#22 襲うのは

「「え?」」

 そんな二つの浮き出た疑問符に答えるように、霞は続ける。


「僕は……四ツ谷先輩と、渚先輩に復讐することに同意していました。そうして、【三人】で、彼らを襲った。」

「……どうして??あなたはそんな素振り…」

「違うんですよ。僕の目的にもしっかり向き合ってくれたから……一緒に行動したんです……」


 彼女は顔を顰める。その顔は憎んでいるのか、恨んでいるのか。


『地獄行きだ』


 そんな声は、隣の四ツあいつから聞こえたんだ。


「…なのに、また、裏切られた」

「…しかも、何かの組織に襲われた」

「そう。…しかも七人もいた。そんなに大人数で行く意味はない。」


「……もういいかい?私が聞きたかったのは、葵がなんで行ったかなんだよ??」

「そうだよ、葵。なんで行ったのさ」


 そんなことを紗凪からも聞かれている。キラキラさせたその瞳は純粋な瞳だ。

 ……だから、嫌だったんだよな。


「あの、場所に魔法のランプがあったんです。それで、願いを叶えられるって言ってたから。……紗凪を助けたかったからなんです」


 先生は、肩を荷を下ろされたかのように、息を吐いた。


「……そうか。」


 先生は、窓辺から手を離して、胸ポケットにあった眼鏡をかけた。

 先生の象徴とも言える、丸メガネだ。


「よかったな」


 そう言って、先生は病室から出ていった。


「……よかったな?って何?」

「わからん」


 そう、霞と結論づけ、紗凪と向き合う……が。


 その紗凪は涙を流していた。


「え!?どうした!?」

「……どうもしてないよ…ただ、今は……」


 と、抱きつかれた。彼女は、僕の胸元で、啜り泣いている。

 顔は見えない。


 霞は、少し、頬を膨らませながら、睨んでいる。いや、どうすれば両方の機嫌を取れるのだろうか。

 そうしてからどれくらい経っただろう。


外は煌々とした暁から闇夜に変わっていた。

「……助けようとしてくれてありがとう、きっとその想いで私は奇跡的に還ってきたんだよ。ありがとう」

「……あぁ、どういたしまして」

「うん、いつか、あなたのためならこの命を捧げるから……」

「それはいいや、紗凪の命は紗凪が大事にして」

「……うん」



「盗み聞きなんて……そんなことやって楽しいですか?」

「…あぁ、監視さ。ちゃんと【って】いるかってさ」

「そうですか、わかりました。では失礼しますね」

「待って」

「……なんでしょう??」

「その力、使いこなしなよ」


「言われなくとも。」

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