〜第8話 異世界でデートします①〜

魔族による暗殺者の襲撃があったあと、ギルドで依頼の報酬を受け取った俺たちは馬車に乗り王国辺境都市である、カスタリア辺境伯へと向かっていた。


ところで、シアと出会ってから五日が経った。

現在の好感度は40%くらいだろうか?最初と比べてかなり距離が縮まった気がするのだが、今結婚を申し込んでもすぐに断られる気がする...まぁ当たり前か



「お客さん、着きましたぜ」

へへっ、とでもいうように御者のおっさんがこちらに言ってくる、毎回思うのだが王国の国民は癖が強いな...

ついたのはカスタリア辺境伯中心部のニホ都市である...上を見上げるとかなりの城門がそびえ立っている


検問けんもんです〜ってエルア様じゃないですか!!」


と声をかけてきた衛兵はどうやら顔馴染みのようだった


「クリスじゃないか、村は復興したか?」


「はい、おかげさまでありがとうございます」


クリスとは前に彼の村に対し魔物の襲撃があった際に助けた村人の中の兄だったようで、こうして会うとかなり感謝される


「エルア様がここにきたということは当主様のお屋敷に泊まれるんですか?」


「多分な」


「なるほど....はい検問完了です、ようこそカスタリア辺境伯ニホ都市へ」


そう礼をした衛兵が門を開けた


「ーーーそれじゃあお客さん料金は前払いでしたのでこれで到着です、良い旅を〜」


へへへっ、とまた笑っているがどうやら普通にいい人のようだ、うん



「ーーものすごく賑わっていますね、前の街も中々でしたがこちらはもっと賑わっていますね」


「あぁ...さすが辺境伯だな」


前の領が男爵領ということもあったが、おそらくここにある食べ物や娯楽品目当てなのだろう、店を見れば外から来た人なら珍しいだろう娯楽品があるが、俺にはわかる...あれはオセロだ...安価で買えるように加工されてはいるが、そのままである

食べ物を見れば野菜や魚介類を揚げた物...うん、天ぷらだな、まさにワショクがある


「どれも初めて見るものばかりですね、あのお米の上に魚が載っているのはなんですか?l


「あれは寿司だな...基本的に生の魚を酢をかけた米の上に乗せた食べ物らしい」


「生って...食べれるんですか?」


「氷結魔法を使っているから鮮度は大丈夫だけど食べてみる?」


「いえ、遠慮えんりょしておきます」


やっぱり生魚は抵抗があるらしい、それでも中々の客足を獲得しているのはさすが日本食といったところか


「俺もだ」


かくいう俺も生魚は抵抗がある、ほんの少しの魚の風味でも苦手なのだ。

それにしてもまだ3時であり領主の屋敷に向かうには早すぎる、かと言って飲食や娯楽品で時間を潰そうとも思わない

ということで、こういう時は衣食住の衣である、


「ーーいらっしゃいませ、ようこそカスタリア辺境伯御用達店ユニクッコロへ!」


待てよ、シアの服を買いたいと言っても今の俺は付き合ってもないし言ってしまえばただの友達では?

てか、ユニクッコロってなんだよ...前半はわかるとして「くっ、ころ」を入れちゃダメだろ


「エルアの服を買うのですか?」


「ーーー俺の服は後でいいかな、シアは何か欲しい物ある?」


こう答えることにより、断られた場合でも「いやぁ?自分の分買うしぃ?」

とすることができる....断られたら泣く自信あるけどね


「わ、私のですか?嬉しいですけどその...」


シアは申し訳なさそうに耳を触る、そうだった服を選ぶためにはマントを脱がないといけないんだった


「ーーGott, Gott, sie sollte menschlich aussehen{隠蔽}」


これでしばらく大丈夫だろう...それにしてもエルフというだけでどうしてこうもなるのだろうか


「はーい、彼女さんのですね〜彼女さんかわいいので似合う物多いですよ〜」


「か、可愛いって...」


「ものすごく可愛いですよ、ねぇ彼氏さん」


「あぁ、シアはすごく可愛いぞ」


「ーーっ」


うん、かわいい以上


「それでは彼氏さんは待っていてください」


「....」


ーーーん?彼氏?俺が?

いやいや、勝手にシアの彼氏と言ったら引かれそうだし....いや、待てよ友達という関係で一緒に長期間旅をするのか?でも付き合っていると言ってもおかしいような....あれ?

だとしたら今....デートしている?


自分でも驚くほど今更感が出て冷静に考えてしまう


「いやいや、これってデートじゃん」


デート?デートって何すればいいんですか?date? Datum?

いや、訂正しよう流石に彼女いない歴の俺でも前世でどういうふうにデートをしたらいいのかはわかる...が


異世界でデートってなにすればいいんですか?


遊園地?ありません、水族館?ナニソレ


一応文化遺産的な場所はあるがこの世界には古い場所がデートスポットという美的感覚はない...あれ?

この世界の人たちどうやってデートしているんだ?



「ーーエ、エルア...どうですか」


どうやら重大なことに気づいている間に着替え終わったらしいシアが出てきた


「ーーー」


ーーー水色の肩が露出しているワンピース...それを着ている女神、どうやら真の女神はここにいたらしい


「か、可愛いです」


デートと意識してしまい思わず敬語になってしまった。いや仕方なくない?


「あ、ありがとうございます...」


シアも照れているのだろう、顔が赤くなっている可愛い


「ーーところでお互いに共通したネックレスを買ってみてはいかがですか?」


何を言えばいいのか迷っていたのでナイス!提案!!と思ったがただの商人の血が騒いでいるだけだな


「うん、そうしようかな...色は何があるんですか?」


「こちらですね〜大体ありますよ」


そう言ってさまざまな宝石が付いたネックレスが運び出された。

汚れや劣化を修復する{保存}が付与されているネックレスだ...ダイヤモンドは流石にないか


「ーーー青色でお願いします」


ふとシアの方を見た際にいつ見ても聖水のような色をした瞳と目が合ったため青色がいいのだろう、


「ーー私は黒色でお願いします」


ーー黒?


「宝石なのに黒でいいのか?」


「はい....その、黒が好きになりましたから」


顔を赤くして目を合わせるシア、


「黒が好きになった....?」


「ぎゃ、逆になんで青なんです?!」


「ーーー青が好きになったからです....」


「ーーー?なんでですか」


あなたの瞳の色だからです。と言ったら流石に引かれる気がする

....いつのまにか店員も冷たい目線で見てくるんだが....


プロポーズはできたのに褒めることもできないのか!勇者!!



―――――――――――――――――


Q 早く結婚しろよ


A ーーはい、私でよければ


Q ーーは?

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