【アワビみたいなアレを味わう】

午前の授業が終わり昼休みの音楽室...。

何故か沢田まで増え4人での食事となる。


流石に沢田がいるからか、前みたいなイチャイチャムードではない...というか俺の能力が封印されてるからか。


莉紗ちゃんの腕は確かだ、このサングラス...隙間がなく窮屈かなと思っていたが見事にフィットしている。


しかし...綾ねえの視線が痛い。


「てかまた凄い弁当、監視員さん半端なくない?」

「うわ...こんな貝見たことない、アワビみたい?」


すると沢田がその疑問にあっさりと答える。


「いや、それはトコブシだな。」

「なんそれ?」

「貝だな。」


いやそれはみんなわかってるって...。

沢田は凄いのかアホなのかよくわからん......。


「天ぷら...数の子......凄い高級弁当。」


南茂さんが俺の弁当をまじまじと見る。

確かにやりすぎ感はあるけど、綾ねえ曰く本気の愛妻弁当らしい...妻じゃないけど。


「これ、本当に監視員さんの手作り弁当なのよね?」

「うん。」

「やっぱり監視員って凄すぎ...何でもできるって言うけどマジなんだね。」


そう...綾ねえは何でも簡単にできる。

というより監視員になる人間は普通の人からしたら天才ばかりで、学校のテストで100点なんて朝飯前...スポーツをやらせたら甲子園のエースやインターハイ出場は当たり前。


そんな人間が更に特殊な訓練を受けてるんだから、何をやらせても一般人では歯が立たない。


「でも金丸君も凄いよね、特能者なんだから。」

「そう!マジ凄い!」


2人は悪気があって言ってる訳じゃないのはわかる。

でも特能者には特能者の悩みがある...。


「そうでもないよ...。」


俺はトコブシの切り目を箸で開いたり閉じたりしながら、2人の反応を伺う。


「能力はやっぱり秘密なの?」

「うん...。」


俺はトコブシを一口食べる...美味い。


「沢田っちも知らないの?」

「いや?知ってるぞ。」

「ええー!?ウチらにはなんで秘密なん?」


そりゃ女の子だし...。

言ったら引かれるかもしれないからな。


「悪いけど、女の子には言えないんだ。」

「なにそれ!男女差別じゃん!?」

「愛梨沙ちゃん...仕方ないよ、金丸君にだって色々あるんだから。」


そう、色々とね。


「ハッ...もしかしてエッチな能力?」

「む、感がいいな。」

「ちげーよ!?」


沢田お前ふざけんな、何が感がいいなだよ...確かに捉えようによってはそっち系の能力かもしれないけど。


「ええっ!?...そ、そうなんだ。」

「南茂さん違うから!」

「そっか...でも金っちならいいよ...。」

「いや違うから!」


いいって何!?

あああわからん!!

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