第25話 ライブ③



――まるで、隕石が衝突したかのような爆発力だった。


当にexplosion。


怒号のような客席の声援、その全てを飲み込む【Re★Game】の迸る音。


その盛り上がりとは対象的に、ステージは暗く群青に彩られていた。


――海中に居るかのような、青の世界。照明が揺らぎ、PAさんの仕事が実に巧みに機能している事を実感する。


天から一筋の光。それが俺に落ちてきて、ひとつふたつとメンバーにも降り注ぐ。

暗い世界であらわれた仲間たち。


その演出も相まって、とてつもない熱が場を支配する。そのボルテージは急激に上昇していき、とどまるところを知らない。


「すげえ!」「なんだこいつら!」「今までどこに隠れてやがった!?」


――一曲目が終わり、続けて二曲目へ。スムーズにメロディが変化し、曲がスタートする。


一曲目、【暗い海の底】のアンサーになっている二曲目【灯】は、絶望しても尚胸の奥で燻る夢への熱を歌っている曲である。


ストーリー性のある詞の内容、情景が思い浮かぶような言葉の並びは観客を引き込めるように考え、構成した。


(これは俺の歩んできた道を歌った詞)


ukaに言われたアドバイス。着飾らないで、あなたの想いが乗るような詩を書きなさい。でなければ誰の心にも響かないですわ。


陽向に言われた言葉。希望にみちた歌は沢山あるからさ。結人は結人にしか歌えない歌詞を書けばいいよ。


kurokoは言った。aoって陰キャだと思ってたんだけど。私はaoのそういう陰の所好きだけどなぁ。


rayさんは否定した。綺麗なだけの人間はいません。ほとんどの人間は汚いものです。でもだからこそ、そこに輝く光は美しく見えるんじゃないですかね。


(救いのない話を書こう......俺の中にある、絶望と希望を)


――一人きり彷徨った中に見えた、皆との出会いと光。そして、そな裏にある恐怖心や闇。


......俺の中にある迷い、苦しんだ記憶、悲しみもなにもかも......全てを吐き出すように書き記す。


(皆と出会えて良かった)


俺は、皆の力を借りて答えを出せたんだから。


そうして完成した三曲。


当初はカバー曲のみの構成だったが、全てをオリジナルの曲にした。



ベースとギターの掛け合いで盛り上がる間奏。ハイレベルなスキルに魅せられ、幾度も訪れる波のように何度も歓声が沸き起こる。


そして最後はrayさんのピアノの切ない音色で灯は消え行く。それと共に、ステージライトがフッと消え暗闇に戻った。


――ワァアアアアー!!一気に客席が沸く。


二つの曲を無事やり終え、客席からは大きな拍手喝采。不思議と上手くいく自信はあった。

が、しかしここまでの反響は予想して無くて俺はどうしていいかわからず、助けを求めるように陽向をみた。


(......え、えっと)


彼女はにこりと微笑み頷く。そしてマイクに寄った。


MCはバンドマスターである陽向が行う。

この辺はネトゲでもマスターをしていたhinaが自らやるといってくれたので助かった。


(俺にこれは荷が重すぎる)


『こんばんは!ども、Re★Gameです!はじめましてー!私達は――』


手慣れているような印象。スムーズに進むトークに頼もしさを感じる。


......てか、すげえな。ステージってこんな感じなんだ。お客さんからの視線を物凄く感じる。


思わず身じろぎして後ろのukaと目が合う。相変わらずくるくるとスティックを回し、ずいぶん余裕そうにみえる。


(さすがuka......場馴れしてるのか、全然緊張してないな)


やがて彼女がこちらの視線に気が付き、ニヤリと笑い八重歯をみせた。


それに対し俺もニヤリと笑い返す。しかしこれに特に意味はない。

そんな事をしていると、ukaの左手にいたキーボードrayさんがそのやり取りに気が付き「くすくす」と小さく笑う。


するとその時、「ボーン」と突然ベースの音がした。


「「「!?」」」


びくっとする俺とukaとrayさん。


みればkurokoが俺たちを指差し陽向に「おいこいつら遊んでんぞ」とでもいうかのようにベースの音で訴えていた。


『おいおい、お前達。あたしが一生懸命トーク盛り上げてるのになにいちゃついてんのさ?aoもMCやらせるよ?』


俺は必死に首を横に振り拒否した。


ドッと会場が沸く。kurokoの告発により笑いが起こる。いや、いちゃついてないんだが。


『ではここで、メンバー紹介だーっ!!』


それは次の曲への導入合図。ukaがドラムを叩き始めた。


『ロールはパーティの大黒柱、タンク!精確無比で変幻自在のドラマー!uka〜〜!!』


ukaが巧みにスキルを披露する。会場からはロール?タンク?と疑問の声が上がっていたが、このノリでいこうと俺たちはあらかじめ決めていた。


『お次は〜!火力担当、黒魔法使い、黒魔術師!ベーシスト、kuroko〜〜ッ!!』


伸びのある重低音、スラップが始まり人々を魅力する。


『美しい癒しの音色、白魔術師!キーボード、ray〜〜!!』


鮮やかにピアノの旋律が走る。一つづつ音が集まり奏でていく。物語を進めるように、変わっていくメロディ。


『弓師、みーんなのハートを射貫いちゃうよん!アーチャー!!ギターのhina!!よろよろ!』


ギターのシャウトのような響く音色が合わさり、曲が彩られていく。


『そしてー!魅惑、魅了!オーディエンスの心をまるまるっと盗んじゃう!盗賊、シーフ!ボーカル、ao〜〜!!』


――ラスト一曲。曲名くらいは言えるでしょ、と陽向に言われそれを承諾。事前に決められていた俺の仕事。彼女が視線で俺にバトンを渡してくる。俺はそれに応えた――


『――SIREN』


オリジナル曲【SIREN】これは俺たちが巡り会えたネトゲ。MMORPG【SILENCE SIREN】をイメージした曲。そして、俺たちの歩んできた道が詞に描かれた一曲だ。


――観客席を見渡せば、夢のような光景が広がる。


どうせ終わった人生、だったら死んだ気で。


そう思って歩んだ道の先が、この場所に通じていた。


願うだけじゃ叶わない。


思うだけじゃ届かない。


――まだ、暗い場所で悩む人達へ......届け。そんな願いを込めて俺は叫んだ。


星のない暗い闇夜に、この歌が輝くように。




――



『すげえええええ!!』

『なんぞこのバンドはww』

『aoだよなこの声』

『バンド組んどったんかわれえ』

『ふつーにライブ行きたかったんだが』

『つーかこの配信ってえらく画質悪いんだけど』

『これ盗撮的なやつじゃないの?』

『タダでみられるならおk』

『おいww』

『いやさすがに公式だろ』

『どうでしょう』

『つーかまじでaoの声ってライブではえるなあ』

『ドラムもやばくね?』

『まったくミスらねえよなww』

『ベースとドラムが天才』

『aoはも当然のことながらドラムがすごい』

『まあキーボードもギターもふつーじゃないけどw』

『つーか顔はパーカーのフードで隠してくスタイルなのね』

『正体不明(ao以外)』

『ミステリアスでええやん』

『こいつらバンドとして完成度高すぎww』

『ドラムすげえけどギターキーボードベースもヤバいレベルやぞ』

『ギターもベースもプロだよって言われたらふつーに信じるわ』

『えwこのメンツみんなプロかと思ったけどww』

『それは...ありますねえ!』

『プロのバンドにスカウトされたaoてきな?』

『あー』

『お、ラストの曲くるぜ!』

『いや入り方神かよ』


『で、この配信公式なの?』




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