〜第38話 それチートだろ!!〜

「ーーさすがに敵が強いな、災害級は伊達だてじゃないようだ」


神門会の構成員ソルと合流した後、地上へ向かっているのだが....どうやらダンジョンに「暗黒騎士」が辺りにちらほらと配置されているのか、かなり足止めされていた


「水の聖霊よ辺りを撒き散らせ{水流}」


ティアが聖霊魔法で数体、水に巻き込んで奥へと流した

いくらティアが強いとは言え、これほどの暗黒騎士を相手にするのは無理だろう。それにティアも魔力が枯渇こかつして来たのか威力が落ちて来ている


「ティア、少し休んだ方がいい」


「し、しかし!」


「一応魔の者は聖剣に弱いし、ソルもいる」


「ーーーそうですね、私も残り魔力に余裕があるわけではありませんが、剣も扱えます」


「ーーっ、わ、わかりました」


そう頷くとティアは俺の後ろで魔力消費量が少ない、援護魔法を発動し始める


「ーーーそう言えば、暗黒騎士に浄化に弱いのですが....神位魔法で何かありますか?」


「一応あるが....確かか?あまり魔力を消費したくないのだが....」


「おそらく正しい情報です。それに魔の者ですから少なからず弱まるかと」


「ーーーわかった、少し時間を稼いでくれ」


「了解しました」


どうせなら前に使った「千年帝国」よりも上位の浄化魔法を発動しよう


「ーーーーーOh Gott, rette das arme Lammーー{神々之守護}」


神々之守護、主に邪龍の攻撃で汚染された地や生物を浄化するための魔法だが、これで効き目がないのならソルが言った情報はデマだろう


「ーー本当に効き目あったんだな」


「ーーーっっ、は、はい...そのようです」


驚いたのか一瞬、後退りしたがすぐにソルは立て直した


「ーー大丈夫か?まるで魔の者みたいに驚いて」


「ーーーそんなわけないでしょう?」


「.....冗談だ」


「ーーーエルア様...上に穴が空いているのですが、なんでしょうか?」


「穴?」


ティアに言われて見ると大きな穴が空いていた

まるで魔法で無理やり開けたみたいだな....もしかして人か?シアはこんなことしないだろうし.....やるとしたら神門会?


刹那、横から気配がしたと思った時には横にいたソルが吹き飛ばされていた


「ーーーくっ?!」


「エルア様!ご無事ですか?!」


ーーー見ればもう一人黒い服装....神門会の構成員であろう子が剣を持って俺の前にいた


「ーーーやっぱりか」


「はい、魔族です....それもかなり高位の!」


どうりで色々怪しいと思った....特にシアとティアを見間違えたところとか


「ーーーちっ、後少しだったのに」


「「.......」」


「おっと、卑怯とはいうなよ?これで死んだら警戒心がなかった其方そなたが悪いんだからな?」


「ーーOh Gott 《あぁかみよ》」


抵抗レジスト


そう魔族がそう唱えると発動中の神位魔法が、魔法陣ごと砕け散った


「ーーーえ?」


「やはり神位魔法を使ったか....だが運が悪かったな、俺の魔法は対神位魔法なんだよ」


「対神位魔法だと?」


対神位魔法....初めて聞いたが、おそらく神位魔法の発動を妨害し阻止することが出来るのだろう

ーー「抵抗」ーー短い詠唱で神位魔法の発動を阻止するなんてまさに天敵だな


「エルア様、私が援護しますのでそのうちに攻撃を」


「わかった...シアはティアと共に下がっていてくれ...見た感じかなりかなり疲れているだろうし」


「ーーっ....わかりました、でもエルアが危なそうになったら助けますから」


「頼む」


やっぱりシアはエンジュエルだ、うん


「魔族め!くたばれ!!」


ユウナがソル.....魔族に対してそう言いながら斬りかかると、魔族はそれを安易と受け止める

ユウナは魔族に対して恨みがあるのだろうか、それなら帰還しないで戦い続けたのにも説明がつく、


「ーーArme」


抵抗レジスト


ーー少しでも隙を作れるかと思ったが、すぐに妨害されて意味がない


「ーーーーあぁ...偉大なるお方どうかこの者に救済を」


「ユウナ下がれ!魔法だ!!」


忠告をするがユウナは聞かずに大きく剣を振ったーーーが


「ーー眠れ、哀れな子羊」


魔族が唱えると同時にユウナは糸が切れたかの様に、倒れた


「ーーー弱いな、神門会もこの程度か」


そう口にしもう一振りしようとした....すぐに間に入って剣で受け止めようとしたが


「ーーっっ?!痛ってぇぇ」


「ーーっ?!エルア!!」


おそらく腕の腱が斬られたのだろう、聖剣を落としてしまう


「ははは、女神の使徒である勇者サマも強くねぇなぁ!やっぱり魔法が強かったんじゃないか!!」


ちょ、おまいう?!

そんなこと言ったらこの世界の魔法師団全員に言えるじゃないか!


「ーーーOh Gott, Barmh《あぁ、かみよ わたしたちを》ーー」


「させると思うか?抵抗レジスト


神位魔法による回復を試そうとしたがすぐに、妨害されてしまった


「斬撃」


「うぉっ」


殺気を感じて無理矢理避けるとすぐ真横の地面がえぐれた


「ーー聖霊よ邪悪なる者を凍らせ尽くせ{氷結監獄}」


「弱いな、破壊レジスト


シアが聖霊魔法での氷結魔法を使用して魔族を捕らえようとするが、すぐに壊されてしまった


あのレジスト....聖霊魔法にも効くのか?いや、再現してから使ったことを見るに発動の妨害は出来ないみたいだ.......魔術を使おうにも、俺自身の魔力はもう何年も使っていないため魔力拒絶反応が出るかもしれない


魔力拒絶反応とは簡単に言えば体内にある魔力回路が、塞がっている状態で魔法を発動させると体が拒絶反応を起こすことを指す

これがかなり厄介で数分から数時間動けなくなる場合があるのだ


俺が倒されればおそらくシア達の方へと向かうだろう


「う、うぅん」


どうやらユキナが起きたようだーーーさすが神門会、数分で起きるか


「起きてすぐで悪いが....ユキナ、ポーションを持っているか?」


生憎持っていたポーションは神位魔法で収納しちゃったし.....今度から数個手持ちで持っておかないとな


「ポーションですか?すいません、シアさんに全部使ってしまいました」


「ーーー助かる」


「はい.....え?」


シアに使ったのなら仕方ないか....今ある手持ちで戦わないと


「ーーーエルア様、一応もう一度上位の救助魔法を使いました。おそらく子爵領にいる構成員が総出で、救出に来るかと」


「ーーーそれで勝てそうか?」


「ーーーどうでしょうか?それでもエルア様のお怪我を治せれば万々歳です」


「じゃあ少しでも削らないとな」


「お供します」


俺は利き手ではない方で聖剣をもう一度呼び戻して構えた


あくまで時間稼ぎだ....俺はシアを最優先するためいざとなったら逃げれば良い


「神々よ我らをどうかお守りください」


そうユウナが呟くと加護を受けた感じがした


「..........」


「....どうしました?」


「いや、なんでもない」


なんというか......本当に聖職者なんだなぁって

ーーーーと危機的状況なのにそう思ったのだったーーー


―――――――――――――――――


長期間投稿をサボってしまい、大変申し訳ございませんでした

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