【女の子に強制○○されついでに沢田】

そして俺達は再び所長の元へ向かう。

所長室では莉紗ちゃんと所長がお菓子を食べながら話をしていた。


「また来たのか...どうした?」

「所長に......お願いがあります!」


......。

その願いへの返答は無かった、しかし返答がないというのは拒否された訳ではない。


俺はそう信じている。

そして...転校前日......。


「今までありがとうございました......。」


俺はクラスメイトの前で別れを告げる、全員が急な転校に困惑する中...俺はあの2人を見る。


南茂さんと岸本さんだ。


結局...あの時関係を断ち切って良かったのだろう、岸本さんは俺が挨拶を終えた後も席に着くまでの間こちらに視線を送り続けていた。


まるで転校するから断った...と思われても仕方ない状況だ、実際は違うけど。


まあ......その方が2人も納得できるかな。

......。


そして昼休み...。

午前の授業が終わった瞬間、岸本さんに腕を引っ張られる。


「納得できない!」

「え...。」

「ちゃんと話して、話すまで離さないからっ!」


えぇ......。


「ほら空ちゃんも行くよ!」

「あ、うん。」

「沢田っちも!」


すると沢田が真顔で俺を見る。


「俺いらないよな。」

「居てくれた方が助かるかも...。」

「よしわかった行こう。」


結局、俺達はまた音楽室に入る事になった。

かれこれ4回目...そろそろ怒られるんじゃねーの。


「転校って何、聞いてない!」

「いや...色々あって。」

「その色々が知りたいんじゃん、教えて早く。」


困ったなあ...。


「沢田っち知ってたの?」

「まあな。」


いや知らねーだろお前!


「昨日知った。」

「ん?」

「ま、俺の姉貴は監視員だからな。」

「......はあ!?」


俺は綾ねえの顔を見る。

すると綾ねえは可愛くウイングして見せた。


本当って事か......。


「えっ!?沢田っちマジ?」

「おう...何か姉貴から職場にお前が転校してくるって連絡があってな...マブだからってよろしくお願いしといたぜ。」

「沢田お前......。」


沢田が親指を立てキメ顔を作る。

お前、ほんとただの良い奴じゃねーか。


「てか沢田の姉さんて、白川大付属で働いてんの?」

「おう!...あこれ秘密だったわ、お前ら黙っててくれよ。」

「隠す気ねーだろお前......。」

「って違うし!何で転校するか聞きたいの!?」


岸本さんが再び話を戻す。


「言えないんだよね...ほんと。」

「沢田は知ってんの?」

「知らん。」

「む......じゃあ一つだけ聞かせてよ。」

「う、うん。」

「転校するからウチらと離れたの?」


......。

嘘...付きたくないな。


短い間だっだけど...楽しかった。

だから嘘は付きたくない、でも本当の事は伝えられない......。


「はぁ...私が説明するから。」


綾ねえはそう言うと、少し離れた位置かは会話を続けた。


「金丸君に妹がいるのは2人とも知ってる?」

「いえ、初めて聞きました。」

「私が担当する事になってから、金丸君は家族と離れて私と2人で過ごすようになった...けど定期的に妹には会いに行ってたの、白川まで往復2時間以上かけてね。」


確かに...そうだけど。


「両親は仕事で県外に行く事も多いし、まだ10歳の妹ちゃんが可哀想だから...近くに住む事になったの。」

「......そうだったんだ。」


助け舟...だけど。

2人を騙してるみたいで嫌だな、妹の件は嘘じゃないけど......。


まあでも、暗殺されかけたから...なんて言えないよな。

ありがとう綾ねえ。

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