#31 渦巻く呪い
「や。久しぶりだね。【
そんな、嘲る様な声が木霊した。
「あぁ、そうだな、へっぴり逃げ腰野郎。」
渚の声はいつにも増して冷ややかだった。
「なんだよ、そんなにピリピリしちゃってー」
「お前こそ、そんなとこで見てないで降りてきたらどうだ?【
「黙れ清水、用があるのは舟橋渚、お前だけだ」
「なっ」
「黙って」
渚は腕を広げて、双を静止する。
「私に何の用なの??」
「一週間前だったか?吸血鬼がお前を襲いに行ったはずだ」
「は?」
「そして、死体はこっちで回収した。」
「ああ、そうかい、それで?私と何が関係あるのさ」
「腹ん中にある【異臓】が、食われてたんだ」
渚は冷や汗をかいていた。
「もうわかるだろ?誰が食べたかなんて」
「…違う」
「お前だよ、お前。渚、お前は吸血鬼を食ったんだ」
「違う!」
【今までに聞いたことがないほどの大声】をあげる、渚。
「そうか、でも天罰を喰らわすのは俺じゃない。やれ、【
「り」
突如、そいつがいた窓の上の窓から誰かが飛んできた。
その影は、奏音に似ていて…!
「柚音!?」
「チッ」
渚は『演る』ことを止めて、舌打ちをした。めんどくさい!
「久しぶり!クソ姉貴!早速だけど、死んでもらうよ‼︎」
彼女の叫び声が木霊した。
彼女は、ピアスを揺らした。
*
「んで、お前誰だよ」
学校内一階を探索していると、そいつを見つけ、声をかけていた。
「そうだなぁ、留流お姉ちゃんの弟ってとこかな」
「そうかい。だとして、なんで君がこの高校にいるんだ?」
「様子を見にきたんだ」
「…お前の姉は今日休みだぞ」
「……」
「……」
二人の間には沈黙だけがある。
「…休み…そうか…」
「あぁ、そうだ。留流は今日休みだぞ」
「……そうだな…」
「なぁ、まだ理由を探してんのか?」
「うん?」
「もういいだろう?お前は異物だ。処理させてもらう。」
「……そうか…」
俺は戦う姿勢を取る。もちろん、敵も…
「すいませんでしたーーーー!!!!」
戦う姿勢を取るとは限らなかった。
「本当すみません!俺はまだ死にたくないです!!殺さないでください!!」
「は?」
「戦うのはもう嫌なんです!」
「…替わるか」
と、朧げな意識を回復しながら、状況を確認するが、目の前に命乞いをする敵がいるくらいしかわからない。
「……じゃ、お前らの仲間と配置は??」
「仲間は…」
彼は一瞬息を飲んだが、それを一気に吐き出す様に声を発し出した。
「柚音、四ツ谷、黒川…」
「黒川??」
その言葉を発した後、外から声が聞こえてきた。
「久しぶり!クソ姉貴!早速だけど、死んでもらうよ‼︎」
と柚音の声。
「そして、もう一人…!」
『喋るな』
その時。黒川一錠の声が上の階から、いや階段から聞こえてきた。
「すみませんねぇ、この子はちょっとおしゃべりなもんで」
「テメェ、あの時からどこいってやがった??」
「おぉ、怖い。特に何も。いいじゃないか、僕と君の仲だろう??」
「お前が人間性を枯渇してんのは重々承知だよ。だからって、人に罪全部なすりつけて逃げるのは卑怯というより、ゴミだぞ」
「お前もだろ、葵。せいぜい、周りの人間だけ救ってろ」
「行くぞ、【ビショップ】」
そう言われて、そいつは動き出した。
「あ、そうだ、札貸して。」
「…?はい」
そいつは【印】を組んだ。
「葵、15歳、誕生日おめでとう。プレゼントは『
『来い』
その瞬間、『そいつら』が出てきた。
「君の人生のエンドロールだよ!!」
そういって、やつは消えた。
「あー??お前、あの時の坊主か。」
「命宮さん、こいつが【天性】の」
「いや、そいつの周りにいるめんどくさいやつだ」
「じゃ、排除対象ってことで」
敵は三人。
「めんどくさ…」
替わった。
「なんで、こいつはこんなにスムーズに俺に変われるんだよ…ま、いいか」
「一人でごちゃごちゃ言ってんじゃねえぞ!」
【課呪】は命宮という男で間違い無いだろう。だがまぁ、他の二人なんなのかわからないが。
『刹那』、無口な方がいきなり物を飛ばしてきた。
「おいおい、いきなり投げてくるとはどんな教育を受けてんだ」
いきなり後ろからおされる。でも押すと言うより、触ったような感覚で…
『はち…』
彼女はそう、小さな子供みたいに声を上げた。
「ほう?謎解きは苦手なんだがなぁ」
『縛り解禁』
『被傷は月詠紅河に全て移る』
は?
あいつ今なんて言った!?
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