〜第42話 帝国の企み〜

「ーーーーと言うわけでして、現在談話室には教国魔法師団副団長と勇者様がいる状況です」



ーーエルアたちが談話している最中、別の部屋で帝国の貴族たちは密かなたくらみを話し合っていたーー



「まさか勇者様も来られるとな‥‥」


「はい、元々ヨハネの四騎士をき入れるつもりでしたが急遽きゅうきょ、変えざるをえませんね」


「あぁ‥‥それと皇帝陛下からのお達しだーーーーカトレア様には帝国騎士団団長を、勇者様には皇女様をあてるそうだ」


「なんと、皇女様が!」


「勇者の血筋だ、なんとしても帝室に取り入れたいのだろうーーーもしかしたら子どもにも勇者並みの魔力が宿るかもしれないのだからな」


「そのようですなーーーーいくら勇者様とはいえ不老不死は考えずらい‥‥‥‥それに勇者は世襲制という可能性も‥‥」



そんな勇者は不老不死ということを知らない貴族たちは、帝国を祖国とする勇者を想像し幸福にひたっていた。


「ではでは、事前の話し合いの通り正妻を皇女様として側室には我々公爵家から」


「いやいや、国防を考えるのなら王国や亜人地区と接している伯爵家である我が家系にも」


「そうですな、勇者様には頑張ってもらいましょう」


そんな話を貴族たちがしている最中、1人今まで口を開かなかったフードを被った男が一つの提案をした。


「帝国に勇者の血が入るーーーこれがどういうことか皆様わかっていないようですね」


「‥‥‥‥なんだと?」


自身の家系が繁栄することに浸っていた中、冷ややかな言葉をかけられた貴族たちは気を悪くして聞き返す。


「勇者並みの魔力を持った人が何人、何十人と帝国にはいることになるのです、そろそろ教国が唯一の超大国の時代は終焉しゅうえんーーーーーと思いませんか?」


「ッ?!」


「お、おい!そんなことを冗談でも」


「ーーーーー果たしてありえない話でしょうか?」


神への反逆とも思える発言に注意をした貴族に対し、男はそう呼びかける。


「っっ‥‥‥」


「‥‥‥‥根拠は?」


「教国が超大国になった理由は神のお力があるからです。なぜ神の恩恵を受けているかと言いますと」


「ーー勇者がいるからか」


貴族のリーダーでもある公爵がそう口を開くと男は目を輝かせながら頷く。


「えぇ!勇者が帝国につけばおそらく神々も帝国に恩恵を与え始めるでしょうーーーそうなったら‥‥賢明な皆様ならわかりますよね?」


「しかし、流石に教国を敵に回すのは‥‥‥‥皇国が教国側につけば一筋縄ではいきませんぞ」


「たしかにそうですな」


「‥‥‥‥」


貴族たちが自分の提案に直ぐに乗らなかったので、男は苛立いらだちを覚える。


「“ご安心くださいーー私が独自に締結した条約なのですが、近頃話題の新生魔王軍はこちら側につくという保証を得ました”」


「‥‥おぉ、それでは」


「そうですな‥‥‥それなら心配する方が野暮やぼというわけですな」


「それに王国なども味方に入れればいいですしな」


男が言ったことに誰も疑問を持たずに、貴族たちは人が変わったように賛成し始める。


理由は明確、男が言葉に魔力を込めて洗脳魔法を発動したからだった。


「これで話はまとまりましたねーーでは私は陛下に呼ばれているのでこれで」


洗脳魔法が行き届いたのを確認すると男は部屋から出て、愚痴を吐き出す。


「できれば魔法は使いたくなかったがーーー人間の貴族を舐めすぎていたか」



男はそのまま窓から城を出ると、人目のつかない裏路地へ入った。


「えぇっと‥‥次は王国かーーー全く、うちも結成したばかりだから忙しいのも仕方ないがも飴をくれないのかねぇ」


「ーーHerr, kannst du das Lob der Narren hörenーー{瞬間転移}」

(ーー主よ、私が望むのは愚者からの忠誠だーー)


男が詠唱するは神位魔法。

だがエルアとは違うのは神気は少し邪悪の念を放っていることーーーだが1秒も経たないうちに男は転移したのだったーーーー



―――――――――――――――――


Q 皇女じゃなくてエルフだったらすぐ落ちそう()


A 堕ちてる


Q あぁ....(察し)


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