悪戯ーいたずらー
さてさて、今回とて今作も語りはあたし。この可愛くて
「快刀、乱麻を断つ」とはあたしのために作られたと言っても過言じゃない。
そう、
今しがた、あの盗賊との立ち合いとして
このあたしが家までひとっ飛びで帰っている道中ってわけだ。
っと、そんな事を言いながら、いや思いながら風を纏い、風を切って
走り始めてそろそろだ。家の門が見えてきた。
おお、珍しい。親父殿が門前で光る灯籠に照らされて、
滅多に見せない憂い顔を貼り付けているじゃないか。
なんせ家を出てから半刻で帰ってこられるであろう用事と距離だったのだろうけれど、
この時刻まで帰らない攝を心配しての行動なのだろう。
あたしらの親父殿はあれで優しいからなぁ。そして、意外に……ビビりだ……。
さてソハヤもある。縮地で後ろに回り込もうか。
久方ぶりに咽喉を使っての会話だ。楽しみだね……。声も低くしようか。
きっと覚えていなくて最高で
「のろしてやる……のろして……やる……」
おお、父の心臓が背姿を伝って、まるで地に出た魚のように痙攣したじゃないか!
やっぱり心躍るね!最高だ。
「ん゙っ!」
頼もしい声が偉く震えてるじゃないか親父殿!
おお、勢いよくこちらに振り返り向ける顔には冷や汗が伝っている。
久方ぶりに会うと思えば出方がこれか!お前の悪戯は質が悪いのだ!
そう言う親父殿の顔は懐かしさと嬉しさと驚きが混ざるなんとも言えない顔を浮かべ、薄っすらと心配の色が覗いてるね。
まぁ悪戯はこの辺にしよう。よし伝え事だ。あの盗人について……。
「久々で早々な伝え事だ……親父殿……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます