堕楽ーだらくー
煽るように切り返すのは攝累。
「今の今まで、影に潜んで、黒渦が写す過去の中にのみ出てきたあんたが最も嫌う、忌み双子の前に現れるとはどういう
「カッカッカッカ。了見の狭い主では理解に苦しむじゃろうてやめておけ。片割れよ。頭目の血と情で生き繋げられた命なんじゃけぇの。」
「勘違いをするんじゃないぜ。御意見番。否、
ピクリと片眉を上げ、黒目のみの
「おいおい、図星のようだぜ。強い、お強いお姉ちゃんに隠し事は出来ねぇぜ。」
次に攝累が聞いたのは、背後から耳元に
「実力差もわかっていないようじゃけ。片割れよ。それに…。」
背筋を切っ先でなぞられたような悪寒が走り、冷や汗が出る攝累。その顔にはさっきの余裕な表情は消えていた。
「前にも言うたが、ソハヤは返してもらうけぇの…。」
ー
不気味な囁きが夜に響いたその時。
羽織っていた騒速渦羽織が攝累の肩から、ひとりでに滑り落ちた。
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