三文ーさんもんー

 『知れよ。痴れ者が。』ー『黒渦は地に埋まる』ー『頭目、上座下。』ー。


 色々と思惑とそれらが繋がるであろう因果を巡らせてはきた私だけれど、意図は汲み取れるが意思と意向がわからない。


 「もしもで、もしかしたらの話なんだが、意趣返しって事も無くはない……いや無いな。」


 とりあえず、察してほしいのは多分こうだ。

 地に埋まる。これは多分地下のことだ。頭目の上座、いわゆる神が居座る場所としての神座だ。親父殿の部屋にある羽織を来てふんぞり返る双璧神の掛け軸。あれの下になにかあるんだろう。先刻から親父殿は家を開けて此処数日帰っても来ない。なぁにやってんだか。


 「これも狙ってるんならよほどの付け回しで付きまといだな。」


 よーっと、お邪魔するぜ親父殿。相も変わらず、愛も廃れず昔から置いてあるな……。親父が母にくれた桜色の羽織。そして手前に桜餅と桜羊羹か…。



 「おーお、あったぜ。掛け軸。多分これで下に格好のいい地下道がでてくるはずなんだけど…。よっしゃ、解錠だぜ。」


 ◯

 解かれた鍵と開く扉。攝累が一度足を地に埋める。其の瞬刻、続く階段から順に火が灯り、奥に広がる部屋を照らし出した。


 あるのは何か、映すわ歴史か。否、闇である。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る