオーナー、お久しぶりです」


「ーー!!家出女じゃないか、久しぶりだな」


家出女、っと日本の酒場で言うところのマスターがそう返事をした


「ーーっとあんたは....エルフじゃねぇな、人間か?」


別に大声で聞いて来た訳でもないのに酒場の雰囲気が殺気だったのを肌で感じた

どうやら本当にここにいる人は全員、エルフらしい


「そうだが?」


「そうか.....この子に無理矢理案内させた、と言う訳でもなさそうだな」


「ち、違います!!」


シアがそう否定したのだが、後ろから聖霊魔法を発動させたような気配を感じた

おい、俺に撃つとシアにも当たるんだが?!やめろよ、撃つなよ?


「違うーー?じゃあその男とはどんな関係なんだ、主人か?」


「ーーー夫です」


「「なっーー?!」」


思わず自分でも声を出してしまった

オーナーは驚いたのに対し、俺は恥ずかしがりながら言うシアに思わず声を出してしまったのだ


「な、なんですか!エルアまで驚かないでください」


「あー、ごめん‥‥いや、恥ずかしがるシアが可愛くてな」


「か、可愛いってーーーここで言わないでください!!」


またもは恥ずかしがるシアに対し笑いをkpらえていると、


「えーっと...夫ってことは結婚したってことかい?」


「はい、私エルアと結婚したんです」


そう言いながら腕に掴んできてドヤっ、と効果音が出そうな顔でシアは告げた

うーん、可愛い


「ーーー無理矢理言わせてる訳ではなさそうだな」


「当然です、エルアを他の人間と一緒にしないでください」


「そ、そうか....まぁシアちゃんがそれでいいならいいさ....それで?要件は?」


「そうですね、このネックレスに隠蔽魔法を付与して欲しいのですが」


「了解。結婚祝いだ、料金はいいさ」


「ありがとうございます」


そう言うとシアはユニクッコロで買ったネックレスを若干、躊躇ちゅうちょしながらも渡した


そういえば朝起きる時もずっと付けてるよな、俺も付けているのだが

やっぱり好きな人が自分が送ったものを肌身離さず付けてくれていると思うと嬉しい


隠蔽いんぺい魔法ということは、ここではエルフ用に色々売っているということか?」


「はい、このマントでも良かったのですがエルアが来ていた時を思い出すと、カッコいいので着て欲しいなって」


「ーーーーーーー俺の嫁が可愛すぎる」


「え?」


「いや、なんでもない」


いつのまにか周りの雰囲気も元通りになりなごやかになって来たな...てっきり何人かがちょっかいをかけて来るのかと思ったのだが...


「ーーーあいよ、隠蔽いんぺいの魔法付与が完了したぞ...つけてみてくれ」


もう出来たのか、シアが受け取り一度マントを脱いでからネックレスを


「ーーーエルアが付けてください」


「あぁ」


うん、この何気ないやり取りが良い


「....そのマント初めて見たぞ、エルアと言ったか...おまえさんのか?」


エルフ用の魔導具を扱っているオーナーでもわからないのかそう聞いて来た

やっぱりこのマント色々謎があるな....まぁ個人的には気に入っているから良いのだが



「えぇ、大森林であった方に貰いましてね」


「大森林というと王国の西部にあるネグドラ大森林か」


「そうですね」


「ふーむ....」


オーナーが考え込んだのを横目にシアにネックレスを着け終わった


「出来たぞ」


「エルアどうですか?ネックレスに魔法を付与して貰ったのでエルフとバレないですよね?」


聞かれて改めて耳を見るといつも通り、人間の耳をしていた


「ーーーかわいいけど」


「けど?」


「早く帝国領を超えてシアの耳を堪能たんのうしたいなぁーーって」


あざとくキョトンとするシアの耳を優しく撫でながら、そう呟いた

やっぱりシアと夫婦になったのだしこう言うことを言っても大丈夫だよね?


「ーーーっっ!?」


かぁぁー

と耳の先まで赤くしたシアは立ち止まった


「ーーず、ずるいです!!」


「何が?」


「ーーーそ、外でそんな堂々と言うなんて!」


「嫌だった?」


「うっ、」


そう聞くとシアは恥ずかしいのか、さらに強く腕を抱いて耳元まで顔を近づけてささやいた


「その...二人きりの時にたくさん堪能たんのうしてくださいっ」


「ーーーーー」


そんな可愛らしい言動に思わず固まる


「ーー言質っとたぞ」


「取られちゃいましたね」


ーーー本当にうちの嫁可愛すぎない?


「ーーーあー、熱くなってるところ申し訳ないのだが...予備のネックレスも出来たぞ」


いつのまにかオーナーが「はやく二人きりになれよ」と死んだ目でげてきた


「あ、ありがとうございます」


「ーーーーそうだ、どうせなら」


オーナーは店の奥を指差しニヤニヤしながら言った


「部屋借りるか?」


「「結構です!!」」




―――――――――――――――――


Q やばい、作者のせいでシア一筋になりそうなんだが?!


A ようこそ、こちらの世界へ


Q もうシアとの純愛にしろ(怒)!

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