雌雄ーしゆうー
貫かれた両手に空いた風穴からは
痛みに打ちひしがれ呼吸が上がる中でも馬酔木の思考は止まらない。止める訳にはいかない。
考える時間と距離を、相手方はくれるはずもなく通常の倍はあろう釘抜きを、なお振り上げ追随のような追撃をしようと走り迫る。
二股の爪が頭を捉えようと襲いかかる
馬酔木の荒い呼吸が収まり、息を荒げ襲いくる襲撃者の
打ち下ろされた釘抜きの2つの針が貫いたのは
その上には空を舞う蝶のように、羽織を広げ頭上で身を
顔の位置、瞳孔の開き、呼吸の仕方。
その表情を
まるで舞踊を舞うように羽織を
冷徹に、そして冷静に背後に顔を向けた馬酔木の眼に写ったのは。
息を荒げ、
その落ち姿を見て馬酔木が言葉を投げる。
「雌雄の決着です。今回はどちらとも女性同士ですがね…。女将さん。」
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