第42話 水面下


「ねえ知ってる?馬草くん誰かに襲われたらしいよ」


「え!?なにそれ!?」

「なんか一週間まえくらいに学校に救急車来ててさ、ぼろぼろになった馬草くん運ばれていったらしい!サッカー部の男子がみてたって〜!」

「だから馬草しばらく学校きてないのか」

「んで、誰がやったの?」

「わかんない!」

「わかんねーの!?」

「まあ、誰にやられても仕方ないような奴だったしなぁ。あ、これ誰にもいうなよ」

「あはは、そんなんみんなそう思ってるでしょ」

「確かに!むしろいい気味だよな」

「なんか馬草ん家いって話きいた先生が職員室で言ってたんだけど、すげー怯えてるらしいんだよ」

「あははウケる」

「馬草態度でけーけど心弱えからなー。だから自分より弱い役をつくっていじめてたわけなんですが」

「いままでのツケが回ってきたな」

「イケメンオワタw」

「いやあいつ雰囲気だけでイケメンじゃねえーでしょ」

「確かに!カッコつけて寒いセリフ吐いてたけどぞわぞわしっぱなしだったもん」

「そういや黄瀬をモノにするとかって話はどーなった?」

「なに、そんな事いってたの!?無理だろ!」

「いや自信満々だったからさ」

「いままでビビって告らなかった奴がどーしたんだろ」

「なんか今回はイケるとかなんとか」

「イケるわけがない!イッてんのは頭だけにしとけって!あはは」

「何言ってるか意味わからん」

「黄瀬なんて高嶺の花すぎて無理だろ〜」

「他の学校に彼氏いるとか噂あるよな」

「まああんだけ綺麗ならいないはずねえよな」

「少なくともウチの学校にはいないかなぁー」

「おいおいディスってんじゃねえぞ。お前はいま学校中の男子を敵にした!」

「あっそ」

「黄瀬と付き合えるなら俺はなんでもするぞ」

「じゃあ転生してどーぞ」

「死ねってこと!?」

「つか馬草いないだけで快適かも」

「たしかに。なんかめちゃくちゃ態度でけーしうるせーし」

「あれ、お前馬草グループだろ......んなこと言ってていいんか」

「あんなの適当につるんでただけだし」

「軽音部も御門先輩とかが楽器鳴らしてうっせーからやめよっかな」

「あーあ、せっかくの溜り場だったのに」

「部長は来なくなったし。あいつ何してんだろ」

「確かに!宮田先輩どーしたんだろ」

「あ、わかった!青山のストーカーしてたりして?」

「ありえる!可愛いってめちゃくちゃ気に入ってたしね!」

「いやあれは可愛いよ」

「ちゃんと女の子のカッコさせたら黄瀬さん超えたりして」

「あー、あり得るかもねえ......うわーやりたくなってきたー!」


「あ、青山が可愛い?」

「黄瀬を超えるとか何いってんだおまえら」


「あれ?あんた知らねーの?青山が女んなったこと」


「「「「「青山が女ッッ!!?」」」」」


「あー、あいつ留年してっから」

「そだそだ、これみてみー......えーと、あ、あったあった」


「なんぞこの動画?」

「誰だ......てか美人!?誰だ!!」

「うわー可愛い」

「え、これは......黄瀬レベルのお顔」

「まさかだけどこれ、青山か?」

「そだよーめっちゃ美人っしょ?」

「うわー」

「てかなになに?歌い出したぞおい」


「「「「歌うめー!!」」」」


「あはは、ウケる」

「やばいよね青山」

「これ金稼げるだろ」

「金稼げるどころか稼いでるんじゃね?これYooTubeだし」

「は?青山って......YooTuberだったのか!?」

「そそ。aoって名前でさ」

「ちょ、まじで!?調べてみる」

「え......」

「んんん!?」

「なんぞこの登録者数」

「え、まじでこれ青山?勘違いじゃなくて......」

「勘違いじゃないよ」

「でもこれ、登録者512万て......ありえんくね?」

「あはは、やべーよね青山」

「つーか歌やべえって」

「綺麗なファルセットだな」

「そういや緑川さんも歌い手してたよな」

「え、まぁ......」

「菜花ちゃんは登録者何人なん?」

「ひ、ひみつ、です」

「えー気になるなぁ」

「菜花さんもすごい人だったりして」

「つーかみてみろこれ、aoってバンドやってるっぽい!!」

「おおお、すげえー......ん?」

「あれ?これって、ギターの声」

「......黄瀬、かな?」

「いやそうだって!話し方も黄瀬さんだし!」

「ボーカルが青山だろ?ギターが黄瀬で......他は?」

「他はウチの学校じゃないんじゃね」

「あ、おれこの小さい子好きかも」

「キーボードのか!可愛いな!」

「俺はドラムの赤パーカーかな~!迫力あってカッコいいし!」

「いいよな!ドラムが飛び抜けてレベル高えよ」

「いやまてまてんなことねえから!このバンドで一番力あるのはボーカルだろ!頭二つくらい上だぞ」

「それゆーなら地味にベースがいい仕事してるぞ」

「んー、こんなかで言うなら青山だなぁ......言ってて怖くなるけど」

「なんで(笑)」

「いやだって青山も黄瀬も同い年だぞ」

「確かに、同い年でこれは怖いw」


「ライブとかしてるんかな......って、バンドのチャンネルも登録者やべえー」

「401万て」

「もうフツーにアーティストやんけ」

「ほえー」

「動画再生数もえぐっ」

「ありえなすぎて笑えてくるな」

「青山って学校来てるんだっけ」

「たまに来てるっぽいね」

「一年の教室行ったら会えるんかな」

「どーでしょ」

「つか黄瀬に頼んだほうがいいんじゃね?」

「青山と遊びたいっていえばいいかな」


――ガラッ


「......ん?」


「あ、黄瀬さん」

「やべえ奴きた」


「なんで!?」




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る