【調子に乗る悪い子は調教です】

その後、俺は綾ねえに手を引かれ保健室へ入る。

するといつもの声が正面から聞こえてきた。


「あら、どうしたの?」

「実は......。」


保健の美咲みさき 莉央りお先生、とても優しくて美人、更に美咲先生は男子生徒だけでなく女子からの人気も高い。


俺が事情を話すと、すぐに職員室に電話をかけてくれる。


「谷本先生はいますか?......金丸君、今日はもう授業に参加するのが厳しそうだから監視員の人に家まで送って貰います...はいお願いします。」


莉央先生が電話を切ると、心配そうな声で問いかけてくる。


「能力の事だから仕方ないけど、なるべく早く戻ってきてね......また何かあったら私はここにいるから。」

「はい、ありがとうございます。」


優しい...本当に莉央先生は良い人だ。


そして俺は綾ねえに手を引かれながら自宅へと歩く、時折軽く引っ張って誘導してくれたり...赤信号の前には声をかけてくれた。


普段はあんなだけど、監視員として仕事をする綾ねえは格好良くて俺の憧れだ。


「あんな、は余計でしょ。」

「はは。」


でも、何故能力が発動したんだろう。

サングラスが破れたりした訳じゃないのに。


「漏れたのよ...。」

「漏れた?」

「春くん、もう2年近くそのサングラス変えてないでしょ?」

「ああ...特注だし高いからね。」

「春くんは成長期だから、当然顔のサイズも変わってくる...だから隙間もできてしまう。」


そうなのか...確かに顔の内側に若干スペースはある。

最初はピッタリだったのに。


「でも直接見てないのに何で?」

「それはね...。」

「うん......。」

「あの子達が元々、春くんの事が好きだからよ。」


いやぁ...そう言われても。

うーん......。


「本来は直接視線を合わせなきゃ発動しないけど、最初から好意を持った人間には魔眼から漏れ出した魔力でも反応しちゃうのよ。」

「そっか...ん?......てことは綾ねえも。」

「私は助けただけよ。」

「あれでも...。」

「何か?」


あの背後から抱きついた数秒は何だったんだろう。

それにしても綾ねえの胸...柔らかかったなあ......。


「えっち。」

「仕方ないじゃん...。」

「変態。」

「うっ。」

「浮気者。」

「それは...。」


もはや何を言っても本心がバレてるから意味はない。

初めての告白に舞い上がってた事、あの時キスや甘噛みをされて気持ち良かった事。


全部綾ねえにはバレてる。


俺が綾ねえの身体に毎日興奮したり、その柔らかい胸が大好きだったり。


全部バレてるし。


「こら、変な事ばっかり考えないの!」


怒るのも可愛いし、なんならそれも好き。

綾ねえが大好きなんだな俺は。


「ちょっと春くん、何考えてるの。」


試してみたいこの魔眼の力を!

綾ねえに!


「だめっ!...だっ......あ......。」

「......綾ねえ?」


俺が目を開けると綾ねえは俺の顔を見ていた。

その表情は口がぽかんと開いていて、次の瞬間唾をゴクンと飲み込んだのがわかる。


「春くん...。」

「なに?」

「あのね......。」

「うん。」

「何考えてるの、本気で怒るよ。」

「えっ......。」

「早く目を閉じなさい。」

「はい...。」


あれ...効いてない?

じゃあ音楽室でのあれは?


「帰ったら説教...いや、調教ね。」

「いや、あの......。」

「わかった?」

「......はい。」


調教って...何されるんだろ。

まさか...鞭とか...いや...。


もっと酷い事かもしれない...。

......。

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