【in ホテルLOVEリゾート】

「えっと...金丸くんよね。」

「あ、はい。」

「今回は単独犯だから私が護衛するね、それにしても藤村さんは凄いなぁ......タイミングばっちり。」


タイミング?

というか...香水かな?


甘い香りがする...。

それに綺麗な髪、長さも整っててサラサラだ。


「あの人は私と同期なの、同じ養成所で訓練を受けたのよ。」

「そうなんですか?」

「うん、同期の中でも飛び抜けて優秀だったよ。」


監視員ってだけでも凄いのに...その中でも飛び抜けてる?

綾ねえ凄いな......。


「移動しよっか、同じ場所に留まるのは危険だし。」

「あ、はい。」


俺は荒川さんと一緒に街の方へと歩く。

不安を解消するためか、荒川さんは積極的に声をかけてくれた。


「どう?藤村さんとの生活は。」

「はい...楽しいです。」

「藤村さん美人よねー、カッコいいし!」

「はい...でも荒川さんも凄く美人だと思います。」

「あら、ありがとう。」


大人のお姉さんって感じだ。

対応も凄く親切だし、監視員になる人はその辺もしっかりしてるんだな。


「どこか個室に入ろっか...。」


商店街の外れ、荒川さんがスマホで地図を開く。

そして何かを見た後に角を右へ曲がりまっすぐ進む。


「この辺なんだけど...あった。」


荒川さんが指差した先...それは。

まさかの...。


ホテルLOVEリゾート......。


ラブホじゃん!?


「じゃあ入ろっか。」

「えいやここ......。」

「恥ずかしい?」

「ちょっと...。」


荒川さんがクスっと笑う。


「でもここなら外から見られないし、安全だと思うよ。」

「確かに...。」

「変な事しないから大丈夫よ。」

「は...はい。」


階段を登ると、モニターには沢山の部屋が写されている。


「平日だから結構空いてるね。」

「みたいですね。」


荒川さんは部屋をひと通り見た後、402号室を指差した。


「ここなんてどうかな?...広そうだし。」

「はい。」

「後で藤村さんともう1人も合流すると思うし。」


もう1人?

監視員が3人集まるって事か...なんか凄いな。


荒川さんが402号室のカードキーを機械から抜き取る。

そして俺達は部屋の中に入った。


初めてのラブホ...うわ......。

ベッドが1つしかない、しかも凄い豪華だ。


「ねえねえ、ウェルカムドリンクだって...何頼む?」

「えっと...メロンソーダで。」

「はーい。」


荒川さんが電話機を手に取ると、2人の飲み物を注文する。


「すみません、ウェルカムサービスでメロンソーダとアイスティーをお願いします......はいありがとうございます。」


何もかも初体験...でもここってそーいう場所だよね。


「金丸くん、ほら座ろ。」


荒川さんがベッドに座って横をトントンと叩く。

俺は荒川さんの隣に座った...ベッドが柔らかい。


「なんかドキドキするね。」

「あはは...。」


何このシチュエーション...2人きり。

しかも室内だと余計に良い香りがする。


緊張してきた...。

綾ねえで慣れてたと思ってたけど、また違う。


「ちなみに私の能力は七色薔薇セブンローズ...私の身体から甘い香りが出てるのは、薔薇の香りよ。」

「なるほど、この香りは薔薇なんですね。」


改めて嗅いでみると、凄く落ち着く...。


「私の能力は色によって効果が違うの...例えば白は耐久性が高くて全身に纏えば鎧みたいになるし。赤は鋭利な棘を持ってて武器の代わりになるの。」

「ほえー...カッコいいですね!」

「黒は毒、青は水、黄色は麻痺、緑はツル、ピンクが香り...かな。」


凄い...というか本当にCランクの能力?

監視員は能力を使いこなすのが上手いって事なのかな。


七色薔薇...俺もこういう能力が良かった。

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