【宇沙ちゃんが可愛いのは気のせい?】

午前の授業が終わる、昼休憩に入る...と思っていたがなんとクラス全員が帰り支度を始めたのだ。


あれ?


「あの徳川さん、午後の授業は?」

「この学校の授業は午前しかないよ、午後からはみんな部活に専念するの。」

「そうなんだ。」


今までは特能者だから部活は...いや、部活に限らず人が集まる場所は避けていた。


特に俺の場合は目立つ......。


「あっ、そうだ春くん...部活どうする?」

「いや...俺はやめとくよ。」

「あら......この学校では授業がない代わりに部活は義務よ、必ずどこかの部に入る必要があるの。」


マジっすか...。


「春くんは運動神経いいから、運動部がいいと思うよ。」

「......このクラスにいると全然そんな気がしないけど。」


32人中の28位...確かに男子の中では1番だけど、徳川さんや宇沙ちゃんを見てると凡人だなあ...と思ってしまう。


「私達は幼い頃から特殊な訓練を受けてるから、それに...。」

「ん?」

「いくら肉体を鍛えても...特能者に能力を使われたら私達にはどうしようもないから。」

「......。」


そうか...俺以外の3人もBランク以上の能力者か、確かに俺も能力さえ使えればクラスの女子全員を手篭めにする事はできる。


もしこのサングラスがなければ......。


「まあ...特能者はその能力を制御されてるから、監視員が負ける事はないけれど...今の私達くらいなら...ね。」


確かに...もし俺が綾ねえに対して能力を発動しようとしたら、発動する前に綾ねえに瞬殺されるだろう。


それに他の男子生徒も何らかの形で能力が封じられているから、監視員1人で対応ができるのだろうし...実際この教室の角に座っている男子には片腕が無い。


あれも特能者故の痛みなのだろう。


「っと...それより部活、どうするの?」

「あ......えっと...。」

「ちなみに私はボードゲーム部、頭脳戦や心理戦を鍛えるのにボドゲは相性良いから。」

「ボードゲームか......。」


オセロとか将棋とかかな?


「やってみると面白いよ、でも春くんは運動部の方がいいと思うから......アクション部なんてどうかな?」

「アクション?」

「特撮ヒーローとかの闘うシーンを再現したり、格闘技の動きを真似したりするの。」


格闘技か...確かに興味がない訳じゃないけど。


「部活って言ったら、陸上部とかバスケ部とか...そういうイメージだから実感ないなあ。」

「ちなみにアクション部には宇沙ちゃんがいるよ、ほらー...さっきから貴方を見てるし。」


徳川さんが指差した場所には宇沙ちゃんがちょこんと座っていた。


「うぇるかむのぎゅ!...入って欲しい。」

「随分と気に入られたみたいね。」

「そうみたいですね......とりあえず、見学でもいいかな?」

「うんうん...一緒に行こ。」


宇沙ちゃんに手を引かれ俺は体育館へと向かう、そして廊下を歩いてる途中に時々俺の方を見ては笑顔を見せる。


素直に可愛い...。

でも宇沙ちゃん、アクション部なんだよな...。


あ......。

そういえばあの時、空中で回転しながら綺麗に着地していたな。


アクション部だからあんな動きができたのだろうか...バク転とかできるようになるかな?

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