〜第3話 王子サマの没落まであと数ヶ月 他者視点①〜
「魔王様!勇者エルアが追放されたと言うのは本当ですか?!」
そう言って部屋に入ってきたのはロゼだった。私が今代の魔王になってからずっと使えてくれていて幼馴染でもある部下だ
「ええ、そうよ」
「そんなことが?!人類史上初の女神から派遣された勇者ですよ?」
女神から派遣されたと言うのはそのままの意味だ、単に人間側の王たちが与えた称号としての勇者なら百年に一度、もっとも強い人物に与えられているが
女神から派遣されたとなると根本から違う。
まずは強さ、聖剣を扱え普通の勇者の何十倍も
「どうやら、勇者パーティーにいる人間側の王子に追放されたようね...誰も反対してないとこを見ると全員王子にご熱心なようだわ」
「そ、そんなバカなことがーー?」
普通なら喜ぶのでしょうけど、勇者エルアには異常なところがある
それは魔族を見分ける点だ、もちろん魔族を何百と倒してはいるものの全員人間に対して害をなした者だけだ。
害をなさない者には一切攻撃していない
実際、たまたま勇者エルアとあったが何もされなかった、人間に奴隷として馬車で運ばれているところを助けてもらった
という魔族が多く一部ではファンもいるほどだ...一応魔族だよね?敵対しているよね、君たち
とまぁ勇者エルアには攻撃をしてはならないが
「まぁ、人間の王子は所詮性欲猿ってことね」
本当にバカである、人類史上最強とも言われている勇者を追放するなんて
「そ、それで勇者エルアはどうします...?一部の過激派が今のうちに殺すべきと
「ーーロゼはどう思うの?」
「手を出したら、エルア信者たちからなんと言われるか....それを抜きにしてもやめといたほうが良いかと」
「そうね」
エルア信者ってなによ、マジで魔族だよね?あなたたち
「勇者エルアに対する攻撃は全面的に禁止、魔王命令よ」
「はっ!」
そう返事をしロゼは部屋から出た
「それにしても追放ね...果たして人間たちに知れ渡ったらどうなるのか...」
勇者エルアは言ってしまえば神の使徒でもある、そんなエルアを追放したとなれば少なくとも教国は黙っていないだろう
「早く好きな人でも見つけることね、勇者エルア」
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「ーーーなに?」
「ーーで、ですら勇者エルア様が追放された可能性が高いと」
「....追放?何かしでかしたのか?」
「いえ、どうやら第一王子アリマンが無断で追放したみたいでして」
「はぁ?」
部下からの報告に思わず疑問の声を上げた
「パーティーメンバーには聖女を入れたはずだけど?」
「そ、それがどうやら王子の方を勇者と勘違いしていて...すでにかなり進展した関係になっているみたいです」
「ーーー性女...」
「ーー?聖女様がどうしました?」
「い、いえ」
たとえ勇者にさえ体を許さないようにと言っていたはずなのだが...恋は
「また、神門会情報部の情報ですが聖女様は他にも第二王子、公爵家長男、侯爵家嫡男とそう言う関係になっているらしくーー」
あ、ただの性女だったようだ
「...人選ミスったな...」
「?何かおっしゃいましたか?」
「いや、とにかく神門会としては何かしら罪を与えねばならん」
「その通りです、女神様のご意志に背くなど言語両断、極刑がよろしいかと」
一応この人間、神門会幹部なんだけどね...うちは過激派が多いらしい
「まぁ、とにかく
「はっ....勇者エルア様に監視をつけますか?」
「いらん、余計なことをすると神罰が降るぞ」
「了解しました」
そう言ってこの場から消えた
「ーーーはぁ...優秀な部下を持っているから片思いしている人の盗撮ができるのですよ、女神様」
疲れたように天井を見上げて呟いた。ほんとにうちの上司は困ったねぇ
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「はぁ...もうむりぃぃ、エルア結婚して愛の巣作ろ?」
そう呟いて、エルアの等身大枕に抱きついている女神が一人、私じゃん
「あぁっ、エルアの寝顔もかっこいい、最高ぉぉ!!」
神としての能力で24時間365日エルアの
「はぁ...エルアぁぁ...あっ」
女神としてはしたない声を出している気がするが、天使達にはバレていない
(エルア、君に話がある)
(?どうした?)
今はちょうど人間の...だれだこいつ、確か貴族っだけ?王族か...誰でも良いや、とりあえずエルアに話しかけている
(エルア・カルストール、君をこの勇者パーティーから追放する)
(ーーへっ?)
「ーーあぁっ、
え?追放されていることの怒らないのかって?こんなカスみたいなパーティーから追放されても変わらなくない?
まぁ?エルアがぁ?落ち込んでいたら?慰めてあげてぇ?結婚するけどぉ?
(そうよぉ〜、アリマンが魔王だろうがなんだろうが倒してくれるの、だから荷物役の無能はいらない!)
「ーーーは?」
なんだ、このメスは......んー?聖女じゃん、だれだよ選んだ神は...怒ってないけど、こんなメスからは聖女の称号は外しておかないとねー、ついでに王族の男の方には悪魔の加護でもつけておいて
「さてと、私は今からエルアを慰めに行かないと!」
一瞬で人間用の服装に着替えて、私は勢いよく神界から飛び出たのだった
「女神様、いつも通りだね〜」
「ね〜」
「でもぉ、」
「あの人間の王子?には痛い目を見てほしいなぁ」
「そうだね〜〜」
女神が去ったあと、部屋に入ってきた生まれたてのような白い翼が生えている天使と、吸い込まれるように黒い翼が生えている悪魔が数人づつ話し合っていた。
彼らまたは彼女らも手にはミニエルアのぬいぐるみを抱えているところから熱狂的なファンなのだろう
それもそのはず、エルアが神界にいた時にこの子たち...というか神界にいる全員がエルアの熱狂的なファンである
もちろん女神ほどではないのだが
「ーーOh Gott, Pech für diese armen Prinzenーー{
とんでもない神位魔法を王子達にかけたのだが、天使達は満足げに話し合ったのだったーーーーーー
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Q あれ?王子サマ終わったクネ?
A こんなんじゃ、まだまだ甘いですよニコッ
Q 追放しただけなのに、かわいそう....ではないか
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