馬酔木ーあせびー
突如にしていきなり、さも成り行きのように聞いたこともない名称で再開したこの物語なのだけれどひとまず脳死で、焦らず必死に読み勧めてほしい。
まずはいつも通り、語りを担当する語り部の僕の自己の紹介と自我の開示をしておこう。
渦切一派の下っ端である
さて蔵書を引き抜きながら、愚痴を垂れ流していたら後ろから声をかけられた。
しっかりとした口調と声高な声質に呼ばれ、振り向いた先に立っていたこの女性は馬酔木(あせび)さん。
渦切の分家の人だが、この人もちゃんとしっかり羽織職人だ。
羽織職人として語るなら僕の姉弟子、いやどちらかというと世話役兼お目付け役といった関係性のほうが合っている。今日は。
名前の通り。
扱う模様は
それを扱うに必要な知識と知見、技量と器量を手にすることの出来るのが、この人の纏っている馬酔木渦羽織だ。
「今回のお付きはこの馬酔木がご一緒させていただきます。攝様。」
「様付けなんて、やめてください。馬酔木さん。ただ分家と宗家というだけで……。」
「ですがその血の強さが、その
なら貴方は生真面目だ。
まぁ付き人が付いてくれるのは心強い。今、ソハヤは使えないから。
準備を整え門扉を開ける。向かう先は下町の端。丘の上にある
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「今回のお付きはこの馬酔木がご一緒させていただきます。攝様。」
その女性、美しくも毒々しい花の名前を持つ分家の羽織職人。
「様なんて・・・たかが宗家と分家というだけで・・」見える
「その血の強さが、その知(ち)の値(あたい)が重要なのですよ。」
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