#17 因縁は切れず
「げ」
確かに、目の前のやつはそう言った。
「随分と久しぶりじゃないか、どうした?私を追ってきたのか?」
「……ちげえから。ていうか、こっちくんな。お前の近くにいるとウザくて仕方ない」
「なーんでだよ〜、同じ演劇部じゃないか」
「だからなんなんだよ、俺はお前とは違うんだよ」
そう言って、彼女は背を向けた。
「じゃあな、舟橋。俺はお前と違ってやることがある。」
と、吐き捨て、奥の方へ行ってしまった。
「……渚先輩、あの人って……」
「え?あぁ。四ツ谷翼先輩だよ。結構前に話しただろう」
そう。渚先輩のことをライバル視している、四ツ谷翼。彼のやることとは、いったいなんだろうか。
だが、僕にはもう検討がついている。どうせ、【魔法のランプ】だ。
「……なんか、すごい人でしたわね」
「……神崎さんでも“すごい”としか形容できない人なんだ。」
「でも、悠みたいな人だったよね?」
「……そうだよ。だから……」
「だからこそ……気に触るのよ…」
見ただけで身長は180ほどもある。顔もどこか中性的。なのに服装は明らか女の格好をして、一人称は俺。
小河原悠ほど、中性的な人間はいないだろうと思ったが、彼女はどちらなのだろうか…?
「とりあえずさー、来たからには色々見ないと損じゃない??」
「……ほらー、最年少にも言われてるぞー」
柚音に急かされて、僕たち一行は、研究所内を歩き回ることにした。
*
【能力総合研究所】
古来より、能力というものを研究している実験施設。唯一、政府組織MSAに認められた能力研究所であり、与能力や能力の発現、相遺伝などを研究している。
現在主人公たちがいるのは、それを一般人向けに展示している展示施設。
実際の研究所は、他のところにあったり、地下にあったりする。
*
だが、今日はいつもより、騒々しかった。
「すごいね、こりゃ」
双さんは、建物の天井をも貫いている【それ】を見て言った。
「『世界を元通りに戻す効果を持つ。世界が能力で破壊の限りを尽くされ、我々の手に負えなくなったら、自動的に起動し、世界の【再起動】を行う。通称【デウス・エクス・マキナ】』」
「……再起動……」
「そう。この世界が破滅したら、起動する代物です。まぁ、もう、東京が沈んで無くなったくらいから、世界の活気はないわけですが」
「東京……?」
「あぁ、すみません。こっちの話です。自己紹介がまだでしたね。宝城類と申します。こちらの総合能力研究所で研究者をやっています」
彼はそう言いながら、白衣を羽織り始めた。
「……どうして、研究者の方がこちらの展示室の方に?」
「あぁ、【あれ】のせいですよ」
そう言って、彼が指さしたのは、『特別展示室』。
「……すごい、本当にあったんだ」
霞がそこをのぞいていたが、そこには、【魔法のランプ】が確かにあった。
「あれがあるのはいいんですが、こんなものが届きましてね」
そう言って、とある一枚の紙を見せてきた。
『4/29。魔法のランプをいただきに参る。』
と、新聞か何かを切り貼りしたような文字が並んでいて、いかにも、【怪盗】っぽいもんだ。
「一応、イタズラだと思っているんですけどね。このご時世、とんでもないことが起こっても不思議じゃない」
「そうですかね…?」
宝城さんは顔を顰めながら言っている。
「でも、ガラス張りになってるし、警報も付いているんでしょう?なら…」
「いるんだよたまに…透明化して盗みを働く奴が…」
そう言って、僕らは全員息を飲んだだろう。
そんなことが起こったら…と。
だが。
僕らは予想もしなかったことで、僕らに衝撃は伝わってくる。
強化ガラスの破壊音と。
【警報が鳴る】音。
そしてなぜか真っ暗になる視界。
……未だ警報は鳴っている。
何が起こった?
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