#09 能力の源
4月24日。毎週木曜日というのが、あの時間である。
あのF班の話し合いの時間である。
班員は全部で6人。
僕、橘花葵。
頭のおかしい恋人、八咫蔵紗凪。
もう一人の男、海藤宮斗。
女装子若しくは男の娘、小河原悠。
お嬢様、神崎四葉。
そして、リーダー的存在、一条留流。
…最後の班だからって、なんでも詰め込んだな、担任。
「それで…、研究活動する内容を考えてきましたか?」
留流が言っても、誰も答えない。
留流はため息を吐き、一つの紙を机に置いた。
「消極的な人たちには、あまりエネルギーを使わない方法で。 この紙に書いてあるどれかを研究内容にしましょう。」
と、彼女は、全く働かない僕たちを見ながら、待っている。
紙には、さまざまなことが書いてあったが、僕はたった一つ、気になったことがあった。
【能力の元素生物】
「ねぇ、これって…」
「…あ、あぁこれはね…」
と、他の人たちが言っている時
「…わからないんですの??」
と、神崎さんが言い出した。
他の人たちは顔を縦に振る。
「はぁ…これだから田舎者は…」
と彼女はため息をついた。
…こいつらは気が合うのか?
「いいですか?能力というのが…」
と、この前海斗さんに説明されたことを説明された。
と、いうかこの街、【千秋楽】には能力者が普通にいるが、他の場所に行けば、能力者がいるのが珍しくなるのだ。
それほど、田舎者が能力について理解が乏しいのかがわかる。
この神崎、一条が知っているのは、【千秋街】では有名な家の性名だからだ。
「ということなんです!わかりましたか?庶民たち!?」
「ねぇねぇ、とめちゃん。こんなに熱心に語ってくれたこの【テーマ】にしなーい?」
「…そうね。そうしますか」
ということで、【能力の元素生物】がテーマに決まった。
一条さんが先生に提出に行っている時…。
「そういえば、八咫蔵さんって、あの八咫蔵さんなの?」
「…え?あのって…?」
「研究者だよ、八咫蔵三波さん」
「あぁ、お父さんのことね。」
「あぁ、あってるんだ!じゃぁさ、放課後、八咫蔵さんの家に行って、お父さんに話を聞こうよ!」
「え?」
「研究してるのはこの【千秋街】なんでしょう?だったら、能力の元素生物についてもしっているでしょ!」
「え、え?」
紗凪が困惑している中。
「うん、いいと思うよ。」
よし。適当に相槌打っておけばいいだろ。
こうして適当にしていると強引に事が進むことがある。
そんな感じで適当にしていると、今日の放課後、みんなで八咫蔵さんの家に行くという話になっていた。
ちなみに当の本人は終始困惑顔だった。
正直、『ザマァ』と思った。
*
放課後、そんな困惑顔の紗凪と二人きりになっていた。
「あ、恐ろしいヤバ女じゃん」
「何それ」
「あだ名」
「じゃ、葵はそいつからのプロポーズを受けたことになる」
「ま、いいよ。本題だけ」
「あ、逃げた」
僕は指輪を外して、それを見せた。
「これ、なに?」
「うちのお姉ちゃんが持ってきた護身用の与能力」
「……護身用……ねぇ。」
「そう。お姉ちゃんの知り合いが、葵のことを見つけたから、多分そのうち組織の誘いが来るよ」
「…じゃなんでこれ僕に渡したのさ。しかもあんな風にして」
「昔のことしか覚えてなかったから…これが一番なのかと思ってた……」
「別れたのに!?」
「そう。あのあと、周りの人たちから色々言われて、接し方を間違えたと気づいた」
「じゃ、これからは普通の接し方で…」
「いやぁ?紗凪ちゃんはこれからもあおちゃんのストーカーでいるよ?」
「やめてくれ……魂が冷える」
「肝っ玉よりも冷える玉があるんだねぇ」
そんな過去のトラウマと和解しながら彼女の家へと向かっていった。
……いや、和解と言うのか?これ。
普通に何考えてんのかわかんないんですけど……
*
午後6時半。八咫蔵家の玄関に集まった高校生6人は、八咫蔵家の大黒柱、八咫蔵三波に対面していた。
……これが、事件につながるとは知らずに。
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