【夜の体力測定もしちゃう?】

目の前の光景に戸惑いながらも、体操服に着替えるために俺は制服を脱ぐ。


すると徳川さんが俺の胸元付近をじっと見ていた。


「あの、あんまり見られると...。」

「金丸君...いい身体してるね、触ってみていい?」

「え...。」


唐突に何を言い出すのか、俺は監視員とずっと一緒の生活をしてたから部活とかやってた訳じゃない。


いい身体って言われても実感がわかないや。


太ってはないと思うけど。


「えいっ...。」

「ちょっ!?」


徳川さんは俺の腕を柔らかい手で掴むと、確かめるように2.3回揉む。


「うん、うんうん。絶対運動神経いいよね...今日の体力測定頑張ろうね!」

「いやぁ......どうかな...。」


正直言って自信はない、少なくとも監視員を目指してる人達のクラスだ。


強いて言えば他の3人の特能者に勝てるかどうかだろう......。


こうして体操服に着替えた俺達はグラウンドに集合した、そして3チームに分かれて測定が始まった。


「能力の使用は禁止、手を抜かず全力でやる事!」

「はーい!」


俺は徳川さんとペアになり、まず握力測定から始めた。


そして全力で握力計を握る。

結果は...。


「48kg...結構強いね、でも無駄な力が入りすぎだから......目を閉じてみて...それからゆっくり息を吸ってみて...はい、吐いてー。」


俺は言われた通りに呼吸を行う。


「吸って...吐いて...続けて!」

「すぅ...はぁ。」

「息はね、ふーって吐くの。」

「すぅ...ふぅー。」


続けるうちに呼吸が安定してきた。

身体の意識が右手に集中するのがわかる。


「じゃあ吐くタイミングで思いっきり息を吐きながら握ってみて、いくよー...3...2...1...0!」

「ふっ!!」


さっきより力が入るのがわかる、そして握力計の数字もしっかりと伸びていた。


「ほら53kg!...高校生の平均は42kgくらいだから金丸君凄いよ!」

「凄い、5kgも伸びた...。」

「意識や呼吸...姿勢を変えるだけで、結果は全然変わってくるの。」


確かに凄い...でもそれを教えれる徳川さんはもっと凄い...。


「じゃあ次は私の番だね......すぅ...はぁあ!

!!」


徳川さんがいきなり大きな声をあげたので、ちょっとビックリしてしまった。


しかし握力計の数値を見て俺は驚愕する事となる。


「見て、いくつだった?」


自分では確認せず、俺に結果が見えるように顔の前に握力計を移動させる。


そこで目に入った数字は......。


「え...120......。」

「あら、120かあ...もっと頑張らないとなあ。」


......女の子だよね?

しかも腕とかも俺より細いし、何なの?


「せっかくだから藤村さんにアドバイスを貰いたいです!」

「......いいでしょう。」


綾ねえが握力計を徳川さんから受け取る。


「この握力計はいくつまで測れるの?」

「えっと、500kgまで測れるみたいです。」

「500kgねえ...。」


そう言うと綾ねえは俺達の目の前に握力計を出すと、ジワジワと数字を上げていく。


「凄い......。」


徳川さんが唇に手を当て、表示された数字を目を見開いて見ている。


「499kg...はい、これ以上は測定できないから。」


そう言って綾ねえは徳川さんに握力計を渡す。

俺は...衝撃の事実を知ってしまった。


綾ねえは人間じゃないという事実を。

ゴリラって握力いくつだっけ......。

※約400kg〜500kgです

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