〜第40話 ただのBランク依頼のはずが〜

「はぁっ!」


ユウナが剣での近接戦に持ち込もうとするが、魔族はそのまま距離を取り逃げ回っていた。


「.......」


今思えば神位魔法に頼りすぎていたな。


(ーーーもう魔力回路がどうこう気にしている場合ではないか)


ユウナは万全ではないものの、最悪の場合シアとティアを連れてここから脱出することは出来るだろう。


「ーー根源するは魔術。主よ敬虔なる信者である我にどうか祝福を」


体から痛みを感じ詠唱が終わりかける頃、急に隣から魔法の気配と共に声がかけられた


「ーーーーまって」


「え?」


見えたのは神門会とは対照的な黄金のマント、そして誰もが神から祝福を授かったであろうと感じるほどの神気を纏った赤髪の美少女だった。


「ーー神門魔法第3神門ーー{神議しんぎの剣}」


神門魔法ーーの中でも高度な詠唱と共に現れたのは聖剣と見間違えるほどの剣だった。

それを握ったかと思いきや魔族に思いっきり投げた。


「ちょ?!危なっ!」


ユウナがギリギリでかわすとともに魔族に刺さった。

ユウナに思いっきり当たりそうだったのは気のせいだろう。


「今です」


「あぁ!ーーKnie Rebell. Gib deine Sünde zuーー{救済之神判}」

(ーー主よ反逆者に断罪という名の神判をーー)


誰かからの合図と共に神位魔法により、巨大な槍で切り裂いたーーーーが感触がなかった。


「ーーーー外した?」


そう呟くと、ユウナと謎の美少女は瞬時に防御結界をった。


「新手です。勇者様」


「ーーー気配がなかった」


「‥‥多分、転移して来た」


謎の美少女が今度は剣を構えながら報告する。

魔族が1体ーーーいや、この瘴気‥‥‥‥まさか上位魔族?


「あらあら‥‥うちの末っ子がどうやら粗相そそうをしたようね」


霧が晴れると共に、そんな女性の声が響いた。


姿が現れると明らかに上位魔族の証であるツノが生えていた。


「ーーー上位魔族?!王国領ならまだしもここは帝国領だぞ!」


ユウナも気づいたのか警告するように剣を向ける。


「もちろんわかっているわよ‥‥わかっていてやっているの」


「なっ?!」


「‥‥‥‥‥それはつまり帝国への宣戦布告か?」


宣戦布告ーーまさか魔王国は王国だけでなく帝国へも宣戦布告をするのか?


「そうねぇ、もっというと全世界に‥‥‥‥かしら」


「ーーー私は教国幹部だ。その言葉、魔族の総意でいいのだな?」


謎の美少女が強めの口調で聞き返すと、魔族は首を横に振った。


「正確には私たち新生魔王軍がーーーね」


「新生?」


「そう、200年前の旧魔王軍の残ったものによって結成されたゲリラ魔王軍がね」


「200年前だと?」


思わず疑問の声をあげてしまう。

200年前の残った魔王軍にこれほどの実力者は居なかったーーーまさか、200年で成長したのか?


「「「‥‥‥‥」」」


新しい情報がどんどん入る中、魔族は横たわっているもう1人の魔族を引きずって懐中時計を見ながら宣言するように告げる。


「ーー宣言しよう。我ら新生魔王軍は大陸に存在するすべての国家及び現魔王国に対し宣戦布告をすると」


「「「っっ!!」」」


「ーー神門魔法!」


「甘いわね、転移!」


ユウナが詠唱をするがすぐに転移により逃げられてしまった。



「ーーーーーー勇者様、通信魔法により教国から報告が来ました。どうやら同じような使者が各国にも来ていたと」


謎の美少女が魔導石を電話のように持ちながら言ってきた。


「ーーつまり本当に新生魔王軍が結成されてたんだな」


「はいーーーそれで一旦、帝国にいる教国幹部たちは帝国の首都に集まるようにと」


「わかった」


もはやエルフ国に行くような事態ではないのかーーーーシアたちの安全を確保するために2人だけでも送るか?

いや、魔族は大陸にいるすべての国と言っていたので、まさかエルフ国や亜人地区も安全ではないのかもしれない。


「ーーえ?あんたも来るの?」


「そうだけど‥‥‥‥なにか?」


「いや、あなた教国の重臣よね?」


「関係ない、たとえ教国が滅びようと勇者様を守るのが使命だ」


「それはそうだけど‥‥‥‥」


ーーーそういえば、この謎の美少女は一体誰なんだろうか?



―――――――――――――――――


Q 急展開すぎる。


A とりあえず王子サマ魔族に滅ぼしてもらいましょう。


Q そういえばいましたね笑

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