〜第34話 目を離すとずっとティアと喋っている〜

翌日、シアとティアと共にBランク洞窟へときていた


「ここがBランク洞窟ですか....Bランクにしては瘴気が濃いですね」


「そうだな....見た感じAランクはありそうだが...」


瘴気...というのは毒を持った魔力が放出された物を指す

そしてその瘴気を放出するのは基本的に、魔界から追放された魔族である


まず、この世界の魔族と魔物は明確に違う


魔界から来たのではなく、元々ここ人間界にいた者が魔物....魔物は基本的に知能が低くそれほど脅威でもない


一方で魔界にいる者を上位魔族と呼ぶのだが、そんな上位魔族の中でも魔界から追放されてきた者が魔族である、魔物とは対照的に魔族は知能が高いため言語を扱う者もいて魔物より強い

そのため、たとえば同じミノタウロスでも魔物と魔族で分けられることがある


ちなみに追放に関してだが、魔王から追放されたということだったり、戦いに負けた者が追放されるらしい

つまり、魔界にいる上位魔族は人間が脅威と見做している魔族より何倍も強いということだ....まぁ、魔王級でなければ各国の騎士団や冒険者ギルドが普通に討伐してくれるので人類が負ける心配はない....多分


話がズレたが、そんな追放された魔族は人間界で何をするのかというと、自身の魔力で要塞を構築しそこに魔物を召喚して人間と戦い魔力を増やし、人間界を征服する準備をしているのだとか


そんな魔族が放出する魔力のことを瘴気というのだ、これは自身の魔力総量に比例して有害となる瘴気が決まる。


ちなみにだがシアはSランク洞窟とAランク迷宮の瘴気なら無効化できる、普通にチートだ



「こういうのは事前に聞くべきだったが....ティアは今の所大丈夫か?」


「瘴気のことですか?一応聖霊の祝福がありますので大丈夫ですね」


「そうか、でも異常を感じたらすぐに言ってくれ...すぐに洞窟から出るから」


「は、はい.......」


それにしても聖霊の祝福があるのか....シアも聖霊に好かれている見たいだし、やっぱりエルフ族は聖霊に好かれやすいのだろうか?


「私は心配してくれないんですか....?」


ーーーそんな背筋が凍る様な声が聞こえた


「シア?!えっと....シアは魔力総量多いみたいだし、大丈夫かなって」


「そうなんですか....ふーん」


一見、納得した様に言うが目を見ればわかる....ハイライトが消失した冷めた目、可愛い....じゃなくて相当お怒りである


「俺、シアのこと愛してる....だから信頼していていてーー」


そこまで言うと、遠くから見てもわかりそうなほどに耳の先まで赤面したシアは俺の口を急いで塞いだ


「あ、愛してるってーーーティアの前で言わないでください!」


「ーーーいえ、いいですよ続けてください」


あくまでも笑顔で、続けてくださいというティア....多分「何だ、このバカップルは....」と思ってそうだ.....申し訳ない


「と、とにかく依頼を遂行しましょう!行きますよ、エルア!!」


「お、おう......って、一人で歩けるからそんなに引っ張らなくてもーーー」


「ほっといたらティアとずっと話しているじゃないですか!」


「そんなことないよ?!」


「.......」


....洞窟の中だからあまり見えないがティアが死んだ目をしている....あ目が合った....ってなんで逸らすの....そんなに嫌だった?!


「ちょ、シア早く進みすぎだ...一応Bランク洞窟だし、罠を警戒して慎重にーーーー」


そう言いかけた時...後ろからカチッーーーと音が聞こえた


「ーーーっ?!」


どうやらティアの方が罠を踏んだらしい、ティアを中心として半径5メートルくらいの大きさの魔法陣が出現した


「なっーー?!」


「転移魔法陣?!しかも対パーティー用のーー」


「ッ!!エルアーーーーーー」


シアが手を伸ばしてくるのが見えたが、それより先に魔法陣が発動しティアと共に俺は転移してしまうのだったーーーーーー

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