#12 起きたらそこは
「あ、起きた。」
美奈先生がいた。
あ!
「紗凪は!?」
自分でも第一声がこれか、と思ってしまう。
「手術中よ」
「ということは、助かる…?!」
「いや。刺されていたところが左胸、首、お腹。三箇所も深い傷があって、浅い傷が結構あった。」
「………ねぇ、先生。紗凪って中学の時どんな感じだったの?」
「……今聞いたら、死ぬみたいじゃない。本人から聞きなさい。彼氏でしょう」
そこから、街並みを見ながら、ひたすら時間を過ごした。僕の能力が遅行じゃなくて加速が良かった。そしたらこんなに長く感じなかったのに。
「世界って危ないんだな……」
安全な田舎から一転。都会というのは危険と聞いていたが、こんなに酷いとは思わなかった。
「臨界、入る前に紗凪は電話出たよね?」
「えぇ。なのに、剣で刺された傷があるってことは、あの臨界には時間がずれていた可能性がある。というか、ズレてる。」
「え?」
「今日は、4月25日。そろそろ、26日になるわ。」
「24日に話を聞いたよね僕ら。」
「えぇ。偶然玄関であったのはその日よ。」
どうしてズレているとか、何も関係ない。
僕はただ、あいつに対して憎悪を持っている。
妹が行方不明になり、昔の恋人も死んだら…僕はいよいよ何もする気が起きなくなる気がする。
列車で会ったあいつは、どこの組織にいる?
……ふと思った疑問。そうだ。
あいつらは組織の上の命令できていた。
『臨界を解除したらラッカンのところに戻る』
一番最後の【言霊】を思い出した。
ラッカン…。
またもや、聞いたこともない組織だ。
全く。MSAやらNEAやら、ラッカンやら。
組織は星の数ほどあるのかよ。
【言霊】……能力。瞳は普通に黒だったよな。
と言うことは…【天賦】
グラップ様から頂戴した能力。
となると、グラップってのが神の名前になる。
「…はぁ。息詰まってきた。ちょっと吸ってくるから。」
「詰まるのにまた詰めるんですか」
「…知ってるんだ」
「いや?あの家だとストレス多そうだなって思っただけです」
「答えになってないけど…ま、いいや。未成年はテレビでも見てな」
と、美奈先生はヤニを吸いにいった。
「んな時間にテレビなんてやってるわけないでしょ…」
先生がつけたテレビは見事に砂嵐だった。
その後、医者がきて、僕一人に説明をした。
「最善は尽くしました」
……それ以降はよく覚えてない。
砂嵐みたいに、脳みそは理解を遮った。
*
翌朝、病室の椅子で目覚めた時、小さなテレビを小さな子供が見るかのように近くで見ていた。
そこにはこう。
『能力総合研究所ついに願いを叶えるランプ開発成功』
「これだ…!!」
僕はこれを見た瞬間、【アラジン】の渇望と命をかけなきゃいけない使命をやっと感じれた。
これからだ…!これからが僕の【アラビアンナイト】だ!絶対に願いを叶えなきゃいけない。これで……紗凪も、茜も、全てが助かるんだ‼︎
*
「へぇ〜【アラビアンナイト】のランプ。…これがあればなんでも願いが叶うってわけか。」
「はい。…まぁ、総研の嘘ってこともありますが。」
「いや。作戦変更だ。あのランプを持ってくれば、渚を殺せる」
「原作通りなら人は殺せませんよ?」
「いや。できるだろう。きっと。【裏切り者】やってくれるだろう?」
「はい。僕にお任せあれ♪」
*
「お、おかえりだな、命宮」
「あぁ、なんとか。それで?渚の場所はわかったのか?」
「あぁ。高校の場所まで特定できたが…」
「だが?」
「随分と魅力的な記事を見つけてな」
「…あ?【アラビアンナイト】のランプ??」
「そうだ。これがあればあんな強い奴がめちゃめちゃいる街に行かなくてもいいぞ。」
「いや。俺は行くけどね。元々そっちはお前らに任せたやつだからな」
「あたぼうよ。あ、渚にあったら、殺すなよ、生け取りがボスの命令なんだから」
「わかってらー。俺はそんな脳筋じゃねー」
そう。
ランプをかけた、
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