〜第15話 天罰か救済か〜

「ーーfang michーー(捕まえろ)」


そう一言呟つぶやくと魔法陣から輝きを放つ鎖が出て吸血鬼の少女をしばった

こう聞くといやしい様に聞こえるが断じていやしいことでは無い

.....よな?


「なっーー!!鎖?!」


攻撃魔法かと思っていたのだろう、拘束魔法ということに驚いている


「ーーーまさか...シンイ魔法?!」


「ーーえっ?」


なんで神位魔法を知っているんだ?

まぁ、聞きたいことが増えただけだしいいのだが....


「....どこで神位魔法の名を聞いた?」


「ーーくっ、殺せ!!」


「ーーーそれを言って良いのは女騎士だけだ」


「ーーーー?」


そう返すと、きょとんとした顔で返されたのでどうやらこの世界では女騎士の特権とっけんというわけでは無いらしい....ちょっと残念だ


「殺さないぞ、聞きたいことがあるだけだ」


「ーーーシンイ魔法は、200年前に......エルフ同士が戦っている時に片方の男エルフが使っていた」


「ーーエルフだと?」


またエルフ?

エルフ強すぎないか?よく人間反抗されないな....


「ーーもしかしてそのエルフが始祖魔法を?」


「ーーーえっ?あ、えっと....始祖魔法?を使うエルフの魔法師は二人いた気がします」


そうシアに聞き返すと先ほどまで上の空だったシアが慌てて答えた、何かあったのだろうか?

まぁ、天位魔法や神位魔法を見れば驚いてしまうのだろうが...


「始祖魔法の魔法師と神位魔法の魔法師がいる可能性があるのか...」


始祖魔法の使い手はどうでも良いが...神位魔法を使えるエルフ....場合によっては神位魔法を剥奪しないといけなくなる....


「じゃあ、次の質問だ....出会いがしらにやっと会えたと言っていたが...あれはどういう意味だ?」


「ーーー200年前よ」


「ーーえ?」


もしかして200年前に会ったことある?


「200年前に...あんたと同じ魔法を使っているものが....私のお姉様を連れ去ったのよ」


なるほど、それで恐らく姉を連れ帰るために同じ魔法を使っていた姉を連れ去った奴の仲間だと思い攻撃したと言うことかな?


「....200年前というとーーもしかして君の姉は元魔王最高幹部か?」


「えぇ!よく人間が覚えているわね....もしかしてそこのエルフから聞いたのかしら?」


「その時の吸血鬼が最後の....いや、魔王軍ともなれば存在を隠蔽いんぺい出来るのか....」


「ーそ、それでもおかしいですよ?200年前にエルフと戦ったのならその時に討伐されているはずです!」


「ーーは?何言ってるのよ、ちゃんとこの目で見たわ....それにお姉様が非力なエルフに負けるって言いたいの?」


そう吸血鬼の少女は魔力でできた殺気を飛ばすが神威監獄で攻撃は不可能、代わりに鎖が強く締まり出した


「うっ」


「ーーHaltーー(待て)」


そう言うと鎖は生き物の様に従順じゅうじゅんになる


「...君の姉を連れ去ったエルフの特徴は?」


「ーーーここから解放してくれるのなら言うわよ」


「言わないのなら死ぬだけだぞ?」


「....男のエルフだったわーーーそいつに攻撃し始めたエルフの耳の方が長かったから恐らく普通のエルフ、攻撃したエルフは女でハイエルフ」


「始祖魔法の魔法師が男で、神位魔法の魔法師が女と言うことか?」


「違うわ、逆よ」


逆か...始祖魔法を扱う200年前にいたハイエルフ.....心当たりがーー気のせいかな?


「だそうだが...シア、あっているか?」


「は、はい!確かに男性の魔法師と女性の魔法師でした!....なぜ争っているのかは分かりませんが」


確かにそうだ、ハイエルフとエルフといえど仲が悪いわけでは無い


それにしても200年前には神位魔法を使えていたのか...

俺が神位魔法を使い始めたのはここ100年のことだ、もしかしたら俺よりも強いのかもしれない....いや、そもそもどこで神位魔法を知った?


「{転ーーがぁっ」


いつのまにか詠唱したのか、突然魔力の流れを感じたが瞬時に少女が苦しみ出した


「ーー無駄だぞ、神威監獄は最高神さえ捕まえることが出来ると言われている....たかが天位魔法じゃ何もできない」


「ーーふんっ....神様も酷いわよね、人間に全てを与えて復讐したいだけの私にはチャンスさえくれないなんてーー」


そりゃ、あんな詠唱をしているから嫌われるのは当然だろ


「ーーその神位魔法の魔法師....エルフの男に復讐したいのか?」


「そうよ、それ以外何もいらないしなんでもする....それにまだ悪意ない人間に魔法を撃ったことはないわ」


「....」


ーーーそれだとまるで俺が悪意ある人間に聞こえるじゃないか!!


「え、エルアは悪意なんてありません!や、優しいです」


「おぉ、マイエンジェル」


「ーーーエルフですけど?」


「ーーマイエルフ」


「え、エルアのだなんてそんな...!!」


そう悶々もんもんとし始めるシア、うん可愛い


「ーーちょっと...目の前でイチャつかないでくれる?」


「あーーごめん、ごめん....よし、お前の処遇しょぐう決めたぞ」


「「ーーえ?」」


ポカンとそんな顔を浮かべるシアと吸血鬼の少女に対して俺は笑みを浮かべたーーー



―――――――――――――――――


Q これは次のヒロインというやつですね?!


A 違います


Q 嘘だぁ...こんな少女で吸血鬼なんてーーヒロインと言っている様なものじゃないですか!!


A 違いますって

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