【2つの間に挟まれてみる?】

そう......。

俺が生まれた日...両親は絶望した......。

検査機関の結果はBランク、それを見た両親は深く悲しんだ...。


「Bランク...ですか...。」

「はい......能力名は魔眼、大変危険な能力です。」

「魔眼...ですか。」

「申し訳ありませんが...再検査が終わるまで会わせる事はできません...ご理解お願いします。」

「そんな......。」


......。


夢か...嫌な夢だな......。


「現実でーす!」

「ふぁぶ!?」


俺は目を覚ました瞬間、綾ねえの胸に押しつぶされていた。


「んっ...んっ!!!」

「あらー?苦しいのかなぁ、はいむぎゅ〜!」

「んー!!!......ぶはっ!?」


マジで窒息死するかと思った...。


「おはよ。」

「すぅー......はぁー......。」


俺は綾ねえを睨んだ。

その内心は...嬉しさ半分苦しさ半分だ。


その後...朝食を食べた俺達は学校へ向かう。

教室に入るとさっそく南茂さんと岸本さんに話しかけられた、席は3人とも近くのため窓際に座っている俺の机に集まる形となった。


「よっ!」

「おはよう。」


岸本さんが笑顔で手を立てて挨拶をすると、南茂さんがそれに合わせて挨拶をする。


「ああ、おはよ...どうしたの?」

「今日はお昼うちらと一緒しよ、な?」

「え?」

「良かったらどうですか?」


俺は綾ねえの顔をチラッと見る、すると綾ねえは笑顔でコクリと頷いた。


「うん...OK、2人は弁当だよね?」

「もち!」

「うん!」

「じゃあ...音楽室で。」


2人は自分の席に座ると会話を続けた。

俺は綾ねえの顔をもう一度見る、すると綾ねえはじっと2人の方を瞬きひとつせずに見ていた。


まるで敵でも見るかのように......。


4限が終わり昼休憩の時間になると、いつも通り沢田さわだが声をかけてきた。


「飯飯。」

「ごめん、今日は先約があるんだ。」

「あっそうなの、じゃあな。」

「悪い。」


2人が教室を出たのを見て、俺も音楽室へと向かった。

廊下の奥で2人が階段を上がって行くのが一瞬見えた、それを追いかけるように階段を上り音楽室へと入る。


中に入ると2人が合唱用の段差に座っていた。


「金っち早く早く!」


岸本さんが手招きをしている。

俺は入口のドアを閉め2人の横に座ろうとした。


「違う違う、ここ!」


岸本さんは南茂さんと自分の間を指差した。

2人の距離は1メートルもない、その間に座ると確実に身体が触れる事になる。


「金っちはこーこ、嬉しいでしょ。」

「いや流石にそれは...。」

「いいから座る!」


俺は岸本さんに手を引かれ南茂さんの真横に座らせられる、その横に岸本が座ると俺に身体を寄せるように密着する。


「どう?特等席。」

「いや...あの。」


これって、完全に恋人の距離感では?

しかも両側?

俺は今どんな状況?WHY?


「金丸くん、来てくれてありがとう。」

「いやあ...昨日の今日だからちょっと気恥ずかしいけど。」

「あっ、そそうだよね!?」


南茂さんさ身体をビクッとさせた後、両手を唇の付近に持っていき体操座りのように丸くなった。


「金っちさ、本当の所どうなの?」

「え?」

「空ちゃんめちゃ可愛いじゃん、何ですぐOKしなかったの?」


確かに...南茂さんは綾ねえと比較しても遜色ないくらい可愛い、その証拠に男子達は暇さえあれば南茂さんの話ばかりしてるし。


「うーん、あんまり話した事なかったし...今までそういう目で南茂さんを見た事なかったからさ。」

「えー!?こんな美女が隣に座ってて何も思わなかったの?」


岸本さんが俺の太ももを軽く叩きながら顔を詰めてきた、距離感が近い...。


「愛梨沙ちゃん...あの、ご飯食べよ?」

「あは、ごめんね食べよ食べよ。」


そう言うと2人は弁当を開いた。

南茂さんが弁当の蓋(ふた)を取ると、その中は動物の形をした可愛い具材があふれた可愛い弁当だった、それとは対称的に岸本さんの弁当は晩ごはんのあまり物が詰め込まれているように見える。


「うわ、何それちょー可愛いんだけど!」


岸本さんが俺に凭れかかるようにして南茂さんの弁当を覗き込んだ、岸本さんのブロンドの髪から甘い香りがする。


それに......。

今気付いたけど、岸本さんも普通に可愛いじゃん。

あれ?本当に特等席かも...。


「金っちも早く弁当出しなよ。」

「ああ、うん。」


そう言うと俺は弁当を開ける。

中身はいつも通り栄養バランスも見た目も味も完璧の、綾ねえ特性弁当だ。


ちなみに綾ねえの料理はマジで美味い。


「何これ凄...誰が作ってるの!?」

「ああ...藤村さんだよ。」

「監視員ってそんな事までしてくれるのん?」


2人は綾ねえの方を見る。

しかし学校にいる間、綾ねえは基本的に無口である。

確かにそういうイメージはクラスメイトにはないだろう。


「俺の場合一人暮らしだからね、監視員は常に一緒にいるし家事とかは藤村さんに助けて貰ってるんだよ。」

「ふーん...。」


岸本さんは肉じゃがを頬張りながら、綾ねえの方をずっと見ている、変な事考えてないといいけど......。

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