Closed Circle

とある王様の物語Ⅲ


「そういうの、よくないよ!」

「は?何だお前?」

「そ、そんなの、よくない」

「し・つ・も・ん・に、答えろよ。」

「ぼ、ぼ僕の名前は——」

「んなこと知ってんだよ!何のつもりで俺の邪魔をするか聞いてんだよ!」

「やっちちちちゃ、ダメな、ことだよ?」

「どこがだ?負けた奴が勝った奴に権利を譲渡する。普通のことじゃねえか」

「結果を出したら、それが正解だ!それもできねえヤツが、口挟む資格ねえだろ!?」

「ナオ、こいつきっとナメてるぜ?」

「そ、そ、その人、嫌がってるじゃ、ないか」

「あーはいはい、あれだ。趣旨分かってない奴だ」

「嫌がってるからやってんだろ?喜んでたらオモロくねーだろーが!」

「頭使え、あーたーまー!」

「やめてよ!」

「じゃあ、何か?お前が代わるか?」

「オレ達は退屈なの!そして日頃から色々と我慢して溜め込んでるの!」

「お前ら脳天気が羨ましいなあ!これが数少ない息抜きだったのに奪うのかあ!」

「誰かさんのせいでイライラが止まらないなー!あーあ!」

「誰彼構わず当たり散らすかもなー!」

「お前のせいでみーんながメーワクするんだろうなあ!」

「分かった」

「身の程を知ったようで何より。ほら失せろよ」

「だから、分かった」

「あん?日本語通じないんでちゅかあ?」

「僕が代わるよ」

「………何だって?」


 少年はその時だけ、


 まるで英雄のように決然としていました。



「僕が、やるよ」



——その人も、

——君達も、

——クラスのみんなも、



「助けるから」



 王様はその時、


 「こいつ頭おかしいのか?」、


 本心からそう考えました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る