〜第2話 結婚してください!!〜

勇者パーティーを脱退してから数時間経った


「エルアさんは勇者パーティーを脱退するということでよろしいのでしょうか?」

「はい」


今はギルドでの手続きの最中である。

「了解しました、勇者パーティーですので国王様へと報告が渡りますのでご了承を」


「ーーえ?」

「ーーえ?」

国王へと報告がいくのかよ、絶対連れ戻されるじゃん


「....パーティーリーダーがアリマン第一王子ですので大丈夫じゃないですか?」


「あー、そうでしたね....ではギルドとして報告をしないのでご安心ください」

「ーありがとうございます」

実はこの受付嬢は俺がどういう人か知っている、つまり共犯だね


「ーーお主も悪よのう!!」

「....通告しますよ?」


「すいません、ごめんなさい」

「はぁ....」

「....」


.....あれ?これだけ?普通、あなたが抜けたらあのパーティーは終わりですね、とか

あのパーティーはあなたが込みで今まで評価されてきたのに〜〜とかないの?え?


「....勇者パーティーどうなると思います?」


と思わず自分から聞いてしまった


「まぁ、王子様が飽きたら終わるんじゃないんですか?」


そうだった、勇者パーティーって王子の我儘わがままでできたんだから「え?あんなパーティーで荷物役だけど実は最強をしたいんですか?(笑)」って思われてるわ


「ーーこれからどうすればいいですかね」

「知りませんよ、引退したわけじゃないんですし、そもそもあなた16歳でしょう?」

「冷たくない?」

一応会ってからかなり経ってるよね?名前知らないけど!


「....引退した冒険者の方だとパーティーメンバーと結婚する、が多いですね...ギルドとしても次の世代の冒険者に繋がるのでありがたいです」

「結婚って...16歳だぞ?」

「この世界では14歳から成人ですので結婚できますが?」

「そういえばそうだった」


まぁ、どうしても結婚は18歳からというのが前の常識だったから抵抗感を覚えてしまうのだ


「そもそもパーティーメンバーとそういう関係になってませんし」

「そうですか......一人くらいパーティーメンバーが追いかけて来て恋に発展するんですけどね」

「....20年前の娯楽小説かよ」

「あなたからしたらですけどね」

「ーーまじでこれからどうしよう」


「世界中を旅でもしたらいいんじゃないんですか?案外好きな人でも見つかりますよ」

「そうするよ」


「そうしてください、転生者どうしご武運を」

ーーなんかこの受付嬢とはまた会う気がするな


そうしてギルドから出ようとすると、勇者パーティーの気配があった

「ーーほんとに飽きるのかなぁ」

仕方なくマントに付いているフードを被った


「よし、今日こそは殲滅せんめつ級パーティーになるぞっ!!」

「はい!ですが最初に無能の穴埋めをしましょう」

「次はちゃんと強い人だといいね〜!」

「アリマン様がいるだけで十分ですっ!」


勇者パーティーが隣を通るが気付いた様子がない


「意識妨害魔法付与のマントね...持ってた人は何に使っていたのやら」

森で偶然助けた人からもらったのだが、どうやらこのマントには色々魔法が付与されているらしい


まぁ、どれも複雑というか...人間用に付けられた魔法じゃない気がするのだが....


「...とりあえず、この国から出るか」

王国内にいるとあっさりと国王の親衛隊に捕まってしまう気がする。


「そうだ、帝国領へ向かうか」

帝国は確か王国とそこまでではないものの仲が悪かった気がするし、地下迷宮やダンジョンが多いため冒険者が多く集まっている


「ーーーー」


大通りの隣、裏路地の前を通ろうとしたのだが言い争っている声が聞こえた

正直言い争いごとはこの世界では日常茶飯事だし、いちいち一般人が仲介をしなくても衛兵が来て仲介をしてくれる。


が、なぜか裏路地に入らなければいけない気がして来た。

「これも女神のご意志....ってね」

パーティーメンバーの聖女がよく言っていたことを口にする、まぁ俺は一度も聖女と思ったことはないがーー


「ーーっ」

「おほぉ!これは良いエルフだ、高く売れるぞ!」

「さっさと捕まえるぞ!」


「えぇーー」

これはあれだな、おそらく奴隷商に捕まりそうなところか

それにしてもエルフか...国王からは昔は亜人に対する差別があったと聞いているが...亜人と呼んでいる時点で昔と変わっていないのだろう


エルフ、まれなる容姿と永遠にも等しい寿命があるため奴隷としてよく売買され、エルフ間の関係は最悪である。

普通ならここで助けるのだろうが...悲しいことにこの国では亜人を許可なしに捕まえて奴隷にすることは合法である。

勇者の時はあまり見なかった..いや見せないようにしていたのか


「誰か、助けてーー」

「へへ、嬢ちゃんよ、お仲間さんが大切なら黙って捕まってろ!」

「おい、薬でも打って眠らせとけ!」


え?なんでバレていないのかって?マントのおかげです。


「いやっ!」


そうエルフの子が暴れるとその子が被っていたマントが破れ、顔が露わになった


「ーーー」

立ち去ろうとしたのだが思わず止まってしまった。

サラサラとした金髪に、聖水のように透き通っているブルーアイーー聖教画から飛び出てきたような美少女だった....え?天使か?可愛すぎん?!


「ーー?な、なんだテメェ!」

「急に?!どっから現れた」

「ーー?」

気づけば男たちの間をすり抜けてエルフの子に見ていたマントを被せた。意識妨害魔法がかけられているから乗り切れるだろう


「すいません、俺のつれでして」

「あぁ?」

大柄の男3人がにらんでくる、頼む、見た目通りバカであってくれ


「そんなわけねぇだろーー」

「あ、兄貴!お、女の方エルフじゃねぇですよ!」

「「「「ーーえ?」」」」

奴隷商の取り巻きの一人が突然そう言い、俺も驚いてしまった。


「ほ、ほんとだ!耳が長くねぇ!おい、見間違いやがったな」

「す、すいません、あれ?おかしいな」

エルフだった女の子を見てみるが、確かに長い耳ではなく普通の人間の耳である


「.......」

本人も驚いているのかきょとんとしている、かわいい


「と、というわけで失礼します」

「ーーおい、待て...王国からは誰にも見られるなと言われていてな...悪いがお二人さんとも一緒に来てもらうぜ」

へへっ、と腕を鳴らし始める男たちーー王国?

「ーー王国だと?」

「あぁ、この国の国王様から直々に許可をいただいているんだぜ?」

「なるほど」

「そういうことだ、黙ってーー」


「ーーmemoria amisistiーー{強制記憶消去}」


魔法を発動すると男たちは倒れた、おそらくエルフを捕まえたことさえ忘れているだろう


「あ、ありがとうございます...私なんかを助けていただいて」

「い、いえ」


マントについた土埃を払い立ち上がった、ちょっと萌えた...


「ーー?どうされましたか...」

こちらを見つめてくる、ブルーアイ...色欲しきよくの魔眼みたいだ、


「あの...」

「はい」

「俺と...結婚してください!」

「ーー」


間違えた...結婚じゃなくて付き合ってだったいや、どっちにしろ初対面の女の子にこれは犯罪では?絶対、引かれてるって!絶対零度の目で.....見てみたいな


おそるおそる、顔を見ると


「け、け、け、け、け、け、結婚?!?!?!」


ーーと顔を赤くした、




―――――――――――――――――


Q 次回 新枕にひまくらですね、わかります


A いつの時代ですか()


Q 平安時代です


A はぁ?

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