#18 仮面を剥げば
今。
僕の頭の中は、謎というものでいっぱいだったのだ。
この前から戦いを強いられたり、与能力を何も伝えられずにもらったり。
組織もそうだ。都会には組織という名を被った暗躍しているものがたくさんだ。今回もそうなのだろうか。
今もそうだ。警報が鳴って、視界が暗転して。
うるさいし、目は使い物にならないし。
……見えない?窓くらいこの建物にあったよな?そうだ。天井を貫くくらい大きなものがあるんだ。
停電程度で説明できるほどの暗さじゃない!
暗闇だ、こんなの!
でも、僕はこれを体験済みだ。
だとしてもどうすればいいのか知らないが。
【界】が発動しているんだろう。冠葉神社の時と同じ。何かがトリガーとして、僕の視界を封じている…
いや、待てよ僕だけか?犯行現場を見られたくないんだから、僕以外の全員に【界】を発動しているはずだ。
そして聴覚は【界】ではなく、警報で封じる。
警報がなってから、僕はそれ以外の音を聞いていない。
この警報も何か仕掛けでもあるのか…?
というか、この状況で動けるのが違和感がある。
パニックで誰かとぶつかってもおかしくないのに。
だとしたら、一人一人を細かく別の場所に分けているのだろうか?
それにも覚えがある。
「臨界…」
わざわざ口に出す理由はないのに、口にした瞬間。
僕の視界は、だんだんと明順応をし始めた。
「え、え?」
なぜか脱出ができたのだ。
そして、自分が今どこにいるのかを理解した。
入り口前のホールだ。他の人たちは見えない。というか、まだ、【界】にかけられた確証はない。
いや、謎解きは後だ。今はとりあえず、さっきの場所に戻らなきゃ。
逡巡を終え、入り口を開けようとしたら。
「ダメです」
と。
謎の女に阻止された。
「誰だよ、お前」
「…いま、中では殺戮の準備が始まってる。今入ったら、死ぬぞ」
「……」
「そうだ。そうして大人しく…」
【瞬】速で入らせてもらう。
「え?」
*
「四ツ谷さんダメでしょー、素手で破壊するなんてさー」
「…別にいーでしょーに」
「『封魔・視界』…これでよし」
「やっと補助もできるようになったじゃないか、【裏切り者】」
「ふふーん、そうでしょ。あとはあの人がちゃんとやってくれるはずだけどなー」
「ま、やってくれるでしょ。それじゃ、ほら、ランプ」
「お、優しい」
そう言いながら、私はもらったランプを擦った。
『……誰だ?我の午睡を害する者は…』
「あなた様が、ランプの魔人でしょうか?」
『…あぁ、そだよー。ランプの魔人、【フィラーオネ】だよ。』
「【フィラーオネ】…?」
いきなりキャラ崩れすぎだろ。
『あ、先に言っとくと、叶える願いは一人一個ね。今擦ったのはどっち?』
「僕だ。」
『そうかい、では。』
その魔人は一度目を閉じ、開眼した。
『我の名をフィラーオネ。汝の願い聞き入れよう。汝の願いは』
「…僕に能力をくれ!」
『よろしい。』
そういうと、僕の体に、力がみなぎってくる。
『君には…』
「おらぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
*
警報にかき消されないように、できるだけ大きな声で、叫びながら、そこへ向かったのだが。
「え?……なん…で…」
そこにいたのは、さっきの、四ツ谷翼と。
【比嘉原霞】だった。
あっちは何かを話しているようだが、全くわからない。
くそ、なんでだよ。
霞が僕を指さしている。
……何をする気なんだろうか。
「やめろ!」
そう叫んだ瞬間。
窓…というか、壁ごと破壊されて、一人の男がこの部屋に侵入してきた。
何が起こっているんだ……?
理解が追いつかない……
*
「どうです?使い心地は」
「微妙かな。ま、対象がたくさんいるのってのが原因かもしれないけどさ。」
「ま、それで相手の聴覚を破壊できるならいいですよ。」
「なぁ、あんた。こんなことしていいのかよ?」
「当たり前でしょう?僕は僕の楽しそうと思った道をいくだけですし。」
「そうかよ」
そう言って、脱いだ白衣を落とした。もう、いらないからな。
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