第18話 危ない気がする

「ただいま」×2


 俺達は放課後デートを終え家に帰り着いた。

 ちなみに帰り道も俺と舞は手を繋いでいた。舞が『家に帰るまでがデートだよ』と言い出したからだ。遠足か?と思いながらも俺はそれに従った。

 それも義妹である舞と仲良くする為だ。まぁもう十分仲は良いとは思うのだが兄として舞の好きなようにさせてあげよう。


「お帰りなさい。デートは楽しかった?」


 母親がリビングの方から出てきた。

 舞が母親に遅くなると連絡しとくとは言っていたが親にデートと言わなくても……


「お母さん、ただいま。凄く楽しかったよ♪ 夕飯の手伝い出来なくてごめんね」


「あらあら、よかったわね。気にしなくていいのよ。それに今日の夕飯は焼肉だからね」


「わーい♪ 占い通りお兄ちゃんとデートしたら良い事あったね♪」


 そういえばデートする事になったのはそのでたらめの占いのせいだったな。しかし良い事って、確かに焼肉は嬉しいがそれでいいのか?


「じゃあお父さんも帰ってきてるし今からお肉焼くから先に手洗いとうがいしてきなさい」


「はーい」×2


 手洗いとうがいを済ませてリビングの食卓へと向かうとすでに肉が焼けるいい匂いがしてきた。

 めっちゃ良い匂い。よし! 食いまくるぞ。


「あっ!お兄ちゃん、それまだちゃんと焼けてないよ!」


「そうか? まぁ大丈夫だろ?」


「ダメ! ちゃんと焼けるまで待ってなさい」


 俺と舞のやりとりを見てお義父さんが笑いだした。


「はははっ! しかし仲良くなれたみたいで安心したよ。今日はデートしてきんだって?」


「うん♪ いつもの商業施設に行ったんだけど手を繋いで行ったんだよ♪」


「あらあら、羨ましいわね」


 母親まで笑いだした。しかし舞は恥ずかしくはないのか? まぁ恥ずかしくないから言えるのだろうが……


「それじゃあ今度は私とお母さん、涼太君と舞でダブルデートでもしようじゃないか?」


「あら、いいわね」


「楽しそうだね〜♪」


 いや、言い方! それただの家族でのお出掛けだろ? 何故デートにしたがる。


「あっ! 今日ね、お兄ちゃんに下着選んでもらったんだよ♪」


「あら、じゃあお母さんも涼太に選んでもらおうかしら?」


「はははっ! じゃあお父さんも頼もうかな?」


 ……ヤダよ。きっと冗談ではなく本気だろう。この家族で出掛けたら危ない気がする。


 しかし何でも話せる舞は凄いな。

 きっと家族が増えて嬉しいのとそれだけ大事に思ってるんだろうな。ぶっ飛んでるだけの可能性もあるが……


 そして夕飯を食べ終わりその後お風呂に入って部屋へと戻ってきた。


 明日、明後日は休みだ。早く寝るには勿体ない。何しようかな? と考えてると部屋のドアをトントンとノックされた。


「お兄ちゃんまだ起きてるかな?」


 舞だった。何かあったのだろうか?


「いや、起きてるぞ。明日は休みだし何しようか考えていた所だ」


「そっか、入ってもいい?」


「どうぞ」


 俺の返事を聞くと舞は部屋と入ってきた。


「何かあったか?」


「うん、今日お兄ちゃんに選んでもらった下着を着けてみたんだけど慣れないと違和感凄いね」


 なっ! アレを今着けてるだと?

 俺はまた想像してしまった……


「そっ、そうか。まぁすぐに慣れるだろう? それだけ報告しに来たのか?」


「ううん。報告もだけど明日休みだし一緒にゲームでもやらないかな? って思って」


「ゲームか。いいぞ! 相手してやる。何のゲームやる?」


「お兄ちゃん何かゲーム機持ってる?」


「あぁ、PSやSwitchとかはあるぞ」


「そっか♪ じゃあ私コントローラーとソフト取って来る♪」


 舞は自分の部屋に取りに戻った。

 舞もゲームやるんだな。どんなのやってるんだろうな?

 舞はすぐに戻ってきた。


「お兄ちゃんまずはこれやろうよ♪」


 舞が出したのは格闘ゲームだった。有名なシリーズの最新作で俺も前のシリーズはやった事あった。


「おぉ! いいぞ。この最新作はやったないけどなんとかなるだろ」


「やった♪ じゃあ早速やろうよ」


 俺はゲーム機を起動してソフトをいれた。タイトル画面が出てきて対戦モードを選んでそれぞれキャラを決めていく。


「やっぱ知らないキャラとかもいるな。前からいる奴使うよ」


「私はこのキャラが好きなんだ♪」


 お互いキャラが決まり戦闘開始した


      PERFECT


 俺は開始数秒で倒された。

 ……舞くそ強いんだが? 何? あのコンボ。見た事ねーよ。


「あははっ! お兄ちゃんよわ〜い♪」


「舞が強すぎるんだよ! あのコンボはズルくないか? 何も出来なかったぞ?」


「あはは! ごめんね♪ じゃあアレは封印するよ」


 その後何戦かしたが倒せる気配がしない。どれだけやり込んでるんだ?


「お兄ちゃん、特訓しないとね♪」


「次までには鍛えておくよ……」


「じゃあ次はこれやろうよ?」


 舞が次に出したのはレースゲームだ。もう嫌な予感しかない。

 ソフトを入れ替え対戦モードを選んで車種を選ぶ。レース開始。


「くそっ! 何だそのドリフトは? 上手すぎる」


「抜かせないよ〜」


「くっ! 追いつけない」


 レースゲームでも圧倒的な腕前を見せられた。何レースしても追い抜くどころか追いつけない。


「舞、ゲーム上手すぎじゃない?」


「ふっふっふ。凄いでしょ?」


「あぁ、勝てる気がしないよ」


「私がお兄ちゃん鍛え上げてあげるね♪」


「いや、舞が手加減してくれた方が助かる」


「ダメだよ〜。さぁ朝まで特訓だよ?」


「えっ? 朝まで?」


「休みだから大丈夫♪」


 こうしてゲームの特訓は朝方まで続いたのだった。

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