〜第7話 勇者は重大なことに気づく〜

突然だが重大なことに気づいた....ウルフ討伐依頼、これはチャンスなのでは?

前世で読んでいた小説によると死にかけているところを助けると好感度が爆上がりするらしい

まぁ、結婚するかもしれない相手を瀕死にさせるわけにはいかないため無理だけど...

少しだけでも上がるかもしれないのを考えるといい状況である



「ーーと、数分前までは思っていました」


「聖霊よかのものを討ち滅ぼせ{風刃}」


元々エルフは聖霊魔法に長けているらしいが、エルフ中でもシアはかなりの使い手だ

多分


もうすでにウルフを8体狩っている


「聖霊よ万象をこの手に{氷之都エングレム}」


はい、今の攻撃でウルフが5体やられました。討伐ではなく虐殺では?

と思うかもしれないが、シアを見ればわかる

戦っている姿も綺麗である。つまりかわいい


それにしてもウルフが多いな...もしかしてウルフの上位種がいるのだろうか?


「どうでしょうか?エルア」


「強いな、すでに一級冒険者と互角レベルだ」


「えへへー」


そう褒めると顔をトロけさせるシア。うん、かわいい


「うん、もう20体狩ったしそろそろ帰ろうか」


「はい!」


報酬にして銀貨40枚

この世界の硬貨は


銅貨→銀貨→金貨→白金貨


でありそれぞれ


10銅貨=1銀貨

100銀貨=1金貨

100金貨=1白金貨


であり、相場は市場にあるパンが銅貨数枚、ちゃんとした宿で銀貨5枚からと

一見冒険者勝ち組相場に見えるが、命が伴っているので妥当だ


「ウルフが20体なので40銀貨ですね、一日でかなり稼げたんじゃないんでしょうか?」


「そうだな」


勇者パーティーの時に貯めていたのもあってお金はかなりあるのだが、やっぱりこうして稼ぐのは楽しい


「もう昼だけど報酬を受け取ったら王国領辺境都市まで行こうか...明日には帝国領に入りたいし」


そろそろ国王の耳に追放されたことが伝わってるかもしれないため早めに帝国領まで向かいたい


「帝国領...ですか」


「ーーーまずいなら行き先を変えるけど...」


「いえ、そういうわけではありませんので、大丈夫です」


「....」


つけられている、おそらく人型

暗殺者かな?王国の人間じゃないと信じたいが...


「ところで今日の夕食ですが、私が作っーーキャッ」


すぐにシアをこちら側に抱き寄せて魔法による攻撃を避ける


「ーーOh Gott, bitte beschütze uns schwachーー{神位防壁}」


神位魔法による障壁を展開して攻撃に備える。


「ーーいや〜さすが勇者サマ、見たこともない魔法で防いだねぇ」


そう言って出てきたのは黒い服に身を包んだ人だった


「....」


「勇者パーティーを追放されたって聞いたけど、本当らしいねぇ...まっ、恨むんなら王国を恨みなよ」


「王国?お前魔族だろ?」


「ーーっ、魔よかのものを打ち滅ぼせ{束縛の領域}



そう詠唱が終わると影から黒い手が出てきて、こちらに向かってきた

束縛の領域、魔族の暗殺者がよく使う魔法だ


「ーーOh Gott, das göttliche Reich sollte bei mir seinーー{神域展開}」


そんな敵の攻撃もすぐに浄化された


「ーーっ、この神気量...聖女と互角...いやそれ以上?」


当たり前だ、神位魔法は神か神になる者にしか使えない魔法、聖女の聖位魔法とは天と地の差がある


「ーーAh Gott, das heilige Schwert in meiner Handーー{聖剣召喚}」


そうして取り出すのは聖剣、黒と白が混ざったような色をしている刀身が輝いているのがわかる


「ーーふ、それほどの力を持っていながらなぜ追放されたのか知りたいな」


「ーー王子様の我儘ですね」


そう返事をし、魔族を断ち切る...聞きたいことも色々あったが

まぁ、いいか


「怪我はないか?シア」


「ーーはい」


シアに怪我がないことを確認して安心する。それと今後も魔族の警戒はした方が良さそうだな


「ーー」


チラチラとこちらを見てくる...まるで窮地きゅうちを助けられたヒロインのよう....

ーーーん?もしかして....


「えっと、顔赤いけど大丈夫?」


「は、はぅ」


なるほど.....あとひと押しかな?





―――――――――――――――――


Q 主人公が強いんではなくて、神位魔法が強いだけでは?


A うるせぇ!!


Q えぇ....

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