夜の霧ーよるのきりー
「あれが、"惨劇の忌み双子"か・・・」
私、
理由を言おう、いや聞くんだ
まぁ誰に言って、語っているかはどうだっていいが、
夜の特性いや、
特質と言ったほうがいs
それは、隠し隠されが通用するからだ。
あらゆる事を、物を、そして
すべてを
今、
はてさてモノなのかは
頼まれ事をされ、
今しがた、多分家に帰るのだろう
少年で小僧で
この私、
いや違う、違いすぎる
まぁ抱えられているあの反物も
中々に一般には過ぎた
なんせ
むやみに手を出すことも無いだろう。
それより目的はあの小僧、
詳しく話すと”羽織を取り上げろ”
との依頼だ。
わたしは人殺しや辻斬りの
そんな野蛮な事はしないし、受けない。
最低の動きで最良の結果を生む。
にしてもあの小僧、
歩き方や身のこなし、は
普通以下と言っていい
警戒も
だが一つ引っかっかる
あの言葉
「姉の方には気をつけなさいね。」
まぁ周りも確認はした。
姉らしき
隠れている、隠されているモノは
そこかしこに
気にしないが吉だ
そんな思い、思惑を心の奥に伏して
ゆっくりと距離を詰める
その姿はまるで獲物を狙う
○
後ろから
この
その影が
「その腕、片方私におくれよ」
不気味に響く低い声が
反物を包む、右腕の
肘から先を切り飛ばした。
攝の右腕からまるで
夜の黒が混ざる
止め
斬られただけなら
だが、その小太刀は攝の、か細い右腕を
無惨にして
斬り落したのだから広く開いた斬り口
からはまるで湧き水のように血が落ちた
○
もう外は暗い
”早々に帰らなくてはいけませんね”
そう自分を包む闇夜の中で
つぶやいて
後ろから足音に混ざり声が聞こえた。
「その腕、片方私におくれよ」
その瞬間、右腕の重さが一気になくなり
体制を崩しかける。
あれ、反物を落としたのだろうかと
目線を下に向けた時
黒い世界に混ざりよく見えないのだけれど
流れる液体に体が
その液体は温かい、いやむしろ熱い
すると少しして激しい痛みと
焼けるような熱さが右腕を通して
体、頭、全体を襲う
そう、僕は右腕を斬られたのだ
と頭が理解したと同時
嫌な噂が頭と意識を駆け巡る
”気をつけなさい”
「一派の職人自体を狙った
その言葉が恐怖となって
心を支配していくのがわかる。
「
暗い!
溢れんばかりの負の感情に僕の身は沈む
その沈み
最後に無意識に言葉を紡ぐ。
「助けてよ……姉さん」
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