〜第9話 異世界でデートします②〜

「エルアがつけてください、私は付け方がわかりませんから」


「ーーっ」


そう上目遣いで頼んでくるシア、かわいい

色を選んだ後ネックレスを二個買った俺はシアにネックレスをつけることになってしまった


「そ、それでは失礼しますっ」


シアのサラサラの髪を退けて首元につけた

首元を見て何かが込み上げるのを感じて無理やり抑え込んだ


「に、似合ってますか?」


「ーーー可愛いです」


そういうと耳の先まで真っ赤になるシア

いや、ほんと可愛いな?


「シア...俺に付けてくれる?」


「ーーーっ?!」


そう思わず思ったことを言うと後退りするシア...ちょっと調子に乗りすぎたか


「ご、ごめん今のは無しで」


「い、いいですよ」


「え?」


「なんで頼んだ本人が驚いているんですか」


「いや...てっきり断られるかなって」


「なんで断るんですか...私たちは一応付き合っているんですから」


「つ、付き合っている?」


あ、やっぱりこれって付き合ってる関係?そう考えると嬉しくなってしまう


「ーーーす、すいません、迷惑ですよね」


「いや...嬉しいです」


「ーーっっ」


付き合っている、か.....この子が俺の彼女と言うこと?最高か?


「つ、付けますので貸してください」


「ーーお願いします」


そう言い、渡すと前から付けるのか顔を寄せてきた


「「っ」」


近くで見れば見るほど美少女である。いや、マジで女神かと見間違うほどだ

吐息が聞こえるほど近づいているため、こう言ってはキモいがエルフ特有の甘い香りが鼻腔をくすぐってくる...


「付けましたよ」


「おぉ....」


ーーん?ネックレス付けれないんじゃなかったけ....いや、これを聞くのは禁句な気がする


「か、かっこいいです...」


「あ、ありがとう....」


いや気まずいんだが?自然と目を逸らしてしまう


「ーーーところでお二人さん、昼食は取りましたか?」


「いえ、まだですね」


「ではここから数分歩いたところにあるニホ料理店がおすすめですよ、辺境伯様が考案された料理が提供されていまして男女の若者に人気なのですよ」


なるほど、つまりカップルに人気ということか...ここの店員優しくない?


「なるほど、行ってみます」


そう礼を言って店から出た


「...先ほどかけた魔法?はどのくらい持つんでしょうか?」


「寝るまでだからいきなり戻る心配はないかな」


「なるほど...ではこの服のままにしておきます」


「ーー寒くない?」


「...女の子は可愛いと言われた服を着ておきたいものなんですよ」


言わせないでください、と小声で言われてしまった...俺はよくいる難聴鈍感主人公じゃないぞ!!


「可愛いシアを独り占め出来ないから残念だなーって」


う、自分で行ってて恥ずかしい、これで引かれたら泣くぞ


「ーーーい、言ってくれればなんでも着ます!」


「なんでも?」


「....な、なんでもです!」


一瞬邪な考えが浮かんだが、恥ずかしがっているシアの顔により浄化されてしまった


「それにしてもここの料理や品は珍しいものが多いですね、遠い国のものだったりするんですか?」


「そんな感じかな?」


ここで「東方の国の品です」と言ってもこの大陸(おそらく)で最も東にある国は皇国であるため「そんなもの皇国にはありませんよ?」と論破されてしまう。

ちなみにだが、西から順に国家として帝国→王国→皇国であり王国から見て北に教国、南に連合王国が存在している

勢力としては教国>帝国=王国>連合王国となっている


「ニホ料理店、ここですかね」


そう言ってついたのは「ニホ料理店」と看板にデカデカと書いてある店に着いた

建物...というか全部そうだが日本の和式ではなく普通にこの世界のものであるが、メニューにはテンドン、ソバやウドンと書いてあり正直脳がバグる。


「うわ、めっちゃ人いる」


「人気ですね」


「いらっしゃいませ〜、空いてる席にどうぞ〜」


おぉ、ちゃんとカップルしかいない。今までなら憎しみが出てただろうが....今は俺にも彼女という神聖な存在がいるのだ


「ーーむむ、見たこともないメニューばかりですね...このトンカツというのはなんですか?」


「オークを油で揚げたものだな...ソースをかけると美味しいみたいだぞ」


「油ですか...」


人によっては食べてみるべし、と言いそうだがシアは彼女であるのだ。

だから注文してみたら不味かったという思いはしてほしくない。

ちなみにこの世界のオークは二足歩行ではなく四足歩行であり、そのため日本文化の一つである「くっ、ころ姫騎士」などはいない...あれ?涙が


「エルアは詳しいですね、もしかして前にここに来たことが?」


「かなり前に一度来たね」


「....もしかして誰かと一緒に?」


「ーー?一人で来たけど...あの時はまだカップルに人気とかではなかったしね」


「ーーよかった」


よかった?まぁシアの気分が良さそうだしいいか


「シアは何が食べたい?」


「私は...シチューみたいな物がいいですね」


「シチューか...」


シチューは16世紀後半のフランスで発祥していた気がするがやっぱり食文化は似るのだろう、異世界でもシチューはあるらしい、やったね


「オーク汁はどう?」


豚汁ならぬオーク汁...二足歩行のオークを知っているからか不味そうに聞こえる


「オーク汁ですか...それを挑戦してみます!」


「それじゃあ俺はシチューにしようかな」


和食店に来て和食を頼まない...空気読めない感が出ているがメニューにあるのが悪いんだぞ!!


魔導具の石版で注文をし少し待ったらすぐに出てきた

うーん、魔法って便利だなぁ...前世の料理人が見たら泣き崩れそうだ


「これがオーク汁ですか...」


「おぉ...」


オーク汁は初めて見るが普通に豚汁だ、ゲテモノじゃないかとヒヤヒヤした


「エルアはこのオーク汁好きなのですか?」


「え?まぁ好きではあるね」


おそらく味は豚汁と変わらないのだろう


「妻になるにはこの料理を作れるようにならないと...」


「ーー?」


シアが何か呟いているが聞こえない...もしかしなくても俺、難聴なのだろうか?


「それではいただきます」


そういえばオーク汁には味噌が入っていると書かれていたな...味噌、果たしてエルフは好むのだろうか


「ーーー」


「ど、どう?」


「....美味しいんですが、おそらく味噌?というのが苦手です」


悲報 エルフは味噌を好まない

くっ、なぜだ!どうして味噌がっ!!


と嘆いているとシアが味噌苦手です...と呟いているのが聞こえた、どうやら俺は難聴ではないらしい


「シチューまだ食べてないし、交換するか?」


「ー?!いいのですか?」


うっ、そんな笑顔で言われると味噌くんが....いや待てよ?シアに好まれなかった方が悪いのでは?


可愛いこそ正義!!


「では、オーク汁いただきます」


まずはスープを飲んでみる


「味噌だ」


懐かしい、うん


「ーーー」


シアが顔を少し赤くしている、どうしたのだろうと思っているとこう呟いた


「間接キスですね」


っと甘い声で恐ろしい言葉が聞こえた....

ーーーーーーーーーーーーーーーー間接ーーーキスーーーーー?


「ーーーーーーーあっ、あっ、あぁぁぁぁ」


み、ミスったぁぁ!?

シチュー頼んでシアが味噌嫌いな場合にも対応できるぜ、ドヤッをしようとしたが...うん

お わ っ た

やべぇ泣きそうーーーっておい、誰だ嬉し涙って言ったやつ


「か、構いませんよ?」


「ーーーえ?」


「え、エルアとなら構いません....」


思わず顔を上げると耳先まで赤くしているシアがいた


あっ、女神様ぁ


―――――――――――――――――


Q 早く結婚しろよ


A エルフと人間...修羅の道ですぞっ!!


Q なんとかしろ作者ぁあ!!

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