鶏鳴ーけいめいー

 渦切現意見番。累火の一人語りはなお続く。収まる事を、収める事をせず、巡るだけ巡る。駆け巡る。



だとすればじゃ、どこまで?どの領域まで長けておる。同時に持っておける、嫌。奪って置ける能力の総数に際限はあるのか?

 特異を奪われた羽織はどうなる?

 

幸い、攝の依代になったのは、ワシがこの手で破り取り、蓮芭牢れんばろうに捨て置いたソハヤ上部のはずじゃが。それに、各渦羽織との相対になった場合、奪われた羽織から能力は完全に消え入るのじゃろうか。


 まぁ、何にせよ、不確定要素と不安要因が多すぎるあの特異で異例な片割れに関しての疑問と疑心は持っていて悪くは働くまい。


 どう動くかも気になるところじゃが、現当主丹波も居らず、地動は消息不明。


「軽々にとは、いかないじゃろうが。早々に座を埋める者を据え置かねばいけんのじゃけ。」


 そう呟いて、老婆は薄闇広がる大広間の中央でその黒目にゆっくりと瞼を被す…。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る