〜第6話 難聴ではなく聞こえないだけ〜
「う...」
重い体を起こし、起き上がる
「あっ、起きましたか?」
「あぁ」
シアも寝起きなのか服がはだけている、昨日何もなかったよな....
なんだこの一線を超えた感は...
「今日はどこへ行くんでしょうか」
「....シアは冒険者カードを持っているか?」
「いえ、亜人ですのでそもそも作れませんし」
うーん、奴隷か従者ではない亜人が王国領にいるだけで犯罪....改めて見ると腐ってる
「一応身分証にもなるし冒険者カードを発行しに行こう」
「ーー?私亜人ですけど」
「俺は一応高ランクだから、なんとかできる....あと自分のことを亜人っていうのはやめようか」
「......はい、わかりました」
そう返事をして着替え終わったシアはマントを羽織る...耳がいつのまにか短くなっている
ーーいつ見ても高度な隠蔽魔法だ、少しだが元々そうであるかのように認識させるため、意識操作魔法もかけられている。
やっぱりこのマント、人間用ではなくエルフ用とかだったりして....
そうして着替え終わり朝食をとった後、冒険者ギルドへとついた
「おはようございます冒険者さん、ご用件はなんでしょうか?」
「相方の冒険者登録をしたいんだけど」
「なるほど、では検査をしますのでーー」
そう受付嬢が言うとシアが心配そうに袖を掴んできた
「幻想級冒険者のエルアだ、俺の相方として登録して欲しい」
そう言ってカードを見せる。カードは青と白を基調としている前世でいうクレジットカードというものに似ているらしい
「げ、幻想級ですか?!わかりました、ではこちらの用紙に一通りの情報を書いてください」
「ーーー名前だけでも大丈夫ですか?」
「幻想級冒険者様の相方ということですので大丈夫です!」
ちなみにだが、冒険者ランクは下から順に
三級冒険者
二級冒険者
一級冒険者
となっている。
また、パーティーについてだが、例えば戦術級冒険者パーティーだとメンバーが全員戦術級冒険者というわけではなく、総戦力が戦術級冒険者一人と互角という認識である
「できました」
「はい...ではシアさんの冒険者カードはこちらです、相方ということですので一応パーティーメンバーとして加えますがいいでしょうか?」
「パーティーメンバー....、」
シアが照れているのか顔を赤くしている、うんかわいい
「それで大丈夫です」
「了解しました、それでは幻想級冒険者エルア様と三級冒険者シア様。登録完了しました、これから依頼を受けますか?」
「あぁ...できれば薬草採取系で」
「私、ちゃんと戦えますので魔物退治をお願いします」
「え?でも初回クエストは薬草の方がいいってーー」
「わかりました、では街を出て近くの森にウルフが数匹確認されていますのでそれをお願いします。報酬は一匹につき銀貨2枚ですのでよろしくお願いします」
「いや、待ってくれ...ウルフって危なくないか?最初なんだから薬草採取でー」
「もー、少しは私のことを信用してください!」
「...シアさんでしたっけ?これはかなり大変ですよ」
この受付嬢、自分から討伐依頼を出したのに何言っているんだ?
「こんなんでも一応プロポーズはされたんですよ?」
「えー?信じられないです!」
「ーー何話しているんだ?」
「なんでもないですー」
なんか、こう言われると難聴主人公みたいだな...まぁ俺の話ではないだろうし聞こえないだけなので難聴ではないが...
「まぁ、幻想級のエルアさんがいるのならウルフ程度大丈夫でしょう、ここは彼女さんを信じて見ては?」
「ーーそうだな、いざとなったら守ればいいしな」
「ま、守るって....それに彼女なんかじゃ」
悶々とし始めるシアの対し疑問を抱くが、受付嬢に冷たい視線を向けられていることに気づいた
「ーー?」
「...アホ鈍感」
「ーーなんかいいました?」
―――――――――――――――――
Q 難聴じゃん
A 難聴ではなく聞こえないだけです
Q 難聴じゃん
A ーーー難聴ですね
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