第7話 やはりこうなるのか……
しかしまたとんでもない事になったな。
ただでさえ余裕がないのにこれ以上問題を増やさないでくれよ……
「お兄ちゃん、どうしたの?」
俺が体育祭の事で頭を抱えていると舞が心配そうに話しかけてきた。
「いや……わかるだろ?」
俺がそう返すと舞は何の事だろう? と考えだした。わからないのか……
「体育祭だよ。チーム俺1人って何やらされるのか不安しかないだろ?」
「お兄ちゃんなら大丈夫だよ♪」
舞はニコニコしている。
何が大丈夫なのだろう?
相談する相手を間違えたようだ……
いや、相談したところで誰も分からないし面白そうと言われるだけだろう。
「はぁ……まぁやれるだけやるしかないか」
「うん、楽しみだね〜♪」
舞は相変わらず呑気なもんだった。
そして次の授業が始まった。
授業に集中できない……つい余計な事を考えてしまう。
ダメだ。今は集中するんだ、と自分に言い聞かせなんとか乗り切った。
次の授業は体育だ。
俺は臨時の男子更衣室となった空き教室へ向かう。
そういや俺は体育祭以前に体育の授業すら何をするんだろうな?
何をするかは聞くの忘れていた。
着替えたら体育館に集合らしいからバスケとかバレーだろうか? これも1人で相手しないといけないのかな?
またいろいろ考えてると空き教室へ着いた。
教室の扉には臨時男子更衣室と張り紙をされていた。
中へ入り扉を閉め着替え始めようとするといきなりガラッと扉が空いた。
「……えっ?」
俺が扉の方を向くと1人の女子生徒が立っていて目が合った。
「……っ不審者?」
相手は驚きながら言う。
「いや、待て。俺は不審者じゃない。」
咄嗟に否定した。
「いや、女子高に男子って……しかも服脱ごうとしてるじゃねーか」
うん、その言葉を聞くと確かに不審者だ。
しかしこの人は俺が転校してきた事を知らないのだろうか?
「まぁ確かにおかしいだろうが俺はここに転校して体操服に着替えてるだけだ。その扉にも男子更衣室って書いてるだろ?」
女子生徒は扉を確かめる。
「本当だ……しかしこれお前が貼ったんじゃないのか?」
「いや違うよ。昨日この学校に転校してきたばかりだ。かなりの人見にきてたからだいぶ噂になってたと思うけど聞いてないのか?」
「あー私昨日学校来てないし、他の人は私を怖がって話しかけてこないからな」
女子生徒の姿は他の生徒に比べて派手な印象だった。不良って事か?
「そうなのか? なら先生とかに確認してくれたら分かるはずだ」
「あーいいや、面倒くさいし。それにお前そんな慌てる素振りないし本当の事なんだろう」
「信じてくれてよかったよ。それでここには何を?」
「ここは私がサボる時によく使ってたからな。しかしこうなってはここはもう使えないか」
「そうだったのか。悪いな。しかし俺はここで着替えるだけだ。その後なら使っても大丈夫だぞ。」
そう言うと女子生徒は少し驚いた様子だった。
「お前、サボるなよとか言わないんだな?。」
「ん? まぁ1人になりたい時ってあるのかなって。俺もよくわからないままここに転校させられてその気持ちよくわかる気がして」
「ふ〜ん、よくわからんがお前もいろいろ苦労してんだな?」
「まぁな、それよりそろそろ着替え終わらないとヤバイんだが」
「あぁ、わりぃ」
そう言うと女子生徒は扉を閉めた。
俺は急いで着替えを終え教室を出た。
女子生徒が廊下で待っていた。
「もういいぞ」
「おぅ、そういやお前名前は?」
「ん? あぁ、俺は白谷涼太だ」
「涼太ね、私は相川沙耶香(あいかわさやか)だ。たまにここ使わせてもらうぞ」
「まぁ程々にな」
そう言って俺は体育館へと急いだ。
ギリギリ間に合った。
「あっ、お兄ちゃん遅かったね。迷子になったのかと思って心配したよ」
俺の姿が見えて舞が駆け寄ってきた。
「あぁ悪い。いろいろあってな」
「いろいろって?」
「まぁいろいろだ。それより体育は何するんだ?」
「あー誤魔化したー。多分バスケかな?」
それからすぐ体育の先生がやって来て集合した。
やはりバスケになり俺の予想通りこっちは1人だ。
対して相手は5人。パスを回されると何もできない。しかもこっちはパスする相手がいない……
「お兄ちゃん〜頑張れ〜」
舞の声援が聞こえる。美佳と莉子は笑ってるようだ……
ピーっと笛がなり試合が終わった。
結果は惨敗だ。まぁ最初から分かりきってる。
「お兄ちゃん惜しかったね〜」
舞が駆け寄ってくる。
「……どこがだよ?結果は分かりきってだろ?」
「これは特訓しないとだね♪」
いくら特訓しても無理だろう……
その後何試合かしたらどれも結果は同じだった。
そうしてやっと体育の授業が終わった。俺は体育が嫌いになりそうだ……
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