〜第23話 とある二人〜



 気まずい


 あのあと二度寝を経て起きたのだが偶然か、それとも必然か起きるタイミングが被ってしまった


 ーーーーーいや、何話せばいいの?!


 いや...何を話さないといけないのかは理解しているーーーが、一言目が思いつかない

 ーーいつも通り声を掛ければいいのだろう‥‥よし、そうしよう


「ーーおは」


「エルアーーー」


 おはよう、そう言う前にシアの言葉で遮られた


「は、はいっ?!」


 振り返ろうとしたがシアが後ろから首元に手を回して抱きついてきた


 ーーーーあ、何か柔らかいものがーーー



「ーーーその‥‥一つ確かめてもいいですか?」


「なんでしょう」


「ーーー私はエルフですけど‥‥エルアと結婚‥‥出来るということ何でしょうか?」


 ‥‥おそらくだがシアは俺とは違う心配をしているのだろう


 俺よりも人間至上主義というのを痛感しているエルフ‥‥シアだからこそ心配しているのだろう

 ちなみに俺はシアのご両親に呪い殺されないか心配している


「ーーーシア」


「‥‥はい」


 俺は振り返るとシアと向き合い続ける


「俺はシアと結婚したい」


「わ、私もです」


「ーーー俺と結婚してくれますか?」


 大丈夫だ、心配ない

 という言葉を掛けるよりこうやって言う方がいいのだろう‥‥多分


 顔を上げてシアの顔を見ると赤面せきめんし泣いていた


「ーーだ、大丈夫?嫌だった?」


「ち、違くて‥‥そのっ、嬉しいというか‥‥エルフなのにエルアと結婚できるという事がーー!」


「‥‥じゃあ、返事を聞いても?」


 俺は喜び出しそうな気分を抑えて返事を待った、たった数秒が何分にも感じた


「こちらこそ‥‥よろしくお願いしますーーーーーーー」


「ーーーっ」


 そう笑みを浮かべるシアは何よりも綺麗で‥‥あぁ、俺この子の事ぜったいに幸せにさせないとなーーーと確信させた


「ーーーということは」


 思い出したようにシアはそう口にして


「今日から私‥‥シア・カルストールですね」


 改名ですね、と言いながらシアは微笑ほほえんだ


「ーーーっ」


「ーーーー?」


「いや、なんと言うか征服感が‥‥」


「‥‥」


「‥‥」


 しまった、と反省する前にはすでに気まずい雰囲気がただよっていた


「ーーー片付けましょうか」


「ーーーーーーーそうだな」



 そうして俺とシアは気まずい雰囲気の中汚した部屋を生活魔法で片付け始めるのだったーーーーーーーー






「えーっと‥‥一応帝国ホテルには何泊でも出来るんだけど‥‥シアは侯爵領で行きたいところある?」


 あのあと汚した寝室を生活魔法で綺麗にした、俺とシアはまだ若干気まずい雰囲気をまぎらわすように聞いた


「‥‥か、確認ですけどここは帝国領アルゼーム侯爵領であってますよね?」


「ーーー?そうだね」


「ーーーでしたら行きたいところがあります‥‥一緒に」


 一緒にーーーそう強調して言ったように聞こえた

 なんかもう全部夫婦のやり取りに思えて、幸福感がーーーー



 ーーーーそうエルアはシアに気づかれないようにーーーシアはエルアに気づかれないようにお互いに悶々もんもんとするのだったーーーーーーーー



 ―――――――――――――――――


 A シアの名前が「幸せ」から来ている事の話しましょうか?


 Q たまたまでしょ?それよりシアとの純愛宣言まだですか?


 A なんですか、純愛宣言って

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