〜第18話 少女は誓う〜
伯爵邸から出た俺とシア、吸血鬼の少女は王国と帝国の境目にある検問所まで来ていた
「俺とシアはこのまま帝国に行くんだが...お前はどうするんだ?」
「そうね...私もこのまま一緒にーー」
「だ、だめです!絶対だめ!!」
ガルルルと犬のように
「こうなるからしばらくここでお別れね」
「しばらく?」
「えぇ、貴方達とはまた会う気がするわ....それと貴方達亜人地区へ行くんでしょう?」
「そうだが」
「おそらく亜人地区に仇はいないわ」
「そうなのか」
おそらく敵対している始祖魔法の使い手
「ーーー亜人地区にはいないとして帝国にいるかもしれませんよ?」
「そうかもね、でも先に連合王国へ行くつもりよ」
「連合王国か確か教国に次ぐ魔法先進国だとか」
「そう、そこで魔法の収集でもしているわ....それに熱いお二人さんの邪魔をしたくないしね」
「ーーー?」
「ーーーっ」
こちらをニヤニヤしながらそういう吸血鬼の少女
まだ熱くないのだが....ていうか辺境伯領に入ってからシアとの関係あまり進んでなくない?キノセイダヨネ?
「んじゃ、今日中には連合王国に入りたいしそろそろ行くわ」
「あっ、待ってください」
そうシアは呼び止めると近づいて手を合わせ祈るように
「ーー聖霊よ彼女に祝福を」
一瞬周りが
「エルフが見送る時に行うものですが....」
「あ、ありがとう....」
少女は歓迎されると思っていなかったのか驚いたようにシアを見た
なるほど、こういうときは祈った方がいいのか
「では俺からも...」
「えっ?いいわよ私貴方に謝ることしか...」
気にするな、と言い祈るように手を重ねた
「ーーOh Gott segne sie, segne sieーー」
どうやら周囲は光らなかった、別に期待してないからね?
「シンイ魔法ね...相変わらず訳わからない魔法ね」
「俺からしたら天位魔法の方がわからないぞ」
エルフが使っていた始祖魔法を自力で取得したなら分かるが、自力で一から魔法を作るなど不可能に近い。
基本的に認知されている魔法は伝説上の存在である「始祖魔法」と現在使われている「神門魔法」である
基本的に魔法は技術が進歩していくにつれ衰退していく方向にあるが、天位魔法という
「褒め言葉として受け取っておくわ」
「そうか」
一瞬名前を聞こうと思ったが今度会った時でいいだろう
なんとなく今度会うときは敵ではなく味方として会う気がする
「それじゃあ行く.....の前に....シアって言ったかしら?」
「ーーなんですか?」
「えーと...そうね」
一瞬こちらを見てなぜかシアの方に
「ーーっ!!や、やってみます」
「それがいいわ」
ーーっと頬を赤くしたシア
おい、待てなんの話をしているんだ?
いや、美少女同士の会話に男は入るべきではないのだろうけど....気になる、いや単に美少女の間に入りたいだけだが
「よし....それじゃあ、また今度会うと思うけどその時には何人侍らせているのでしょうね?」
「ーーーーは?」
そんな爆弾発言を置いて少女は飛び去るのだったーーーーー
<Side 吸血鬼の少女>
「変な人間だったわね」
別れてから数分後、今までのことを思い返してからそう呟いた
シンイ魔法という人外の魔法を使っていたこともそうだが、何よりあのエルフの子に懐かれていたのが印象的だった
人間はエルフといえば見つけ次第奴隷にするか殺すかだった気がするが、奴隷という感じではなかったし恋人....どちらかというと夫婦?に見えてしまった
美少女とイケメン男....お似合いの夫婦だ
「イケメン男ーーっ」
なぜだろう、見送りの際に祝福してくれたことを思い出すとにやけてしまった
「うぅ....と、とりあえずお姉様を取り返さなくちゃ!!」
そう決心して連合王国へと
「......それが終わったらーーーまた会って彼のために何かしたいなぁ」
もしかしたら100年後、200年後になるかもしれない
当然、人間はそれほど生きれないのだが彼の下で彼のために生きる自分を想像してニヤけてしまった
が、この吸血鬼の少女はその気持ちが何か知らない
忠誠心か、恩からくる気持ちか、それとも別のなにかか
それがなんであろうと少女はそう誓ったのであったーーーーーーー
―――――――――――――――――
Q 次回ネタバレを含むあとがきが一話入りますが読まなくても問題はありません!!
A ネタバレなんてサイテーー
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