〜第45話 神門裁判、被告人勇者〜


「シアさんにですね」


「シアにかぁ‥‥」


デスヨネ

とはいえ俺が悪い気がするし―――いや、よくよく考えたら悪くないわ。


「なにかまずいんですか?」


「お前、わかって言ってるよな?」


なんというかユウナは神門会では珍しい頭脳派なのだろう。


「‥‥一つだけ内緒にしておく方法がありますよ」


ユウナが部屋の鍵を閉めながら言った―――ん?


「それユウナが言うか?」


「まぁ、そもそも皇女様が部屋に入っていたことも知っていたので罪悪感は感じているので妥協だきょうしてあげなくもないです」


「―――知っていたのか?」


「はい」


あれ、じゃあユウナが悪いよね。


「それで方法についてなんですが」


そう言いながらじわじわと近づいてくるユウナ。

まさか‥‥な?


「できるだけ端的たんてきに言ってくれ」


「皇女と同じ要求です」


「お前もか!」


もう察しはついていたため、神位魔法で無理やり逃げようとした―――が。


「ーー神判ーー!」


ユウナがそう呟いた瞬間、部屋中に神気を放つ魔法陣が浮かび上がった。


「?!」


「ふふ、どうやら神は私に味方したようです」


そう勝利を確信したような笑みを浮かべ始めるユウナ。


「種明かしをすると神門会本部から1人一つ渡されている、魔導石を使ったんです。使い捨てでいざという時に使うと神判が始まり正しい方の願いが叶います」


「――――――つまり?」


「神位魔法でも逃げられない部屋を作りました」


あの女神っ、裏切ったな?!


「さぁ始めましょう♡大丈夫です、シアさんには内緒に―」


「ーー失礼します」


そんな声が突然響くと共にドアが開いた。


「神判が使われたようですが――――――っと、お邪魔でしたか」


カトレアは敵がいると思ったのか杖を構えながら入ってきたが、俺の上におおかぶさるユウナを見て気まずそうに言った。


「邪魔じゃない!ナイスタイミング―」


カトレアに言い終わる前に、ティア―――の前にいいるシアと目が合った。


あ、笑ってない。無表情ですね。


「ほっっーーーとうに違うんです」


「―――ナニが違うんですか?」


あれおかしいな、氷結魔法でも食らったかと思うほどに凍った気がする。


「あらら」


問題を起こした張本人は同情の顔をしながら、逃げようとし始めた。


「カトレアさん」


「ーー神門魔法第5神門ーー{神威監獄}」


シアがカトレアの名前を呼ぶと、一瞬震えながらカトレアはユウナに向かって魔法を放ち拘束した―――ん?


「ちょ、ちょっとカトレア?!」


ユウナも驚いたのか横たわりながらカトレアの方を向く。


「えぇっと‥‥エルア様、女性だからわかるんですけど――怒らせちゃダメですよ?」


そう警告してくるカトレア。

もしかして怒ってない?


「ーーOh Gott, vergibst du ihnenーー{神門裁判}」

(さぁ、初めましょう。神の名の下に公平なる神門を)


カトレアに詳しく教えてもらったのか俺が教えていない神位魔法を唱えて、あっけなく俺は拘束された。

あ、怒ってますね。シアさんっ、無表情が怖いです!可愛いけど!!


「さてエルア、始めましょうか神門を」


「―――神門?」


まさか汚染されたのか?!くっ、神門会め!


「えぇっと‥‥立会人は教国魔法師団副団長のカトレアが務めます!!」


カトレアはどうやらシア側に寝返ったらしい。

教国が滅んでも守ってくれるんじゃないの?


「罪状を言います」


いつのまにかシアは眼鏡をかけてどこからか紙を取り出した。


「被告人エルアは’’私’’という妻がいるのにも関わらず、他の女ぎつ――女性と関係を持ちました」


「ん?」


「エルア様から誘ってきました!私は断れるはずもなく‥‥嫌ではなかったです!」


ユウナがシアの味方をした方が生き残れると悟ったのか早々に、嘘をつき始めた。

おかしいな、神門裁判って神に誓ってするものなのに。


「なるほど、それは最低ですね」


立会人のはずのカトレアがシアに賛同するように頷いた。



通常なら虚偽の発言が出たら天罰が降るのが、神門裁判なのだが――――


あの女神許さねぇ‥‥‥



―――――――――――――――――


Q エルアくんが100%悪いです!


A Aもそう思います。

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勇者パーティーから追放された勇者は美少女エルフたちとハーレムを作る〜美少女達が俺に依存していて命の危機を感じるんだが? 量産型勇者 @ninnjinn

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